| English Expressions A la carte 英語表現アラカルト |
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| If Winter comes, can Spring be far behind? 冬が来るなら,春が遥かに在り得ようか? |
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| 旭川工業高等専門学校教授 十河 克彰 |
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| “If Winter comes, can Spring be far behind?” は,言わずと知れた Shelley の詩の一行です。 これが日本人お気に入りの phrase になったのは,「冬来たりなば春遠からじ」と,漢文調の翻訳のせいだと思っています。あまりも人口に膾炙したので,出所は中国か日本の古典かと思うほどです。誰の訳なのでしょう。実にうまい訳です。しかし学生が教室でこの訳をしたなら,教師は訳に異議を唱えると思います。 私の昔の先生でしたら,「冬来たりなば春遠からじ」,と訳すと,「君は 『疑問符?』 の意味を知らないのですか。疑問文の後につけるのですよ。」,と皮肉を言うと思います。なるほど,これは疑問文です。疑問文は疑問文として訳すべきです。疑問文は疑問文でも,修辞疑問文,rhetorical question です。答えを要求しない疑問文です。「遠からじ」の「じ」は推量の否定です。「そんなことはないであろう」の意です。 次いで,この詩の題は,Ode to the West Wind です。「ode の意味を知っているか」,と先生は聞くと思います。知らない私は,辞書を引きます。
ですからこれは,西風に呼びかけた詩です。定冠詞theがついていますから,特定の西風です。調べると,1819年の秋,Shelleyはフロレンス郊外の森で暴風に遭ったとあります。Winter, Spring が大文字で始まるのは,personification,擬人法です。Winter, Spring を人に見立てているのです。
「つらい冬を耐え抜けば,やがて春が来るのだから,がんばりなさい」と一般に理解されていますが,Shelley のこの詩を読むとそんな意味はありません。
名訳です。妥協などしない,英語教師の良心を感じる訳です。疑問符,「?」をつけたのは,世に流布している,「冬来たりなば春遠からじ」の原文は疑問文ですよ,と言いたかったのかも知れません。 |