数学切り抜き帳
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正十二面体の体積 1
桜花学園大学教授
岩井 齊良
 正十二面体は,正五角形12枚を貼り合わせてできる多面体である.
 付録として正十二面体の展開図をつけたのでじっさいに模型を作ってよく観察してもらいたい.

 正十二面体をよくみると,じつは,
    正十二面体の中には立方体が隠れている
ことがわかる.
 下図の頂点が立方体の頂点である.

 この図は,立方体の各面(正方形)に次のような屋根の図形を貼りつけた形である.

 この屋根型の体積がわかれば,正十二面体の体積がわかる.
 簡単のため,正十二面体の1辺の長さを2とする.また,上で考えた立方体の1辺の長さ(正五角形の対角線の長さ)を x とし,「屋根」の高さを h とする.

  点 P から正方形 ABCD に下ろした垂線の足を R,点 P から線分 BC に下ろした垂線の足を E とする(下図)と,

     
 点 Q から正方形 ABCD に下ろした垂線の足を S,点 Q から線分 BC に下ろした垂線の足を F とする(下図)と,BQ は正五角形の対角線で,

     
@,Aより h2を消去して式を整理すると,

       

 屋根型は,次のように2つの四角錐と1つの三角柱に分けられる.

 両端の四角錐を1つにまとめると,1つの四角錐と1つの三角柱になる.

 

四角錐(ピラミッド) 三角柱(プリズム)

 この四角錐の底面は,面積が (x−2)×x の長方形で,高さは h だから,その体積は,
     
 三角柱の断面の三角形は底辺が x,高さが h で,三角柱の高さが2だから,その体積は,
     
 よって,屋根型の体積は
     
 よって,1辺が2の正十二面体の体積は,
     
 一般に,1辺の長さ a の正十二面体の体積を V とすると,