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A Sultry Woman on a Sultry Summer Day
暑い夏の日の熱い女性
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰

 マリリン・モンローの映画、「7年目の浮気」の原題は Seven Year Itch と言い、なかなか斬新なタイトルだと思っていたら、これがまあ、clich で辞書にも載っている、陳腐な表現と知りがっかりしました。 陳腐と言えば、彼女が、“What do you wear when you go to bed?” の問に、“Chanel No.5” と答えたこの表現も今では色あせた感があります。でも裸で寝るなどと、はしたない言い方を避けたのは、さすが大女優と感心しました。香水、口紅、時計、およそ身に付けるものであれば何でも、英語は wear なのです。顔の表情まで、wear で用が足ります。“Beneath this mask I am wearing a frown.”(この仮面の下はしかめ面をしている)The Beatles, I'm A Loser は、日本人には、たまげた wear の使い方です。
 アメリカの友人とこの映画が話題になりました。「Seven Year Itch の天候を覚えているか」との質問です。確か夏休みで、女房子供が避暑か何かに出かけて留守のとき、部屋にエアコンがないので、と言って若い女性がやって来る、暑い日でした。 「ところで」と、友人の質問は続きます。「sultry と Marilyn の関係を知っているか」。「知らない」、と答えると、“Marilyn is still called the sultriest woman, you know.” と言いました。 知りませんでした。 sultry には、「官能的な」と言う意味もあるのです。 sultry は気温が高く、湿度も高く、風はなく、息苦しくなる、すなわち蒸し暑い、そんな気候を表す言葉です。英語圏の男性は Marilyn のような女性にこのような感じをもつわけです。私にはピンときません。
 この映画は a sultry day に a sultry woman に出会った男の話なのです。英語圏の高卒以上の人でしたら、誰でもこの無言の pun に気づくそうです。英語教師歴数十年の私は、気づくどころか、別の意味があることさえ知りませんでした。