I study Japanese.「夢の時間割」をつくろう

福岡県 A先生

1はじめに

大牟田市では学級担任が外国語活動を進めるという方針のもと,本校でも担任が授業を計画して進めている。そして,大牟田市作成の小学校外国語活動計画に従い,5,6年生は年間35時間実施している。また,外国語活動指導案集も作成されているので,その指導案と『Hi, friends!』を活用して授業を進めている。さらに,電子黒板が学校に配布されているので,『Hi, friends!』付属ソフトを活用して授業を行っている。授業では,活動の時に「笑顔で・はっきりした声で・相手を見て・たくさんの人と」のポイントを意識させながら,子どもたちが英語に慣れ親しみ,積極的にコミュニケーションを図ることを大切にしている。

2授業実践例

(1)担当学級

5年2組 30名

(2)単元名

I study Japanese.「夢の時間割」をつくろう(『Hi, friends! 1』 Lesson 8)

(3)単元の目標

  1. 夢の時間割づくりをする活動を通して,相手やクラス全体を見て,はっきりとした声で繰り返し尋ねたり,尋ねられたことに反応を返したりして,自分たちがつくった夢の時間割を紹介する。(コミュニケーションへの関心・意欲・態度)
  2. 教科を尋ねたり答えたりする表現(“What do you study?” “I study ~.”)を使って,夢の時間割づくりやクイズ形式での紹介をする。(外国語への慣れ親しみ)
  3. 世界の小学校の学校生活に興味を持ち,日本と外国の小学校で学習する教科の違いや共通点を知り,多様なものの考え方があることに気づく。(言語や文化に関する気づき)

(4)主な学習活動

<単元計画(全5時間)>
学習活動 指導上の留意点
1 教科や曜日を英語で言ってみよう。
  • スリーヒントクイズ
  • キーワードゲーム
  • ゲーム等で使用表現に十分慣れ親しませる。
2 外国の小学校でどんな学習をしているか調べ,自分たちの学校生活との違いや共通点を見つけよう。
  • 仲間集めゲーム
  • 聞き取りクイズ
  • 自分たちとの違いや共通点を意識して聞き取りを行わせ,わかったことを発表させる。
3 好きな教科を尋ねたり答えたりしよう。
  • Yes/Noゲーム
  • 好きな教科のインタビュー
  • はっきりした声で相手の方を見てインタビューを行わせる。
4
本時
夢の時間割表をつくって紹介しよう。
  • 夢の時間割づくり
  • クイズ形式での紹介
  • 相手に伝わるようにクイズ形式で発表させたり,誰の時間割なのか予想しながら聞かせたりする。
5 グループで夢の時間割表をつくって紹介しよう。
  • グループで夢の時間割づくり
  • グループの夢の時間割の紹介
  • グループで話し合って時間割をつくらせる。
  • 相手に伝わるようにクイズ形式で発表させたり,どのグループの時間割なのか予想しながら聞かせたりする。

(5)本時の学習

<ねらい>
<展開>
  1. 始めのあいさつをする。
  2. キーワードゲームをする。
  3. 今日のめあてを確認する。
  4. 「夢の時間割づくり」や「クイズ形式で紹介」をする。
    • 教科名が書かれたカードのやりとりをして夢の時間割づくりをする。
      A: What do you study on Monday?
      B: I study Japanese and music.
    • 夢の時間割をクイズ形式で紹介する。
      A(全員)
      What do you study (on) ~?
      B(代表者)
      I study ~, ~, ~ and ~.
  5. 本時の学習を振り返る。
  6. ♪“Sunday, Monday, Tuesday” (『Hi, friends! 1』p.34)を歌う。
  7. 終わりのあいさつをする。
<授業づくりのポイント>

外国語活動において,各単元に設定されている表現を使って,子どもにとって聞きたい,話したいという意欲がわくような題材や活動を設定することが大切である。そこで,本時では子どもが独自に考えたオリジナル教科を含んだ夢の時間割を作成して,クイズ形式で紹介させた。その際,夢の時間割やオリジナル教科をつくった理由も発表させることにした。また,言葉で表現できない時はジェスチャー等を使って表現させることで,友達の夢の時間割を知りたい,自分の夢の時間割を知ってほしいという思いや聞く・話す意欲が高まるようにした。さらに,夢の時間割やオリジナル教科をつくった根拠を述べることで互いに理解が深まるようにした。

<授業の実際>
〔Warming up〕

本時のフレーズである “What do you study (on) ~?” “I study ~.” に慣れ親しませるために教科名を使ったキーワードゲームを行った。

ペアやグループでする場合
  1. ペアをつくり,お手玉を1つ生徒と生徒の間に置く。
  2. 担任が選んだキーワード(例:English)を全員で確認する。
  3. 担任が1つ単語を言い,続けて子どもたちも同じ単語を復唱する。そのあと手拍子を2回する。
  4. 担任がキーワードを言ったら,繰り返さずに,目の前にあるお手玉を取る。
    <対話例>
    Teacher
    Japanese.
    Students
    Japanese. パン・パン(手拍子)
    Teacher
    English. (←キーワード)
    Students
    (目の前のお手玉を取る)
  5. 慣れてきたらペアではなく,グループで行う。もしくは単語ではなく文(例:I study Japanese.)で行う。
いろいろな人とする場合
  1. 担任がキーワードを決め,子どもたちには教えない。
  2. 1人3枚ずつ,違う教科名が書かれたカードを持つ。
  3. 教室を歩きまわって,出会った人とじゃんけんをする。負けた子どもが “What do you study?” と聞く。勝った子どもは自分が持っているカードから1枚選んで,書いてある教科名を答える。(例:I study Japanese.)負けた子どもがJapaneseのカードを持っていたら,勝った子どもに渡す。持っていなかったら別れて違う子どもと繰り返す。
  4. 同じ教科名が書かれたカードが3組できたら終了。終了した子どもが3~5名になった時点で,ゲームをやめる。
  5. 担任がキーワードの教科名を知らせる。キーワードが書かれたカードを持っていた子どもに点数を与える。

キーワードゲームのような単純なゲームは,子どもの活動意欲が低くなるので,変化をつけて繰り返すことが必要である。そこで,まず単語で活動を行い,そのあと文にしたり,ペアやグループ,いろいろな人と行わせたりして,変化をつけた繰り返しを行いながら楽しく活動させる。また,教師役を子どもにも行わせ,子どもが活躍する場面を増やしたことで,より一層の意欲の向上につながった。


子どもによるキーワードゲーム


ペアで


いろいろな人と

〔Main activities〕


子どもがつくった夢の時間割

夢の時間割づくり

夢の時間割をつくる活動では,担任と代表の子どもでモデルを示し,笑顔で相手を見て,はっきりとした声で繰り返し尋ねたり,尋ねられたことに反応を返したりして会話をしながら時間割をつくることを確認してから活動をさせた。子どもたちは,自分が考えた夢の時間割に沿って “What do you study on Monday?” “I study Japanese and music.” などのやりとりをしながら,教科名が書かれたカードを時間割のワークシートに貼って,1週間分の時間割をつくり上げた。


はっきりとした声で


笑顔で


相手を見て

クイズ形式での紹介

できあがった夢の時間割をクラス全員にクイズ形式で紹介させた。その際,数名の時間割を掲示して,代表の子ども1人に全員で “What do you study?” と尋ね,自分の時間割の1日分を “I study ~.” と答えさせた。聞き手となった子どもたちはしっかり聞いて,掲示してある時間割を見比べながら答えることができた。

<クイズ形式での対話例>

A(全員)
What do you study?
B(代表者)
I study music, Japanese, social studies and Japanese.
A(全員)
Next hint, please. What do you study?
B(代表者)
I study music, Japanese, social studies, Japanese, English, and English on Tuesday.
C(子ども)
No.3?
B(代表者)
That’s right.


クイズ形式での発表の様子


夢の時間割をつくった理由の発表

夢の時間割やオリジナル教科を紹介したのち,つくった理由も発表させた。夢の時間割では,「1時間目を全部音楽にしました。理由は,朝から歌を歌ったりリコーダーをしたりすると気持ちがよくなり,楽しくなるからです。」「金曜日をラッキーデーにしました。理由は,1週間がんばったごほうびに好きな教科をたくさん入れたかったからです。」などがあった。発表を聞いた子どもたちは,夢の時間割をつくった理由がわかり,納得したようであった。

オリジナル教科の発表

オリジナル教科の発表では,「僕は(跳ぶジェスチャーをしながら)ロング・ロープ・ジャンプ,大縄跳びを考えました。みんなで協力して楽しく活動できるし団結できるからです。」「私は(ダンスをしているジェスチャーをしながら)ダンスを考えました。みんなで踊ると楽しいし,ダンスを習っているのでみんなに教えたいからです。」などがあり,子どもたちは自分なりの考えを発表することができた。

〔Looking back〕


振り返りカード

本時の振り返りと ♪“Sunday, Monday, Tuesday”の歌

振り返りカードを使って本時学習を振り返らせ,自分や友達のつくった時間割のよさを賞賛させたり,♪“Sunday, Monday, Tuesday”を歌ったりして,本時学習のまとめとした。

振り返りの中で「友達の好きな教科がわかった。時間割の中に体育を多くしている理由もよくわかった。」「○○君のオリジナル教科をやってみたいと思った。みんなが協力して仲良くなり,楽しく活動できそうだと思った。」などの感想があった。

3おわりに

自分が考えた夢の時間割をつくり,つくった夢の時間割をクイズ形式で紹介させたことで,興味を持って友達の時間割を聞くことができた。さらに,夢の時間割やオリジナル教科をつくった理由も発表させたことで,友達の考えのよさにも気づくことができ,お互いを理解し合えることにつながった。

今後は,外国語活動の目標である「コミュニケーション能力の素地を養う」ために,子どもが思わず聞きたい,話したい,やってみたいと思うような活動を行うことが必要である。そのために外国語活動の授業では,活動をすること自体が目的ではなく,ある目的を達成するためにその活動が手段となっているような問題解決的な学習を行うことが大切である。そして,活動そのものが「楽しく(fun)」,「知的好奇心を高める(interesting)」ようなものにしていくことが重要であると考える。

指導案はこちら(PDF:217KB)

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