◇はじめに
平成8年7月に示された第15期中央教育審議会第一次答申は,第3部国際化,情報化,科学技術の発展等社会の変化に対応する教育の中で,「各学校でコンピュータを有効に活用するためには,ハードウェアの整備だけでなく,教育の実践経験を通して作られた,良質で多様なソフトウェアが整備されることが必要である.現状は,授業で効果的に使用できるソフトウェアが十分に整備されておらず,また,研究開発の取り組みは必ずしも十分ではないと言わなければならない」と述べている.長崎県教育センターは,このような状況に対応するため,平成6年度から「学習指導教材共同研究開発」事業に取り組み,毎年,授業に役に立つ良質のソフトウェアを開発し,県内のすべての公立小・中・高・盲・聾・養護学校へ配布している.平成11年度は,中・高等学校の生徒を対象に英語学習を支援するソフトウェア「Welcome to English Sounds for the Millennium」を完成し,さらに平成12年度は小・中学校の児童生徒を対象に「総合的な学習の時間」の中の「国際理解」を支援するソフトウェア「Apollon's Trek」の作成に取り組み,今年度末に完成させる予定である.この事業に関しては,県内の小・中・高等学校の先生方とALT,さらに今年は県内大学からの協力を得て,小・中・高・大学の連携が求められる今日,大変意義ある事業を展開したと自負する.
本稿では,1英語学習を支援するソフトウェアと2「総合的な学習の時間」の「国際理解」を支援するソフトウェアを紹介する.
1 英語学習を支援するソフトウェア
(1)ねらいと特徴
中学1年生,英語の入門期の授業では,強い興味と大きな期待に,ほとんどの生徒が目を輝かせている.ところが,学年が進むにつれて,次第に英語に苦手意識を持つ生徒が増えてくる.原因の一つに,日本語の一文字一音節と違い,英語の音節数は文字数と一致していないなど,音声と文字の関連がうまくのみこめていないことがあげられる.
そこで,音声と文字を関連させ,コンピュータを利用して個々の学習活動を支援すれば,生徒達の耳を鍛え,語彙を増やし,そこから読む力をも養うことが期待できる.生徒の興味・関心を引くことをはじめ,意欲を高めることは,言うまでもない.このソフトウェアでは,英語の様々な音声変化に注目して,入門編・応用編で母音と子音を厳選した上で,フォニックスを中心とした活動を段階的に組み立てている.また,まとめの練習問題により,英語能力の定着が図れるものとして期待している.
[1] ソフトウェアの機能と操作方法
メインメニュー
入門編と応用編から,実行したい項目に矢印を動かしてクリックする.
画面にでてくるマーク
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終了
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プログラムを終了する.
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戻る
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前の画面に戻る.
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メニューへ
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メニュー画面に戻る.
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次へ
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次の画面に戻る.
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もう一度聞く
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もう一度聞く.
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中止
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その操作を止める.
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録音
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自分の発音を録音する.
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聞く
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ALTの発音を聞く.
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入門編(中学1,2年生対象)
「アルファベット」「フォニックス」「音と文」のメニューから一つを選択する.
アルファベット
・キーボード画面でアルファベットの名前を覚える.
・ABCソングを聞く.
・ALTの口の動きを再生で確認する.
・チャレンジコーナーでアルファベットの名前を覚える.
フォニックス
・アルファベットの音を知る.
・音の組み合わせで単語(言葉)ができていることを確認する.
・チャレンジコーナーでアルファベットの音を覚える.
音と文
・音から単語(言葉),文へ発展する.
・チャンツを聞き,英語のリズムを掴む.
・英語の歌を聞いて楽しむ.
[2] 活用例
ア 題材名: Enjoy English Alphabet
イ 学習目標:アルファベット文字とアルファベット音の違いを知り,正しく発音できるようにする.
ウ 活用のねらい:入門期にアルファベットの文字と音を学ぶことによって英語に興味・関心を持たせ,楽しみながら学習活動を進めさせたい.
エ 展開(1時間)

応用編(中学3年生,高校生対象)
「英語の母音と子音」「リスニング演習」のメニューから一つ選択する.
英語の母音と子音
・母音と子音の発音の位置を口の中の図で確認する.
・母音と子音の発音記号を理解して発音を確認する.
・綴りと発音の関係を確認する.
リスニング演習
・「母音」「子音」「応用」のメニューから一つ選択する.
・「母音」「子音」では,それぞれの発音を聞き分ける演習をする.
・「応用」では,同化,連結,弱化,アクセント,リズム,イントネーションの例を確認して理解する.
(2) 実践報告
パソコンを使う利点は,生徒一人ひとりの学習ペースに合わせて活動に参加させるところにある.また,このソフトウェアには基本問題から応用問題までさまざまなゲーム形式による問題があり,生徒のレベルに応じてその問題を選ぶことができるため,学習意欲を持続させることができる.また,ビジュアル効果があり,生徒が理解しやすいこともあげられる.以下,パソコンの指導手順や学習効果について述べる.
[1] 目 的
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アルファベットを「フォニックス読み」できるか確認する.
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これまでの復習として,どれくらいの単語が理解できているのかを各自認識し,次の学習に役立てる.
[2] 指導手順
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ア パソコンの基本操作法を教える.
イ ソフトウェア「English Sounds for the Millennium」の基本問題「フォニックス」の項目を行う.
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アルファベットの「フォニックス読み」を音声に合わせ練習する.
- チャレンジコーナーでレベル1から3まで問題を解く.満点を取るまで何度もチャレンジする.わからない単語は教師に質問する.
ウ この活動を通して,気づいたことやこれからやってみたいことをプリントにまとめる.
[3] 学習効果
パソコンの利用は英語学習の特効薬にはならないが,中には英語学習に対して何らかの変化を示した生徒もみられた.パソコンを取り入れることで,授業形態に目新しさを感じさせ,生徒の学習意欲を刺激したのである.「楽しく英単語の学習をしたい」「もっと単語のことを知りたい」「この単語のルールはどこからくるのか」等の発言をする生徒もいた.単語や「音読」にはかなりの自信を持っていた生徒も,この活動を通して自分の英語学習を客観的に見つめ,理解が不足していた項目にも気づくことができた.また,いつもは間違いのやり直しを嫌がる生徒も,ゲーム感覚の問題には,意欲的に取り組み,繰り返しを嫌がることはなかった.
パソコンを使うと自分の学習ペースで取り組めるので,ルールを机上で説明しても理解の遅い生徒も,チャレンジコーナーの問題を早く解きたいために,一生懸命にルールを理解しようとする姿を見せるようになった.わずか50分の間にかなりのルールを理解できていたのである.「次にまたパソコンを使って問題を解くときには,もっと良いスコアを取りたい」と通常の授業でも熱心に単語を覚えるようになった生徒もいた.
動機付けの点で今回の学習は有効であったと思う.しかし,パソコンをどのように,どのような目的で行うのか,目標や計画がやや不十分な点もあったので,このような点を反省しつつ,さらにパソコンの有効な利用法を研究して授業に取り入れていきたい.
2「総合的な学習の時間」の「国際理解」を支援するソフトウェア
(1) ねらいと特徴
今回の学習指導要領の改訂により,小学校の第3学年以上に「総合的な学習の時間」が創設された.その時間では,国際理解教育の一環として外国語に触れたり,外国の生活や文化などに慣れ親しんだりする小学校段階にふさわしい体験的な学習をすることができるようになった.そこで,このソフトウェアでは児童の発達段階にふさわしい英語体験活動を支えるための一助として,楽しみながらゲーム感覚で英語の音やリズム,イントネーション等に親しむことができる内容を7つのステージで構成している.
さらに中学校段階においては,英語学習との関連を図ることにより,学習に対する意欲の高揚や学習成果の深化等に活用できるものと考える.
なお,文字については,小学校における英語体験活動の実態等を考慮し,特に強調して取り扱ってはいない.児童生徒の発達段階や各学校の実態等に応じて発展的に取り扱うことも考えられる.
(2) 活用事例
以下については,1単位時間の授業の流れではなく,英語体験活動を計画する際に,必要に応じて授業の各場面で活用する事例である.なお,●印は,ソフトウェアに収録してあるものを表し,授業形態の例で示した表記は,(全)−全体,(グ)−グループ,(個)−個人である.

◇おわりに
この2年間で2つのソフトウェアを開発できたのも,ひとえに多くの方々の協力があったものと考える.今後,多方面からの示唆に富むご意見をいただければ幸いである.
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