「ステップアップノート」誕生うら話
 ―手作り教材「書き込み式の授業ノート」から「ステップアップノート」へ―
執筆者のことば

高校全入時代を迎えた頃,生徒の学力もあまりなく,当時は標準単位で教科書を1冊終わらせることはできませんでした。そこで考えたのが「書き込み式の授業プリント」です。1冊の教科書を40枚ほどのプリントにまとめました。書き込んでできた仕上がりが美しくなるように,あらかじめ図や式の配置を決めておきます。まとめ方は黒板と同じレイアウトで,図に加筆したり,式や文字を書き込んだりできるようにスペースを作りました。

プリントのあいたスペースに何が書かれるのか,また書き込まれた式や文字が何を意味するのか,ヒントや考えるポイントになるようなイラストを描き入れました。

イラストにはかわいいだけでなく,さまざまなヒントが隠されています。生徒に「どうしてだろう?」という疑問を持たせるようなイラストを入れることで,生徒からの質問や疑問を引き出しやすくなり,双方向の授業が実現します。

まとめ方も,自分が昔,勉強ができなかったので,正確でなくても「こう説明すればわかる!」という体験に基づいています。ですから,物理の専門家から見ると多少不正確な表現があるのだと思います。実はその不正確さこそが,わからない生徒と正確な正しい理論との間を埋めるものなのです。カチコチの理屈はわからないけれども,中途半端なぼやけたイメージがわかりやすいというのです。

現在のキャラは,とある本を執筆した時にシャボン玉のような,赤ちゃんのような丸いキャラが生まれました(結構好評でした)。それからは物理・化学の授業プリントやテスト問題に登場し,時おり私の息子や娘も髪や服をつけて一緒に登場させました。

生徒に言わせると,あのキャラがいるおかげで,難しい物理がやさしく楽しいものに見えてくるそうです。難しいものと思うと先に進みませんが,やさしく楽しいと思えば難しくはないのです。

基本整理を使ってチェック問題を解くのもそのためです。

公式に数値を入れて計算するだけで答えが出てくる。こんなものは物理の本質ではありませんが,そんな小さなことの積み重ねが,苦手意識をなくしていくのだと思います。そして,公式や計算結果の意味やイメージ作りにあのキャラが活躍するのです。

「ステップアップノート」企画当時の編集者より

「書き込み式の授業プリント」を使って授業をされていた頃の執筆者にお会いしたのですが,イラストだけでなく,内容にも工夫が満載だったので,プリントを拝見してとても惹かれました。「物理IA」教科書で漫画が評価されて,物理の先生はあまり漫画に嫌悪感を持っていないということもわかっていましたので,問題集として発刊することにしました。

こうして完成した「ステップアップノート物理IB」は,初めて企画から手掛けた商品で思い出深い仕事です。

編集部より

楽しい紙面とかわいらしいキャラクターを使い,内容が充実しているとご好評をいただいております「ステップアップノート物理」シリーズは,「ステップアップノート物理IB」から改訂を重ね,現在は「ステップアップノート物理I改訂版」を発刊しております。

発刊のご要望が寄せられていた「ステップアップノート物理II」も,発刊することになりました。 執筆者ともども,1人でも多くの生徒が「ステップアップノート物理II」を使って,物理に対する苦手意識をなくして,楽しく学習を進めていただければ幸いです。