English Expressions A la carte
英語表現アラカルト
英語目次へ
Mugs
マグカップって、どんなカップ
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰

 授業でヘレン・ケラーの The Story of My Life を読んでいたときです。「物には名前がある」、とヘレンが気づくきっかけとなった語、“water” と共に “mug” が何度か出てきます。学生に “mug” の意味を聞くと、「マグカップ」と答えが返ってきました。確かに、日本語ではマグカップですが、mugcup なる英語はありません。 “mug” はマグ、“cup” はカップです。でもどう違うのでしょう。マグカップと聞けば、少し大きめのカップを想像します。mug も cup もコーヒなどを飲む器ですが、違いがよく分かりません。1LCED の説明は分かりやすく的確な気がします。


“a round drinking vessel with a flat bottom, straight sides, and handle, not usu. with a saucer.”

 すなわち、底が円形で平ら、側面はまっすぐ、つまり円筒形です。それに取っ手が付いていて、通常皿は付きません。一方、cup は必ずしも側面がまっすぐでありません。むしろ、半球形で、いわばお椀の形をしているのが大半です。ちなみに、2OED の定義では、“A small open vessel for liquids, usually of hemispherical or hemi-spheroidal shape” となっています。他方 mug は, “A drinking-vessel, usually cylindrical” です。以上が形状の違いですが、用途も異なるようです。3LDELC には、


“a round container....used without a saucer in the home or on informal occasions but not at formal events.” 

 家、あるいは形式ばらないカジュアルな場での使用、とあります。結婚披露宴など正式な場では使えません。
 サリバン先生がヘレンを教育したのは日常生活を通してです。生活を共にしての教育です。改まった場でも、晴れの場でもありません。つまり、“cup” を使わない生活です。ヘレンの自伝 The Story of My Life に、“cup” ではなく“mug” が出てくるのは、なるほど納得のいくことです。

参考資料
1 Longman Dictionary of Contemporary English, Longman Group Limited, 1978.
2 Oxford English Dictionary, Oxford University Press, 2002.
3 Longman Dictionary of English Language and Culture, Addison Wesley Longman 1998.