中学理科教科書「未来へひろがるサイエンス」Q&A

生命

Q2
脂肪が消化されてできる分解産物は,「脂肪酸とモノグリセリド」と教科書に書かれています。以前は「脂肪酸とグリセリン」だったように思います。「モノグリセリド」と「グリセリン」の違いは何ですか?

回答
 文部科学省からの検定意見により,平成24年度用教科書から,「脂肪は脂肪酸とモノグリセリドに分解される」となりました。
 モノグリセリド(別名:モノアシルグリセロール)は,グリセリン1分子に脂肪酸1分子がくっついた状態のものになります。つまり,モノグリセリドとグリセリンの違いは,脂肪酸1分子の有無です。
 今までの教科書では,モノグリセリドは,モノアシルグリセロールリパーゼによって,グリセリンと脂肪酸までさらに分解が進むという考えでしたが,近年の研究により,そこまで反応が進むことはないことがわかってきています。小腸粘膜では,グリセリンまで分解されるより先に,脂肪が再合成されてしまうようです。

 脂肪(別名:トリグリセリド,トリアシルグリセロール)は,グリセリン1分子に脂肪酸3分子がくっついた形状をしています。脂肪は消化の際に,2種類のリパーゼによって分解されます。
 まず,トリアシルグリセロールリパーゼによって,脂肪(別名:トリグリセリド,トリアシルグリセロール)は,ジグリセリド1分子と脂肪酸1分子に分解されます。
 さらに,ジアシルグリセロールリパーゼによって,ジグリセリドは,モノグリセリド1分子と脂肪酸1分子に分解されます。
図