数学切り抜き帳
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コンパスだけの作図 (2)
桜花学園大学教授
岩井 齊良
 前回はコンパスだけを使って2点の中点を作図する方法を考えた.
 このときのキーワードは,
   中心が (2,0) で原点を通る円, 単位円
であった.
 つまり,はじめに与えられた2点を原点とx軸上の単位の点 (1,0) に見立てるとき,上の2つの円の交点を求めると問題は解決するということである.


同じ作図法でこの点Cをもっと遠くにとったら,どんな点が求められるだろうか.

●n等分点
 線分ABをn倍に延ばした位置にある点をNとする.
点A,Bの座標をそれぞれ A (0,0),B (1,0) とすると N (n,0)である.


 N の作図法については説明を省略する.
 中心が N (n,0) で原点を通る円の方程式は,
        (x−n)2+y2=n2
これと単位円の方程式x2+y2=1から,
       x=
 したがって,2つの円の交点は直線 x= 上にある.
 この直線に関する原点Aの対称点をSとすると,
       S ( ,0)
である.
 点Sは仮想線分ABのn等分点の1つで,Aに最も近いn等分点である.

と正方形
 仮想線分aの上に正方形を作図したい.


 このためには の長さが作図できればよい.
 OA=aとし,正三角形を並べていく要領で次の点A1,A2,A3を決める.

 中心がAでA2を通る円と,中心がA3でA1を通る円の交点として点Pを決める.

P A3=PAだから,∠POA=∠R
      OP2=PA2−OA2=( a)2−a2=2a2
よって, OP= a
 この長さを使えば,正方形の頂点を作図できよう.