授業実践記録

速さ・時間・道のりの問題
富山県小矢部市立石動中学校
鷹屋 正導

 

1.はじめに

 生徒の大半が苦手とする「速さ・時間・道のり」の問題に対して,表の有用性に気づかせながらパズル感覚で問題を解く指導が出来ないかと考えた。

 生徒がイメージ図を書き,わかっている数量,わかっていない数量を明確にすることで,試行錯誤しながら表を作成し,グループで考えを深め合うように支援した。

 

2.問題提示の工夫

 前時までは買い物の問題を表を利用して書かせ,「値段」×「個数」=「代金」になることに着目させながら指導した。その「値段」に相当するものが『単位あたり量』であり,「速さ・時間・道のり」の中では,「速さ」が『単位あたり量』であることに気づかせた。

 前時までの授業では,表の枠・項目を自分で書き,パズル感覚で数値を埋めていくことで表が完成する楽しさ,喜びを感じさせた。

 この単元では,数量関係を表で簡潔に表すことのよさ,方程式を利用して解くことのよさについて実感できるように導きたい。しかし教師主導による授業展開でなく,生徒自らが取り組み,解決する充足感を味わわせることが大切である。そのために,次の2点に留意して指導した。

数量関係を把握し,分かっている数量と分かっていない数量を明らかにし,図や表で表すことの有用性に気づくよう支援する。
グループ活動を取り入れ,他の生徒の意見を尊重しながら,お互い教え合うことで問題を解決するよう促す。

 

3.授業の実践

(1)単元
  1年 方程式の利用

(2)単元の目標
  表を用いて数量を文字式で表し,等しい数量関係を見つけ,方程式を作ることができる。

(3)授業の流れ
学習活動
【配時】
○ 教師の指導と援助
※評価
課題を確認し     にあてはまる数量を考える。
【5分】
プリント配布→方程式の利用

 津幡町の友達が,くりから峠を越えて13kmはなれた石動中のA君の家まで歩いてやって来ました。峠までの上り坂を時速4km,峠からの下り坂を時速5kmの速さで歩いたら,合計3時間かかったそうです。     を求めよう。

上り坂にかかった時間
下り坂にかかった時間
上り坂の道のり
下り坂の道のり
わかっている数量とわかっていない数量を確認し,何を求める課題にするか決めるよう促す。
課題の意味がわからない生徒に対して,図を示したり,教師が動く様子を示したりすることで視覚的にイメージできるようにする。
まず,上り坂にかかった時間を求めることを指示する。
関係を把握するための表を書く。
【15分】
 
 〈予想される反応〉
 〈予想される反応に応じた手だて〉
表の項目がわからない。
前時で学習した表を参考にするよう促す。さらに,必要な生徒には,項目の入った表を与える。
ヒントカード@
「みはじの図」を利用して,数量を表せない。
道のり,速さ,時間の3つの関係を求める際に使った「みはじの図」を振り返るよう促す。さらに,必要な生徒にはすべて数量が入ったみはじの図を与える。
ヒントカードA
何をとすればよいのか分からない。
求めたい数量である上り坂にかかった時間を時間とするよう促す。
上り坂にかかった時間を時間としたとき,下り坂にかかった時間をを使って表せない。
方程式の利用「代金の問題」で学習したノートを振り返るよう促す。さらに,必要な生徒には線分図で示し,引き算でを使って表せることを伝える。
上り坂の道のりをkmとする。
多様な考え方を認め,道のりをkmとして考えるよう促す。
班になり,どのような表を作成したのか互いに発表する。また,分からないところは質問する。
<グループ学習>
【10分】
わからない数量を表を用いて文字式で表すことができたか。
<発表・観察>

【数学的な見方や考え方】

表をもとに方程式を作成し,問題を解く。
【10分】
 
 〈予想される反応〉
 〈予想される反応に応じた手だて〉
等しい数量関係が見つけられず,方程式を作れない。
単位が同じ数量でないと式が作れないことに留意して,式を作るように促す。さらに,必要な生徒には,道のりの合計に着目することを伝える。
ヒントカードB
解けた生徒には,次の課題を与える。
上り坂の道のりを考えてみよう。
表を用いて等しい数量関係を見つけ,方程式をつくることができたか。
<ノート・観察>

【数学的な見方や考え方】

代表生徒が発表する。
【9分】
 
 〈予想される反応〉
 
上りにかかる時間を時間とする。
 上り坂下り坂全体
速 さ
時 間
3−
道のり5(3−13

+5(3−
13
+15−5
13
−5
13−15
−2
2時間

どのようにして表の空欄を埋め,さらに方程式をつくったかを説明するよう指示する。
次時の課題を確認する。
【1分】
 

上り坂の道のりをkmとしたら,どんな方程式がつくれるだろうか。

 

4.おわりに

 買い物の文章問題(前々時の学習)から表を自分で作成し,方程式を立式して解くように指導することで,「速さ・時間・道のり」の問題も自分の力で表を作成し,問題を解くことができる生徒が多く見られた。そこに至るまでは,やはり『単位あたり量』と速さの概念を結びつけておく必要がある。

 今回は「自分の力で表が完成できた!」「問題が解けた!」と感じさせることで,この単元の苦手意識を払拭させることができたと感じている。

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