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Every Cloud Has a Silver Lining
絶望の裏は光
旭川工業高等専門学校教授
十河 克彰

 ワールド・ベースボール・クラシックに日本中が酔いしれました。1次リーグ、2次リーグで日本は韓国に2度まで敗れ、アメリカとの試合では、白を黒にされて負け、暗い気分になりました。この時点で日本の決勝トーナメント進出は99%なくなりました。1%の希望はメキシコがアメリカに勝つことです。下馬評は当然アメリカ有利です。「メキシコ有利」、と予想する野球評論家はいませんでした。当然です。アメリカは野球の王国なのです。
 友人のアメリカ人が、同情してか、日本人の私に言いました。

  “Some people still believe that every cloud has a silver lining.”

 なるほど、この諺はこんな具合にも使うのか、と合点しました。すなわち、周囲の状況は極めて悪く、悪条件ばかりの絶望状態の時でも、まだ希望はある、そうがっかりするな、と気休めを言っているのです。悪く言えば、「おためごかし」です。言っている本人でさえ、まだ希望があるなどとは、思いもしなかったでしょう。
 ところが、この諺は間違っていませんでした。メキシコが勝ったのです。その結果、日本の決勝トーナメント進出が決まりました。3度目の対戦となった韓国戦では大勝し、余勢を駆ってキューバとの決勝戦さえもものにし、初代 WBC の覇者に日本チームがなったのです。野球はキューバの国技です。カストロ以前からそうでした。『老人と海』に登場する、野球が大好きな少年のことも思い出されます。そんなキューバに勝ったのです。
 “every cloud has a silver lining” は「どの雲にも銀の裏地が付いている」、つまり、「どんな悲観的な状況にあっても、その裏は輝いているのだから、いつかは光が差し込んでくることがある」、という意味です。黒雲が一面立ち込める飛行場を離陸し、純白に輝く雲を眼下に見ると、陰鬱な世界から光り輝く世界へ、瞬間移動したような気持ちになります。