目次

高学年
環境を見つめ,環境に働きかける子どもを育てる
〜EM菌の力を環境浄化に生かす活動〜
静岡県掛川市立西郷小学校
片岡 祐子  榛葉 武史

1.はじめに

 川は,人々の命を支え,生活を支え,時には人々の心に潤いを与えてくれる。昔から川と人々の生活は密接な関係にある。

 子どもたちの生活の中でも常に身近な存在の川であるが,生活排水や工業廃水による水質汚染などの報道が飛び交う中,子どもたちが川に抱くイメージは昔のものとは大きく変わってきている。

 子どもたちは授業でも社会科の「水道水が来るまで」の学習や理科の環境学習など各教科・領域の中で環境保全・浄化へ取り組みの大切さは理解できている。しかし,実際の行動となるとゴミを減らす,ゴミを拾う程度の発想から抜け出せれないというのが実情である。

 ここで紹介するEM菌の効用を環境浄化に生かす活動は,本校では4年生の児童が,ある新聞記事からEM菌の存在と環境浄化への取り組みを知り,自分でもやってみたいと思ったところから始まった活動である。

 微生物の種類など専門的な分野まで踏み込むと子どもたちにはやや難解な部分もあるが,活動自体は子どもたちに十分できる内容であり,何より「環境に自ら働きかけている」という実感を持つことができる学習になる要素を持っている活動である。高学年における理科の発展的な内容として,また総合的な学習の時間,自由研究の題材として最適であると考える。

2.『はなまる玉』で川をきれいに(EM団子づくり)


 「大阪府の淀川の浄化に『元気玉』」というニュースを見た子どもたち。『元気玉』というのはEM菌を含んだ泥団子である。「僕たちの学区を流れる倉真川をきれいにしたい。」ということで取り組んだのが『はなまる玉』づくりである。

  作り方については,子どもたちが新聞で見つけた記事の紹介されていた方を講師に招いて,EMの効用を交えて教えていただいた。
 初めに,運動場などの砂(砂場の砂だけではなく土が入っているとよい。団子にしたときまとまりやすくなる。)を持ってきて,大きめのたらい等の容器に入れる。

 その砂(土)の中にEMボカシとEM活性液を入れよくかき混ぜる。(活性液が団子づくりに適度な水分を与えてくれるように調節する)


 冬場では,一ヶ月ほどかかるが,温かい時期ならば1〜2週間ほどで表面に白い糸状菌が出てくる。

  そうなれば,川への投入の時期。
あとは,ひたすら団子状(野球ボール大)にまとめる。できあがった団子は,園芸用のトレイ(水はけの良いもの)に並べ,日光が当たらない風通しの良いところに保管する。

 子どもたちは,「わたしたちのEM団子にも名前がほしい。」ということで,学級で名前を募集し,投票と講師の先生のアドバイスで,『はなまる玉』と命名された。
 倉真川への投入を行ったのは,2月8日。その時の様子が,新聞にも紹介され,地域の方の関心も高まり,「川の様子を気をつけて見るようになった。」「何だか川の水が澄んできた様な気がする。」などの反響をいただいた。

3.米とぎ汁発酵液でプールをきれいに


 EM泥団子づくりとともに,講師の方に教えていただいたのが『米とぎ汁発酵液』である。「作り方は簡単で,トイレ掃除に使えば臭いがなくなり,お風呂掃除,台所の掃除に使え,流した水は川まできれいにする。」との講師の方の説明に,子どもたちもやる気満々。さっそく発酵液づくりに取り組んだ。
 大きめの容器(バケツなど)に,米とぎ汁1.5リットル(とぎ始め1〜2回の濃いもの)に,EM活性液を20CC,砂糖(または糖蜜)を20グラム,そして塩を少々入れ,よくかき混ぜる。そして,ジョウゴなどでペットボトルに入れる。

 米とぎ汁の代わりとして,米ぬかがあればそれを手ぬぐいに二つかみほど入れ,端をしっかり縛り,1.5リットルの水の中で搾ればよい。

 ペットボトルに入れ,日当たりの良い所に一週間ほどたつと発酵が進み,蓋を開けると甘酸っぱい香りがしてくれば使用できる。

 発酵が進むとガスが発生するため,時々ガス抜きをしてやるとよい。

 講師の方から「春と秋に2回できるのなら150リットルずつ。春だけならば300リットルを一度にプールに投入するとよい。」と教えていただき,5回に分けて2リットルペットボトル150本を目標に米とぎ汁発酵液づくりに取り組んだ。
 
  修了式を翌日に控えた3月15日,十分に発酵した発酵液を子どもたちがプールに投入した。また,日頃から水の濁りが気になっていた校内の鯉の池にも15リットルほど投入し,水に変化が表れるのを今から楽しみにしている。

4.終わりに

 取り組みから結果が表れてくるまでが時間がかかるこの活動であるが,子どもたちの環境に対する考え方の深まりや活動への意欲を見ると,今までの学習よりも子どもたちの心を揺さぶるものであったことが感じられた。自分たちが環境に対して働きかけているという実感があったからだと思われる。

 河川の浄化だけではなく,農業への活用などまだまだ広がりが期待できる活動であるので,今後も子どもたちの追究の意欲を持続させるように取り組んでいきたいと考えている。

【学習協力者】浜名湖環境ネットワーク・浜名湖ユースホステル代表山崎三郎さん
EMネットワーク・掛川市(株)宝和園岡本義明さん
斉藤和美さん

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