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Pilate Washed His Hands
ピラトは手を洗った
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰

 教会で説教を聴きました。英語での説教です。イエスを殺すには、ローマから任命された総督、 governor の許可が必要でした。当時ローマの支配下にあったユダヤは、死刑の判決を言い渡す権限を剥奪されていたのです。それでユダヤ人はイエスを総督府に連れて行きます。総督はこの男に罪は認められないと言いますが、群集は、殺せ、殺せと騒ぎます。このままでは暴動になり、統治能力を皇帝に疑われ、出世に差し障っては大変と総督は、イエスを十字架にかけることを許します。でも優秀な官僚である彼は、責任回避ため、「この男の十字架刑に関して、私に責任はない」と言います。後日、このことが問題になると困るので、その証拠として、彼はユダヤ人の眼前で手を洗います。

  ...... he(the governor)took water and washed his hands in front of the multitude, saying, “I am innocent of this man's blood; see to that yourselves.” 

Matthew 27-24, New American Standard Bible

 彼(総督)は水を取り、群集の前で手を洗い、「私はこの男の血と無関係である。お前たち自らの責任でやれ(お前たち自身で片付けよ)」筆者訳

 これが “wash one's hands”すなわち、「責任はない、責任はとらない、無関係である」とのイディオムの由来になった事件です。
 ところで、「説教の中で、pirate (海賊) が何度も preacher の口から出てきたが、あれはなぜか分からない」と言いますと、

  “Pirate...? Oh, Pilate, it's the governor's name.”

 「パイレート、海賊? ああ、ピラトですね。あれは総督の名前です」と L の音を強調して教えてくれました。ユダヤ総督の日本名は、ピラトですが、英語の発音は海賊の pirate と、R と L の違いだけで日本人には識別困難です。イエスと海賊、笑えない話でした。