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It's a Woman's Prerogative to Change Her Mind
女心と秋の空
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰
 U.S, U.K, N.Z, Canada, Australia..., いずれの国でも,女性に関する,次の clich に出会います。諺と言ってもいいほどのものです。

“It's a woman's prerogative to change her mind.”

 大人の女性であれば,誰もが持っている特権です。昔,私の師は,この女性の特権を説明するのに,after you を挙げました。

 「エレベータ,電車などで,女性と順番がかち合った時,紳士であれば,“After you.”と言わねばならない。すなわち,私はあなたの後からまいります。お先にどうぞ,という定番表現である。もちろん,女性は,“Thank you.” と言わねばならない。英語圏でこれを言わない男性は,未開人,野蛮人の烙印を押される。この女性の特権はもちろん,法律ではなく,社会の守るべき規範として広く世間に認められている。この権利が prerogative である。すなわち,いちいち説明を要しない権利である。ゆえに,いかなる理由で女性にそんな特権があるのか,誰も,問題にしない。after you 同様,なぜ女性に優先権があるのか,深く考えたりはしない。当然なこととして,英語圏では受け取られている。例えば,タイタニック号が遭難したとき,「女性は優先的に救命ボートに乗る特権がある」,と会議を開いて決定したわけではない。さらに,女性が母親になる,男が父親になる特権,It's a woman's prerogative to be a mother. It's a man's prerogative to be a father. それは,もって生まれた固有の権利で,なぜなどという説明の要はない。誰が母になる,父なる特権を否定できるのか。」

  以上が私の昔の先生の説明でした。
 さて,冒頭の,“It's a woman's prerogative to change her mind.” は,日本語の clich ,「女心と秋の空」とよく対比されます。日本語版は,袖にされた男のぼやきに聞こえますが,英語版の方は,「心変わりは女性の特権なのだから,男性は容認すべきだ」,の意味合いが強く,からっとした感じです。
 ところで,手元の2003年版 LECD の prerogative に次の例文があります。

Arriving late is a woman's prerogative.

 この用例は舌足らずで,不適切です。今の世の中で,女であれ,男であれ,約束の時間を守れない人と,仕事などできません。「デートの時は」と条件を付けてはいかがでしょう。

Arriving late to a date is a woman's prerogative.

 音韻的にも,date と late が韻を踏んでいて面白いと思います。