日本一美しい山容をした富士山は,日本人だけでなく外国人までもがそれを見ることを楽しみにする.また,一度は登ってみたいとも思う.
今年の夏は,その機会が訪れた.エジプトとネパールからの留学生がぜひ登りたいということで,一緒に登ることになった.朝,富士吉田からバスで5合目(約2300m)まで行き,そこから登り始めた.山麓付近は10度くらいの傾斜であったが,次第に傾斜がきつくなり,山頂付近は35度にもなる.
8合目(約3400m)で夕方になり山小屋で休むことにした.大気中の酸素も少なく気圧は地上の0.7倍になっている.高山病にかかる可能性がある環境だ.
夜中の2時に山小屋を出発し山頂に向かう.山頂で日の出を見るためである.最後の登りは急傾斜で本当にきつい.4時に山頂に着き,5時の日の出まで山頂で待つことになるが,気温は2℃.震えながら時間の経過を待つ.たくさんの星が降るように見える.流れ星も出る.寒さも忘れて星空に見とれる.次第に東の空が赤みを増してくる.山頂の多くの人たちが東のほうに集まってくる.雲海と空の境目からご来光が顔を出し始めた.赤から橙そして黄色と色を変えていく東の空が美しい.
その後,山頂の火口の周り(3km)を一周する.約1時間の行程である.最高点は剣ヶ峰で,ここに気象レーダーがある.このレーダーは8月末で使命を終え解体される.その後は富士吉田市で復元展示される予定だ.
富士山は1707年の噴火を最後に休火山になっている.この時は玄武岩質の溶岩を噴出した.
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