おすすめの一冊
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『通信の歴史−理科電話の実験的考察』
著者:鬼塚 史朗
発行:東京図書出版会
発売:リフレ出版
A5判 298頁
定価1680円(本体1600円+税)
 今日の通信技術は,一朝一夕に得られたものではありません。本書には,電信・電話の発明された経緯が,著者の追試結果とともに詳しく紹介されています。糸電話などは小学校の教材と思いがちですが,本書を読めば小学校はもとより,中学・高校,大学の教材としても利用できることがわかります。本書の実験は,理科教育・物理教育はもとより,総合学習のテーマとしても幅広く活用できるでしょう。
 本書は,ただ通信の歴史を追うだけの本ではありません。発明・発見のなされた経緯や要件,実験研究と理論研究の関わり方などが,教育者の視点で語られています。著者の鬼塚先生は,「難しいことをやさしく!やさしいことを深く!深いことを面白く!そして,面白いことを真面目に!」という,井上ひさし氏の言葉をモットーにされています。本書を読めば,理科教育のめざすものが見えてくるにちがいありません。

(元兵庫県立兵庫高等学校教諭・南原 律子)