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Credit Titles
前付/クレジットタイトル
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰
 映画が始まるとすぐ,または,最後の場合もありますが,俳優,監督,その他,その映画に関わった人たちの名前が,次々と出て来ます。協力してくれた地域の人たちの名,団体名もあります。これを英語では,subtitles(字幕)と同様,常時複数形で,credit titlesと言います。

“the names of the actors and other people responsible for a cinema or television show, which appear in a list at the beginning or end.”

LDCE 1981)
「俳優その他,映画,テレビショウに責任を有する人の名前の表。冒頭または最後に表示される」(筆者訳)(この訳文を見て,女優はどうした,と言わないでください。今では女性も actor です)

名を成した人たちが回顧録に書く,Clich に,
“I was happy to find my name in the credit titles even it was written in small letters.”
「小さな字ではあったが,自分の名を credit titles に見つけたときうれしかった」

 credit titles,確定した訳語はありません。ありました。ただし,名詞,credit titles の訳語ではなく,credit のみをカタカナにして,動詞に使っています。
 「溝口健二の神話 [1]」と題する,溝口監督の連載特集記事です。(日本経済新聞2009年2月1日)。一回目に,監督を支え美術を担当した,水谷浩という人にスポットを当て,彼を高く評価し,顕彰する記事です。 数枚の写真が掲載されています。中の一枚に,「元禄忠臣蔵」前編「1941年」と,表題のついた写真の説明に,

「原寸大で建てられた松の廊下のセット,この作品で水谷は当時珍しい「美術監督」とクレジットされた。云々…」

 credit titles は,この映画に関して,ここに名前を挙げた人たちが,credit する。すなわち「保障する」,責任者一覧表なのです。日本で出版される本には奥付があります。著者,出版社,発行年月日などがあり,責任の所在を明確にしています。credit しているわけです。
 この記事の終わりに,「古賀重樹」と署名があります。古賀重樹氏が,この記事を,credit しているわけです。
 本の奥付は最後にあるから,奥付なのでしょう。映画の credit titles は最初にあるのが普通ですので,「前付」と訳してはどうでしょう。