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耐震強度偽装事件が社会の根底を揺るがす問題になっています。社会の仕組みを性善説で構築してきた日本も、宗旨替えの時かも知れません。アメリカでは、信頼できない職業に、政治家、ジャーナリストと並んで中古車販売業があります。中古車屋から車を買うときは、話を額面通り受け取ってはいけないことになっています。ウソをつくからです。中古車販売のお決まりの sales talk の一つに、 “This car was only driven by a little old lady on the weekends.” があります。日本でも同様のせりふを聞いたような気がします。
「だまされるな」と言う意味の表現に、古くは、 “Don't buy a pig in a poke.” があります。袋に入った豚を買うな。つまり、きちんと中身を確かめて買え、と言う意味です。昔、UKの市場では、豚の代わりに猫などの小動物が入っていたこともあったからです。袋を開けて中身を確認しようとすると、豚が逃げ出すから開けてはいけない、と禁じられました。
“Don't take any wooden nickels.” も同様の意味です。木製のコインなどで、だまされるほど純朴な人がいたのでしょうか。「生き馬の目を抜く」に似た誇張表現かも知れません。
20世紀初頭になって、田舎の人が大都会へと大量に移動しました。田舎者はカモにされました。悪徳中古車業者に車の知識のない人は簡単にだまされました。そこで中古車を買うとき、「実際に、見て、触って、動かしてよく調べなさい」と言う意味で “kick the tires” が生まれました。自動車が普及し、空気を入れたタイヤ (pneumatic tires) の出現以降に生まれた表現でしょう。今では、中古車だけでなく、家屋購入等、行動を起こす前に問題がないかよく確認せよ、と意味は拡大しました。
耐震欠陥住宅の件は、多数の人がだまされました。 “kick the tires” のしようがなかったのです。「木製のコイン」も「生き馬の目を抜く」も誇張表現ではなく、今でも日本では生きている表現のようです。
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