情報授業実践記録
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生徒作成画像を効率よく閲覧させる
−Googleツール Picasa ウェブアルバム を利用した場合−
札幌新陽高等学校
脇本圭一
 
1.はじめに

 本校の情報A(1年必修2単位)の実習授業の中で、Paintや画像作成アプリケーションソフト(IBMウェブアートデザイナー)を利用した画像作成を行っています。作成する前に生徒達の先輩の作品を教員用パソコンに接続されたプレゼン用プロジェクターを使って生徒に参考として見せています。生徒は完成した画像を担当教員パソコンに提出し、それを教員が最後にスクリーンに表示します。生徒からは他クラスの作品や多くの先輩の作品も見たいという要望が出ることもあります。しかし、授業の中で逐一紹介する時間はありません。学校のウェブページ等を利用して各自で閲覧(自宅でも見れる)させるという案が現実的ですが、大雑把に以下の点がネックとなりなかなか手をつけませんでした。

(1)
ウェブページを作成するには手間が掛かります。また画像枚数が増えてくるとページ・画像管理することが大変です。
(2)
ウェブページを作ったとしても、画像枚数を増やせばサーバー上の使用容量が増大します。通常どこかのプロバイダと契約してホームページを公開しているケースが多いと思いますが、その契約容量には限りがあります。本校も1GB以内の容量で契約していますので、画像枚数も遠慮せざるを得ません。
(3)
ウェブ上のウェブアルバムサービスを利用する場合、無料のサービスがありますが、容量を増やすと有料となったり、企業の製品を買ったら使えるというケースがあります。

それが次のツールを利用することによって実現できます。
・Google ツール Picasa ウェブアルバム
(2006年12月7日からサービス開始)

 
2.ツールの特徴

 Googleはインターネットの世界では最も注目を集めているサーチエンジンです。検索サービスだけでなく様々なウェブ用ツール・サービスも提供しています。

●その他の便利なツール例
Gmail
Earth
Docs & Spreadsheets
カレンダー

●本ツールの特徴
(1)
画像やウェブページの管理がしやすく、ブログのようにウェブ側で処理してもらえます。画像のスライド機能、キャプション(注釈)・コメントの追加などができ、こちらが手間隙かける必要はありません。また画像をアップロードする際には、アルバムを公開または非公開に指定することができます。非公開にすることによって、アルバムの固有 URL を知っているユーザーのみが画像を閲覧できます。
(2)
容量は 1GB (およそ4000 枚の写真)まで無料です。有料で容量を増やすサービスもありますが、1GBもあれば十分でしょう。

●本ツールを使用する上での注意
(1)
画像・写真真をアップロードするには担当する教員が Google のアカウントを作成する必要があります。生徒がアカウントを作成する必要はありません。
(2)
ウェブブラウザからの画像アップロードは可能ですが、専用画像管理ソフト「Picasa2」(無料)をダウンロード・インストールすると画像編集もできる上に画像のアップロードがよりスムーズにいきます。
 
3.ツール使用までの流れ

(1) Googleのアカウントを作成します。
既に作成している場合は、そのアカウントを使います。
(2) Picasa ウェブアルバムにログインします。メールとパスワードが必要です。
(3) 自分のPC内にある画像・動画をアルバムにアップロードします。ブラウザから直接アップする方法と、Picasa2をインストールしてこのソフトを利用してアップする方法があります。詳しくは画面右上ヘルプをご覧ください。
(4) アルバムを選択し右上の [アルバムを共有] をクリックすると、「このアルバムへのリンクをメールで送信」の画面が開きます。宛先:に自分のメールアドレスを入力し [招待状を送信] をクリックします。



自分のメールアドレスを入力(メッセージ:は空白で構いません)



自分に届いたメールにはこのアルバムのリンクアドレスが表示されています。
クリックするとウェブアルバムが表示されます。
右クリックし [リンクのURLをコピー] をクリックします。



(5) 自前ホームページ作成ソフトを起動します。該当のページのリンクすべき文字やボタン等にリンクアドレスを貼り付けます。ページをアップロードします。正しくリンクされているか確認します。
 
4.発展的なツールの利用

 このウェブアルバムを本校では以下のように利用しています。アルバムはすべて非公開にしていますので、ツールの特徴でも述べた通り、固有URL を知らなければ見ることができません。

(1) 情報科ページ
 昨年度、情報Aで生徒が作成した画像を紹介しています。生徒から画像を公開する許可を得ています。情報処理室の各生徒のパソコン内には下のアドレスを貼ったアイコンを用意しています。簡単に情報科のページを見ることができます。

 まだ紹介している作品数は少ないのですが徐々に増やす予定です。生徒自身も自分の作品だけでなく過去の作品も自宅のパソコンから参考にすることができます。

(2) パソコン部顧問ページ
 パソコン部に限らず実験的にまた自由な観点から本校に関係する施設・行事などを画像・動画を通して紹介しています。

 本ページ上では大量の写真・大容量の動画を紹介しています。自前のウェブサイトを使わないウェブアルバムならではのメリットです。

 
5.まとめ

(1) 本年度から開始
 今回のウェブアルバムを使った閲覧方法はまだ実験的に行ったばかりで、生徒の反応や評判は聞いていませんが、本年度の情報Aの授業で試行してみたいと思います。

(2) 時間節約
 情報科の教員が直接ホームページを立ち上げるとは限りません。本校もホームページ作成委員会が全体のページを作成・更新しています。ホームページ作成が本業ではありませんので更新はとても大変です。私は自分が関係しているところだけを更新させてもらっていますが、それでも定期的・計画的な更新は大変です。そこで「とにかく時間かけず手間かけず伝えたいことを伝える」ことを心掛けています。使えるものは何でも使っていかに大事なことに時間をかけれるか。このGoogle活用もその使えるものだと思います。

(3) 今後の情報教育に活用
 現在インターネット上には様々なウェブアルバムが存在していますが、Google社は、GmailやEarthなどの優れたツール群を手に入れています。ツール同士のデータ連携も進められており他社を大きくリードしています。さらに、今後、情報処理・文書デザイン等の授業で Docs & Spreadsheets を取り入れることが検討されるかもしれません。このツールはウェブ上でWord Excel ファイル・データを作成したり編集・保存が可能です。将来、ユーザーはアプリケーションソフトを購入する必要がなくなる可能性もあります。また、地理等の授業でEarth を使うことも有効でしょう。情報関係のソフト購入に資金をいくらでも注ぎ込むことができる学校は別でしょうが、経済的に余裕がない(本校です)学校でも情報処理室(実習教室)がインターネットに接続可の環境下ではツールの活用によって画期的に変わるかもしれません。日進月歩のGoogle社の今後の動向に注目すべきですし、大きな変革を受け入れるための教員側の研修・準備も必要でしょう。