授業実践記録
指導と評価の一体化
岡山県立岡山朝日高等学校
山川宏史

 本校は,創立が1874年の旧藩校,現在は旧制第六高等学校跡地に立地する伝統校である。
 毎年,旧帝大・医学科に約100人が合格しており,今春は東大に17名,京大に19名,阪大に27名,岡大に81名(内医学部医学科13名)が合格している。 

 
1.4つの評価規準について

 ○ 関心・意欲・態度
数学に対するプラスの楽しい気持ち
問題文の読解力・把握力(特に長文問題)

 ○ 数学的な見方・考え方
論理的思考力,空間把握力,分析力,数値実験などの試み
解法のアイデア,発想力,解法へのアプローチ

 ○ 表現・処理
文字のおき方,立式

 ○ 知識・理解
完答する数学体力と根性
計算精度とスピード
 
2.平素の指導について

課題提出
 課題提出点を定期考査に10点加点。2日以上の提出遅れは許さない,そのときは0点。

小テスト
 小テスト点を定期考査に10点加点。出題は,啓林館の「フォーカスゴールド」から週末課題プリント1枚を作成しており,小テストはその中から出題している。

演習
 当日授業のはじめに指名する。前の時間に予約はしない。着席するのが遅かった者,本を開くのが遅かった者,予習の不十分な者などにも指名する。時間的な制約はあるが,緊張感をもって演習できている。

 
3.独自の試み

試みのための条件
 1人で全クラスの同じ授業を担当できれば一番良い。そうであれば教え方はもちろん,生徒のために良かれと思われることを何でも実行できる。例えば,定期考査において,自信がある者にはボールペン解答をさせた。消しゴムが使えないのでつらいものがあるが,ボールペン解答にチャレンジした学年で数名の生徒には,本当に+10点を与えた。

様々な情報と問題作成・採点基準
 大学入試の問題作成・採点基準はどうなっているのかを探ることは,進学指導において非常に重要である。研究会などを通じて大学の先生と少し懇意になるか,進学・受験などの業者の情報が頼みの綱である。毎年6月に学習院大学で実施される入試懇談会は,大学の先生が本音を語ってくれていないように思われる。その点,規模はやや小さくなるが,大阪の懇談会の方が生の声が聞け,価値が高い。今後はこちらに出席したい。

 
4.評価との一体化

10:30:30:30
 先にあげた4つの評価規準の割合は,学校によってまちまちである。現在担当する学年では,この割合にしている。定期考査への出題については,見方・考え方,表現・処理,知識・理解が同じくらいの割合になるように,出題の配慮をしている。

 
5.生徒の評価と反省

年度末の生徒アンケート
 マークシートを用いての回答と自由記述を全クラスで実施している。昨年度は概ね好評であったが,数名からは辛辣な意見もあった。例えば,「生徒がせっかく板書した答案を全て消してしまう先生がいる」。これについては,悪い解答を他の生徒に写させるのはよくないので,一言断って消しているのだが,本人の了解をとるように,私も反省した。

 
6.終わりに

難関大学の受験指導について
 生徒と平素から信頼関係・主従関係を築くことが肝心である。教科面では,最初の授業で生徒を圧倒したいものである。いつ,どのような質問をされても大丈夫なように,難関大学過去問や実戦模試過去問の勉強を完璧にしておき,その自信からあふれるカリスマのようなものを放っていたい。あとは何とかなる(?)。

 教師は24時間教師です。医者と同じです。高い専門性とプライドを!