2020年度用 中学校数学教科書内容解説資料 未来へひろがる数学
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3425201510596 4章 図形の調べ方2多角形の角三角形や多角形の角の性質を調べましょう。 上の説明によって,どんな三角形でも,3つの角の和は180°であることが示されたことになります。 右の図のように,△ABCの辺BCを延長した直線上の点をDとします。また,点Cを通り辺BAに平行な半直線CEをひきます。 このとき,  平行線の錯角は等しいので,   ∠a=∠d  ……①  平行線の同位角は等しいので,  ∠b=∠e  ……② ①,②から,△ABCの3つの角の和を求めると,   ∠a+∠b+∠c=∠d+∠e+∠c    =∠BCD 3点B,C,Dは一直線上にあるから,∠BCD=180°になり,三角形の3つの角の和は180°であるといえます。 上のの図では,BA//CPとなります。このことを使って,三角形の3つの角の和が180°であることを確かめましょう。三角形の内角と外角小学校では,右の図のようにして角を集めて,三角形の3つの角の和が180°であることを調べました。どうなるかな右の図で,直線BAとCPはどんな位置関係にあるでしょうか。BabcdeAECDABCQP㋐㋐㋑㋑㋒三角形の形にはよらないんだね半直線は1点を端として一方にだけのびたものだよ98 4章 図形の調べ方15105 三角形は,内角に着目すると,次の3つに分類されます。 四角形や五角形などの多角形は, 1つの頂点からひいた対角線によって,いくつかの三角形に分けられます。 多角形を三角形に分けて,内角の和を調べましょう。 0°より大きく90°より小さい角を 鋭えい角かく,90°より大きく180°より小さい角を 鈍どん角かく といいます。鋭角三角形3つの内角がすべて鋭角である三角形直角三角形1つの内角が直角である三角形鈍角三角形1つの内角が鈍角である三角形どうすればいいかな四角形,五角形,六角形の内角の和は,それぞれ何度になるでしょうか。多角形の内角の和鋭角直角鈍角下の図で,∠x,∠y,∠zの大きさを求めなさい。⑴ ⑵ ⑶問2xyz75°50°60°110°40°20°すでに学んだ形にする内角の和を知っている三角形に分けて考える分類整理する26p.17120151051節 平行と合同 93 右の図のように,2直線l,mに直線nが交わっているとき,∠aと∠eのような位置にある2つの角を 同どう位い角かく といいます。 また,∠cと∠eのような位置にある2つの角を 錯さっ角かく といいます。 ∠bと∠f,∠cと∠g,∠dと∠hも,それぞれ同位角です。 ∠dと∠fも錯角です。 また,右の図で,l'mのとき,nがl,mとどのように交わっても,同位角である∠aと∠bは等しくなります。つまり,   l//m ならば ∠a=∠bです。 91ページの方法で平行線をひくときには,右の図で,同位角である∠aと∠bが等しければ,l//mであることを利用しています。つまり,   ∠a=∠b ならば l//mです。 2つの直線が平行であることを,同位角に着目して考えましょう。mlabcdnefgh右の図で,∠aの同位角をいいなさい。また,∠pの錯角をいいなさい。問2abcdpqrsmlnabmlnab同位角・錯角と平行線108 4章 図形の調べ方1051証明とそのしくみ図形の性質を明らかにするしくみを学びましょう。 前ページでかいた四角形ABCDでは,  AB=AD,BC=DCのとき,∠ABC=∠ADC ……⑴が成り立ちます。 このことは,どのように説明できるでしょうか。 このように,これまでに学習した図形の性質を使って,∠ABC=∠ADCを導くと,辺の長さをどのように変えても,⑴がいつでも成り立つことが説明できます。 かりんさんのいうように,△ABC≡△ADCとなるのはなぜでしょうか。 また,∠ABC=∠ADCとなる理由もいいましょう。上の図で,角の大きさを測ったら,  ∠ABC=∠ADCだったけど,辺の長さを変えると,角の大きさも変わって,測りなおさないといけないね実際に測らなくても,対角線ACをひくと, AB=AD,BC=DCだから, △ABC≡△ADCになるよね。そこから, ∠ABC=∠ADCがいえるよABDCABDCかりんけいたABDC ⑴が成り立つことについて,けいたさんとかりんさんが次のような会話をしています。110 4章 図形の調べ方252015105 前ページで調べたような,仮定から結論を導く流れを整理すると,次のようになります。 証明のしくみは,一般に,次のようになっています。●仮定から出発し,●すでに正しいと認められたことがらを 根拠に使って,●結論を導く。対角線ACをひくと,△ABCと△ADCができる。△ABCと△ADCで,仮定より,  AB=AD   ……①  BC=DC   ……②ACは,2つの三角形に共通な辺だから,  AC=AC   ……③①,②,③から,3組の辺が,それぞれ等しいので,  △ABC≡△ADC合同な図形では,対応する角の大きさは等しいので,  ∠ABC=∠ADCABDC このように,すでに正しいと認められていることがらを根拠として,仮定から結論を導くことを 証明 といいます。96ページでは,「三角形の3つの内角の和は180°である」ことを証明しています。この証明では,どのようなことがらを根拠として使っていますか。問2AEBCD仮定 結論➡正しいと認められたことがらすでに学んだ形にするもとの図にない線をかいて考える20151052節 証 明 109 前ページのでは,仮定から結論を導くために,すでに正しいと認められている次のことがらを根こん拠きょとして使っています。 根拠となることがらに注意して,仮定から結論を導くすじ道をまとめると,次のようになります。 数学で考えていくことがらの中には,このように,   アならば,イであるのような形でいい表されるものがあります。このとき, 前ページのようにして,角の大きさが等しいことを説明するとき,  AB=AD,BC=DCならば,∠ABC=∠ADCである     ということがらについて,からを導くことになります。   は,与あたえられてわかっていること   は,から導こうとしていることです。 アの部分を 仮定,イの部分を 結論といいます。 3組の辺が,それぞれ等しい2つの三角形は合同である。 合同な図形では,対応する角の大きさは等しい。次のことがらについて,仮定と結論をいいなさい。⑴ △ABC≡△DEFならば,AB=DEである。⑵ l//m,m//nならば,l//nである。問1△ABCと△ADCで,AB=AD,BC=DCAC=AC△ABC≡△ADC三角形の合同条件根拠となることがら合同な図形の性質仮定結論∠ABC=∠ADC○○○□□□ならば,仮定結論1122論証の一貫性を大切にした構成を重視し,証明記述への導入を丁寧にできるよう配慮学んだことを次につなげ,証明記述のハードルを下げる構成(4章図形の調べ方,5章図形の性質と証明)前の学習から次の学びにつなげていく内容配列証明記述を見せる前に証明の一部を説明する活動を取り入れる2年の図形領域では論証の基礎を学びます。4章図形の調べ方では,「角と平行線の性質を学ぶ」→「角と平行線の性質から三角形の内角の和を導く」→「三角形の内角の和をもとに,多角形の内角・外角の和について調べる」という,論証の一貫性を大切にした流れの構成にしています。これらのことがらの推論では,それぞれが,1つ前に学習したことがらを根拠にしており,論証のしくみを初めて学ぶ生徒にとって無理のないステップになっています。2年では,仮定と結論,その間をつなぐ根拠となることがらを明らかにしながら,具体的な証明を記述することを学びます。数学的な証明を記述することは,はじめての生徒にとっては難しい内容です。そのため,4章図形の調べ方では,具体的な証明の記述に入る前に,まずは何が「仮定」で何が「結論」なのか,そして何を「根拠となることがら」として用いたのかを整理します。こうした学習の後に記述された証明を見ることで,証明のしくみが理解しやすくなるようにしています。2年本冊p.962年本冊p.982年本冊p.932年本冊p1082年本冊p1102年本冊p109●三角形の内角の和●多角形の内角・外角●角と平行線の性質

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