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Do Time
服役する
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰
 2009年6月4日,17年間投獄されていた男性が釈放されました。冤罪,足利事件です。

“One of the egregious miscarriages of justice was revealed.”

 この事件を伝える,The Daily Yomiuri の書き出しです。‘One of’とありますので,この種の事件は以前にもあったことがわかります。この egregious miscarriage of justice,は「冤罪」の定番表現です。直訳は「おぞましい正義の流産」です。 流産,miscarriage は,受精した新しい命が長い時間をかけて胎内で育ち,時満ちて誕生するまでの過程で,なにか不都合があり失敗したことを意味します。「正義の流産」が直訳です。
 足利事件が,アメリカの友人と話題になりました。裁判では正義が行われなければなりません。正義は自動的に生まれてこないことを,英語人は知っているのです。胎児同様,正義も適切な育て方をしなければ,miscarriage するのです。
 医者が誤診をすれば,裁判沙汰になることもあります。冤罪事件を起こした裁判官が裁判に付された話は聞いたことがありません。この事件で,裁判官のコメントはなく,警察,検察の人が謝罪しました。無実の者が有罪とされたのです。法曹界では「誤判」と言うようですが,「冤罪」と「誤判」とは違います。有罪にすべき者を無罪にすれば,「誤判」です。冤罪とは言いません。この事件は,無実の人を有罪とし,刑務所に入れたのですから,「冤罪」です。
 友人の質問です。

“Do you know how many people are doing time in Asahikawa?”

 知らない言葉など一つも無い中学生英語ですが,分かりませんでした。相手の言っていることは分かるのですが,意味が分からないのです。足利事件と関係ある話題とも思えません。どういう意味か,と聞きますと,「旭川の刑務所に服役中の人は何人いるか」,です。
 「17年間服役していた男が,DNA鑑定で無罪が証明され,釈放された」,を英語で言えば,

“A man was released after doing time for seventeen years after DNA proved his innocence.”