数学切り抜き帳
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等差数列の和の公式
桜花学園大学教授
岩井 齊良
 等差数列の和というと,初項 a,公差 d,項数 n である等差数列の和の公式
    
がよく使われるが,教科書や参考書には次の公式も書いてある.

 等差数列の和
 初項 a,末項 l,項数 n である等差数列の和 Sn は,
    

 この公式は,「台形の面積の公式と同じ」と覚えるとよい.
つまり,

     初項 a,末項 l,項数 n である等差数列の和

は,

     上底 a,下底 l,高さ n である台形の面積

と同じである.

  台形の面積
 上底 a,下底 b,高さ h である台形の面積 S は,
    

 このような台形を2つ,次のように連結すると,底辺の長さab,高さ h の平行四辺形ができる.


 この平行四辺形の面積が (ab)h だから,台形の面積はこの半分になるわけである.
 
 話をもとに戻して,等差数列の和の公式も上の台形の図と同様の図で説明できることを示そう.
 まず,数 x を(正の数に限るが) x cm の長さのテープとして表そう.そうすると,数列(数の並び)はテープの並びとして表される.
 例えば,

   5,8,11,14,17,20

という等差数列は次のような図で表すことができる.


こうすると,等差数列の和の公式は次の図で説明できる.


 ここまでは等差数列の和を台形の面積に見立てて説明してきたが,それとは違う説明もできる.
 等差数列の和の公式は次のように書くことができる.
    

 ここで は,初項と末項の平均であるが,じつは問題の数列 a1a2a3,…,an の平均でもある.
 これらのことがらは,下に示すように図を使って説明できる.n が奇数の場合と n が偶数の場合とに分けて示そう.

1.n が奇数の場合


2.n が偶数の場合


 上の図がなにを語ろうとしているのか,n が奇数の場合と n が偶数の場合とどこがちがうのか,よく考えてもらいたい.