周辺教材「出口の数学」
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大阪高等学校数学教育会 教材開発委員会
大阪府立港高等学校
大阪府立大和川高等学校
岡 本   宏
横 山 博 次

§1.預金編(<複利計算>って???)

Q1.10万円を年利率5%の1年複利で10年間預けたら,いくら(=元利合計)になるでしょう?


 【1年後】 100,000100,000×0.05
       (元金)   (利子)

       =  ←1.05をかけるあたりの計算の
        (105,000円)       考え方は消費税と同じ!

 【2年後】から,(1年)複利のよさがでてきます.

  <複利>とは,以前に得た利子を元金に組み込んで利子を計算する方法です.
              <利子が利子を生む!!>

     100,000×1.05(100,000×1.05)×0.05
      (元金)      (利子)
    =(100,000×1.05)×(1+0.05)
    =(100,000×1.05)×1.05  ←100,000×1.05の5%増
    =      (110,250円)

 同様にして,【3年後】の元利合計はどんな計算式で求めることができるのだろう.

     100,000×=                 

 よって,これらのことから【10年後】の元利合計を求めよ.ただし,
 log101.05=0.0212,log101.63=0.212として計算せよ.
    <ヒント:x = 1.0510 とおき,両辺の常用対数をとる>

 [練習]50万円を年利率4%の1年複利で5年間預けたら,5年後の
   元利合計はいくらになるでしょう?
   ただし,1.045=1.2166として計算せよ.

Q2.10万円を<年利率6%の1年複利>で2年間預けるのと,<半年毎に3%の(半年)複利>で2年間預けるのとではどっちが得かな???

 1.10万円を<年利率6%の1年複利>で2年間預けたら,

     100,000×

 2.10万円を<半年毎に3%の(半年)複利>で2年間預けたら,

     100,000×

 上の式を単純に計算して,どちらが得か考えられる.が上の1.2.の計算式から,常用対数表を用いて1.062と1.034の大きさを比較してもよい!

      x=1.062とし,両辺の常用対数をとると,

      log10x =2log101.06
         ≒2×0.0253=0.0506

      同様にして,y=1.034とすると,

      log10y

      したがって, log10x <log10yなので,
      底が1より大きい対数だから, x y

    10万円を<年利率6%の1年複利>で2年間預けるのと,
   <半年毎に3%の(半年)複利>で2年間預けるのとでは
   <半年毎に3%の(半年)複利>の方がチョッピリ得のようです.

§2.借金編

Q3.A社のお金の貸し方(利息計算)が,次のように規定されていました.
 ≪利用金額 × 実質年率÷365日×利用日数≫

(借入れ当日は利息なし)

 また,B銀行は,日曜日にお金を出金すると手数料として210円とることにしていました.
<ある日曜日>あなたは,急に10万円必要な事態になってしまいました.あなたには現在,B銀行の口座には貯金があり,そこから10万円を下ろすことは可能であり実質年率(契約年率)28.835%のA社からのお金を借り入れることも条件的に可能だとします.
 今,あなたの目の前にA社とB銀行のキャッシングコーナーがあります.
 あなたはどちらに入りますか.   


 あなたが今A社でお金を借りて,2日後の火曜日に返済できるとした場合,あなたはいくら利息を払うことになりますか.計算してみよう!!
    100,000×0.28835÷365×=158
 この場合,上の計算の結果からA社でお金を借りた方が得なようです.
お金は無駄に使いたくありませんよね.今の自分の状況,必要なお金の金額などをよく考え,自分の行動を決められるようにしたいものです.
 最近はインターネットが手軽に利用でき便利です.C社のホームページで次のようなシミュレーションをしてみました.

Q4.C社で住宅ローンを組んでもらいました.
条件は,借入れ額:3,000万円,借入期間: 35年,ボーナス返済充当額:20万円で, 固定金利: 4.000 %で計算したら,こんな答えが返ってきました.

毎月の返済額(ボーナス月以外)
131,947円
ボーナス月の返済額
137,176円

≪補足:実際の借入れにあたっては以下の費用が必要となるほか,司法書士手数料(実費)が必要となる場合があります.また,火災保険料(実費)が必要となる場合があります.

−借入れに伴う諸費用−
保証会社事務手数料
31,500円
保証会社管理保証料
618,420円
印紙税
20,000円
登記料
約60,000円
合 計
約729,920円


 単純に計算して,<あなた>はこのシミュレーション上,35年間で総額いくら支払うことになるでしょうか??? 


 1年間の支払総額=131,947×+137,176×
         =
     ∴ 35年間の支払総額=
 またまたインターネットを利用して,D社のホームページで次のような借入れシミュレーションをしてみました.

Q5.D社,借入金額 10万円 ,月々返済額 5,000円 ,実質年率 28.835%とすると,<シミュレーション結果>は,返済回数 28回 ,最終回返済額 2,136円でした.
あなたはいくら支払うのでしょうか.


 この計算は単純で,
       5,000×+2,136=
 また,詳しい返済計画表も載っていました.

返済回数 返済額 利 息 元 金 返済後残高
1 5,000円 2,370円 2,630円 97,370円
2 5,000円 2,307円 2,693円 94,677円
3 5,000円 2,243円 2,757円 91,920円
4 5,000円 2,178円 2,822円 89,098円
…… …… …… …… ……
25 5,000円  385円 4,615円 11,647円
26 5,000円  276円 4,724円 6,923円
27 5,000円   164円 4,836円 2,087円
28 2,136円   49円 2,087円    0円

返済額 = 利 息+元 金            
元 金 =(借金)残高に対して返済したお金のこと
<これが事実上,借金返済額なのです!>

 この表をみて知ってもらいたいことは,毎月5000円ずつ返済している= 借金が,95,000円,90,000円,85,000円……と,借金残高が減っているのではなく,利息込みで借金を返済していることをお忘れなきよーに!


 本稿は,大阪高等学校数学教育会 教材開発委員会作成「出口の数学」第2集 §9.貯金利息と借金(当時西寝屋川<現門真なみはや>高校・笠谷作範が作成したものを東寝屋川高校・永井 克典が再編成 )に掲載されています.(あと2回連載します)
 これらの教材や当委員会の活動に興味をお持ちの方は,下の連絡先までご連絡下さい.

教材開発委員会:kyouzaikaihatsu@clubaa.com