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身から出た錆
Your Chickens Come Home to Roost
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰
 さる高名なアメリカ人ゴルファーが自動車事故を起こし,それが契機で10人を超す不倫相手が明るみに出ました。この大スター,コマーシャルは解約され,試合に出られず,マスコミに執拗に報道され,奥さんには逃げられ,大変な目に遭っています。誰が悪いのか。原因を作ったのは誰か。本人です。日本語で,「自業自得・身から出た錆」と言いますが,英語も歴史のある言語ですので色々あります。

One must reap what one sowed.

(直訳:まいた者は刈り入れねばならない)
As he made his bed, he has to sleep in it.
(直訳:自分で作ったベッドなのだから,それに寝なればならない)

 表現は違いますが,意味するところは同じ「自業自得,身から出た錆,因果応報」です。しかし一番人気は,

Your chickens come home to roost. です。

 昔,鶏は庭先で放し飼いされていました。日が暮れると,鶏は止まり木のある小屋に,ほっておいても帰ってきます。このことから,あなたのしたこと,言ったこと,は自動的に,時が来るとあなたの所に帰ってくる,と言うわけです。Your chickens は,「あなたの鶏」ではありません。「誰の鶏であれ,人の鶏はすべて」です。面白いのは,「ニワトリ」は複数形をしていることです。過去に行った,人には言えない,あれもこれも,数々の恥ずかしいこと,すべきでなかったことが,自分のところに帰ってきます。時効はありません。
 このスーパースターの状況は,ただそれだけのこと,と言うわけです。すなわち,

His chickens have come home to roost.

 この事件がアメリカの友人と話題になった時,金持ちで,ハンサムなゴルファーなのだから,Do you think he's a playboy ? と私,聞きますと,友人,

A playboy? On the contrary he is just a womanizer.

(とんでもない,ただの女たらしだ)

 womanize を辞書に当たると,womanizer と playboy の違いがはっきりします。引用します。(OALD, 2000年版)

“(disapproving) the fact of having sexual relationships with many different women.”

 とあります。最初に,(disapproving)と断っています。すなわち,非難するときに使う言葉なのです。
 他方同じ辞典で,playboy に当たると,ただ,

“a rich man who spends his time enjoying himself.”

 とあります。ですから,The bloke is a womanizer. と言えば相手は怒りますが,The bloke is a playboy. と言えば問題は起きないと思います。
 ODE の定義にも,(used to express disapproval)すなわち, 非難を表明するのに使う,とあります。以下引用します。

“(of a man) engage in numerous casual sexual affairs with women (used to express disapproval)”,

ODE, 1998年版)

 世の中に playboy は無数にいると思います。しかし playboy である故に,世間から糾弾された話は聞きません。 Womanizing は違法行為ではないにも関わらず,disapproval であり英語圏では村八分の対象になることが分かります。