| 英語授業研究 |
|
| 現代英語に現われた「コーヒー」 |
|
| 兵庫県立星陵高等学校 大西博人 |
|
|
|
0.はじめに
|
|
|
コーヒーを筆者がはじめて飲んだのは、1950年代中頃、父に連れられて行った町の小さな喫茶店であった。以前には喫茶店かレストランでしか飲めなかったコーヒーは、現在では日常的に自宅でも職場でも容易に飲めるようになり、日本人にとってごく身近な嗜好飲料となっている。 |
|
|
1.「一杯のコーヒー」は常に
“a cup of coffee”か? |
|
|
学校英文法によると、コーヒーは物質名詞であるため、a cup of coffee のように表現するとある。しかし、現代口語英語では a coffee といったように用いることが普通である。レストランなどで注文するとき、“Two coffees, please.”というように用いることが多い。
コーヒーは、アメリカでは昼食時のために自宅から職場にもって行くことも多い。その場合、コーヒーをポットに入れていくが、それを a thermos of coffee と表している。 |
|
|
2.インスタントコーヒーとデカフェ
|
|
|
一般家庭でコーヒー豆を挽いてコーヒーを飲むようになる前には、インスタントコーヒーが普及していた。以前は、instant coffee は和製英語であったが、現在ではれっきとした英語になっている。 個人の好みを尊重するアメリカでは、ホーム・パーティーやレストランで caffeine の入っていないコーヒーを選べるようになっている。カフェイン抜きのコーヒーは、decaffeinated coffee と言うが、略して decaf ということが普通である。アメリカでは就寝が近づいているときは、デカフェを飲む人が多いようである。 |
|
|
3.コーヒーにつきものの砂糖とクリーム
|
|
|
コーヒーは、通常、何も入れない black のままで飲むか、sugar や cream を入れて飲む。パーティーのホストやレストランの係りは、相手にコーヒーの好みを聞くのが礼儀である。
コーヒーにはクリームやミルクを入れることが多く、coffee with cream というように表すことが一般的であるが、blackに対してwhiteを用いることがある。 |
|
|
4.コーヒーの自動販売機
|
|
|
コーヒーの自動販売機は、coffee vending machine であるが、単に coffee machine という。正確には、coin-operated coffee machine である。また、自動販売機で買えるコーヒーは、単に machine coffee である。 |
|
|
5.「濃いコーヒー」は常に
strong coffeeか? |
|
|
「濃いコーヒー」は strong coffee であるが、和製英語的に thick coffee と表すこともある。その場合、繰り返し加熱したため濃度が高くなった意味を伴っているようである。 |
|
|
6.コーヒーを形容する「熱さ」
|
|
|
コーヒーは、日本では季節や気分により「ホット・コーヒー」だけでなく「アイス・コーヒー」もほぼ同様に飲まれている。しかし、アメリカの日常生活ではホット・コーヒーが主流のようである。小説でも iced tea はよく現れるが、アイス・コーヒーはほとんど見かけることはない。一方、ホット・コーヒーは、小説の場面描写で「熱さ」が強調され、steaming(湯気を立てている)を伴うことが一番多いようである。 次例は、一般的な steaming を強め、piping-hot と形容している。単に hot とするところを、「ヒューヒューと沸騰して湯気がたっている」というpipingで強めている。 ここではマクドナルドのコーヒーで太ももからお尻にかけて大やけどをし、損害賠償訴訟で大金をせしめたステラ・リーベックさんを引き合いに出している記事である。「熱さ」をさらに強めた scalding(舌をやけどをするほど熱い)もよく現れる。また、まれに scalded coffee も見かける。
このように小説の場面で、コーヒーの「熱さ」を表す形容詞がよく現れるということは、アメリカでは、コーヒーはホットが好まれるということであろう。 |
|
|
7.コーヒーの飲み方を表す表現
|
|
|
コーヒーを「飲む」は、一般に動詞drink、have、takeが用いられるが、熱いコーヒーは一気には飲めない。その場合、sip(すすり飲みをする)や peck at(ちびちび飲む)が用いられている。 煙草をひっきりなしに吸う人を a chain smoker と言うが、同様にコーヒーをよく飲む人は a chain coffee drinker という。 コーヒーは、カフェインを含んでいるため、時と場合により健康上の問題がある。次の用例では、coffeeを動詞的に用い、寝る時間が近いので「コーヒーを控える」と述べている。 |
|
|
8.おわりに
|
|
|
歴史的には、アメリカ独立革命時のボストン茶会事件以来、アメリカ人の嗜好飲料は、紅茶からコーヒーへと移り、現在ではコーヒーがアメリカの代表的な飲み物の一つとなっている。現代人気小説を読めば必ず何度もコーヒーを飲む場面が現われる。 |