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The Final Nail in the Coffin
終焉の釘
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰

“Aso Cabinet falls into abyss”
“Nakagawa fiasco seen as final nail in coffin for unpopular govt”

The Daily Yomiuri, Feb.19, 2009


 本文を読まずとも内容がおのずと分かる,headline と lead を書くのが,新聞編集者の能力の物差しと言われています。中川大臣のイタリアでの大失態の波紋を報じる,The Daily Yomiuri の headline と lead です。新聞の見出しは,徹底的に文字を削り,簡潔にします。読む時は頭の中で省略された語を補って読みます。通常の英語にすると,

Aso Cabinet falls into the abyss.
Nakagawa's fiasco is seen as the final nail in the coffin for the unpopular government.

 Abyss は底なしの割れ目,淵で,これに落ちた人の救助は不可能です。棺桶の釘は一本一本打っていきます。次々と釘が打たれて行き,最後の釘,final nail が打たれると完了です。再びこの釘を抜いて棺を開けることは先ず,ありえません。
 この一連の釘は,麻生内閣の不都合なことを表します。生活給付金の,「さもしい」発言,ハローワークでの若者への助言,成田空港に関して,大臣の「ごね得」発言,などが一本一本の釘になり,ついに,「中川大臣の酩酊記者会見」に至り,新聞は,これで麻生内閣は終焉間違いなし,と判断し,この headline と lead を書いたわけです。私なりに日本語にすると,

「麻生内閣奈落に落ちる」
「中川の大失態不人気政府にとどめをさすもよう」


 要するに,「次々と問題を起こしてきた不人気の現政府は,大臣の大失態が致命傷の様相」,と言うことでしょう。
 Coffin は「ひつぎ」ではありません。「棺桶」です。上品な言葉ではありません。アメリカでは,生前に自分の入る棺を決めておく人がいます。それで,「ひつぎ店」では,ショウルームにいろいろ取り揃え,展示してお客を待ちます。casket store です。
 この記事では,casket では impact がありません。アメリカ式揶揄表現ですので,上品なcasket は似合いません。またイディオムですので,勝手には変えることはできません。
 幸いなことに,中川事件は麻生内閣の命とりにはなりませんでした。The guy who wrote must eat crow. カラスの肉をたべる,すなわち,前言を取り消さねばなりません。麻生内閣は健在です。