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He Threw Out His Arm
肩を痛めた
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰

 イチロー選手が話題になりました。アメリカの友人の発言です。

“Last season Ichiro rode a nice wave. This season he is riding a nicer wave.”

 なるほど、日本語の、「波に乗る」と言い方がそっくりです。イチローの活躍もですが、素直に理解できる英語だったので嬉しくなりました。でもこの後がいけません。話の中に、やたらと “throw” が出てきます。わが友人は子供のころ野球に夢中になり、真剣に練習をしたのはわかるのですが、やっぱり “throw” が分かりません。ゆっくり言ってもらってもわかりません。最後の手段です。文字にしてもらいました。

“I threw out my arm so I threw a lot of underhand throw balls because it didn't hurt my arm as much.”
「……アンダースローで投げると、腕がさほど痛くないので、もっぱらアンダースローで投げた」

 それでも、“I threw out my arm” のところがわかりません。まさか、文字通りではないでしょう。解説をお願いしました。
 “I threw out my arm” は、「腕を痛めた」の意味です。日本語は「肩を痛めた」ですが、英語は「腕」です。使い方を確認するため、例を挙げ聞いてもらいしました。

1 He read so much that he threw out his eyes.
2 He drank so much that he threw out his liver.
3 He is very careful when he lifts up a heavy thing so he doesn't throw out his back.
4 He fell and threw out his knee.

 1と2はダメ、3,4はOKです。「正否の理由が分からない」と言うと、「簡単ですよ、腱を痛めた時だけ使います。骨折には使えません。眼球は腱ではありません。肝臓もしかりです。よって1と2は誤用。他方、3と4の『腰を痛めぬよう気をつけている』と『転んで膝を痛めた』、この2つは合格です」と説明してくれました。
 そこで私が、ここぞとばかり、意気込んで、“It was sad to know that Matsui threw out his wrist.” と、言いますと一言、“No.” と言われました。(何を聞いていたのか。You thickhead! 骨折には使えないと言ったばかりでしょう。松井選手は骨折ですから、この表現は使えません。He broke his wrist.です)、とまでは言いませんでしたが、未知のイディオムは学ぶ方も教える方も大変だ、と実感しました。
 この用法は手元の辞書には見当たりません。