ホーム > 教師の方へ > 小学校 > 私の実践・私の工夫(生活) > 1学年生活科 ― 家族や友だちとの交流 ― 「みんなみんな大すきだよ」の実践

教師の方へ

私の実践・私の工夫(生活)

1学年生活科 ― 家族や友だちとの交流 ―
「みんなみんな大すきだよ」の実践

1年

若狭町立みそみ小学校 教諭

具体的実践

[1] 単元の目標

  • 家庭生活は,家族の仕事や温かさによって支えられていることに気付き,家族の一員として自分のできることを考え,進んで自分の役割を果たすとともに,規則正しい生活を送ることができる。

[2] 指導について

本単元は,指導要領の内容である「家庭生活を支えている家族のことや自分でできることなどについて考え,自分の役割を積極的に果たすとともに,規則正しく健康に気をつけて生活することができるようにする」を軸にして,家族との触れ合いを中心に活動を展開したものである。

子どもたちにとって,家庭はすべての活動のホームグラウンドである。しかし,この時期の子どもたちは家庭に全面的に依存しているため,かえって家族や家庭のよさを感じたり,自分が家庭でできることがあることに気付いたりしないことが多い。家族がしている仕事を調べてワークシートに書くことによって,自分が今まで知らなかった仕事があることや自分が家族によって支えられていることに気付かせ,家族のよさや家庭の温かさ,家族の大切さが分かるようにしていきたい。そして,自分が今までにしたことのある仕事や家の人に教えてもらってできそうな仕事に挑戦し,その中から友だちに紹介する仕事を決めて計画や準備を行い,仕事発表会をする。その過程で,同じ仕事でもやり方の違いや工夫があること・自分にできることが増えたことに気付かせたい。その中で自分の成長を実感し,さらに自分でも新しい仕事を見つけやってみようとする意欲を高め,実践させていきたい。

【本校研究テーマと関連した目指す子ども像】

  • 家庭では,掃除・洗濯・炊事などさまざまな仕事があることを理解し,自分のことは自分でできるようにしていくとともに自分のできる仕事を増やしていける。
  • 家族の協力を得ながら,自分が家族と一緒にした遊びや仕事を調べたり,家族がしている仕事を調べたりすることによって,家族のよさを知る。
  • 自分のした仕事を紹介したり友だちの仕事の紹介を見たりすることで,いろいろな仕事があることや工夫があることなどに気付き,自分も新しい仕事に挑戦しようとする。

【言語活動の充実のために】

自分の仕事の紹介で,「仕事のやり方」については,「まず始めに」「1番目に」「次に」「2番目に」「3番目に」「最後に」などの順序を表す言葉を入れながら説明させることで,説明する方も聞く方も順番をはっきりとし分かりやすくしていきたい。また,「道具の使い方」「気をつけること」「上手にできるこつ」などの言葉をキーワードに説明できるようにさせたい。

[3] 指導計画

(1)評価規準
評価の観点 評価規準
生活への関心・意欲・態度 家庭での生活や家族のことについて,興味・関心をもって取り組み,自分にできる役割を行い,規則正しく健康に気をつけて生活する。
活動や体験についての思考・表現 家族のことや自分でできることを考え,家庭や家族のことについて調べたことや体験したことをまとめたり表現したりできる。
身近な環境や自分についての気付き 家庭生活は,家族の温かさや家族の仕事によって支えられていることに気付いている。
(2)指導と評価の計画 全11時間(本時10/11)

学習活動 教師の支援 評価規準 評価(評価方法)


・家族と一緒にした仕事や遊び・手伝いなどを思い出して絵や文,図にする。 (2時間) ・夏休みの絵日記を見たり家の人とした遊びや仕事を思い出したりしながら,ワークシートに記録し,絵と文でかかせる。 ・家庭には,いろいろな仕事や触れ合いがあることに気付いている。(ワークシート,図・発言)
調

・家族がどんな仕事をしているか調べる。 ・家族ひとりの仕事を調べ,ワークシートに記録する。 (課外)家庭への協力を求める。 ・自分のことは自分でできているか考えさせる。 ・自分が寝ている間にも仕事をしていることに気付いている。(ワークシート,発言)
・自分でできる仕事を決めて,挑戦してくる。 (2時間) ・家ではどんな仕事があるか調べてワークシートに書かせ,できそうな仕事をさがさせる。 (課外)家庭への協力を求める。 ・家庭で見つけた仕事を発表し合っている。(発言) ・自分ができそうな仕事をさがし,実践しようとしている。(ワークシート,発言)



・自分のやってきた仕事を紹介するための準備をする。 (3時間) ・自分がやってきた仕事の中から得意なものを一つ選ばせる。同じ仕事の場合は,2~3人でグループを作り,どんなふうに発表するか考えさせ,必要なものを準備させる。 ・どんな小さな仕事でもほめて,関心を継続させる。 ・仕事を紹介するための準備を,意欲的に行っている。(活動,発言) ・友だちに分かりやすく説明するために工夫している。(活動,発言)


・家で挑戦した仕事を紹介し合う。 (3時間)
本時3/3
・順番を示し,聞いている友だちに分かりやすく説明させ,自分が仕事をしてよかったことも発表させる。 ・はっきりゆっくり聞いている友だちに分かりやすく説明しているか。(活動,発言)
・紹介を聞くときに,自分の家と似ているところ違うところに気をつけながら聞かせる。 ・家で挑戦した仕事について,お家の人に励ましの手紙を書いてもらう。 ・仕事をして,自分でできることが増えたことに気付いている。(発言,ワークシート) ・友だちの説明を聞いて,自分の家と違うところや自分にもできそうだと気付いている(発言,ワークシート)

1回目の発表
風呂洗い・水やり,枝豆とり・きゅうり切り,いかの皮むき

2回目の発表
風呂洗い・茶碗洗い・布団たたみ



・学校での発表会を見て,ほかにもできることを自分で見つけてする計画を立てる。(1時間) ・友だちの紹介を見て,今までにやったことのない仕事にも挑戦させる。 ・お家の人への感謝の言葉を書かせる中で,自分のことは自分でできるようにすることもお家の人がうれしいことに気付かせる。 ・家でやったことのない仕事に挑戦しようとしている。(ワークシート,つぶやき,) ・歯みがきや顔洗い,学校の用意など自分のことは自分でしようとしている。(手紙,つぶやき)

[4] 本時の目標

友だちと仕事を紹介し合う中で,同じ仕事でも家庭によってやり方が違うことや友だちのよいところに気付いたり,してみたい仕事を見つけたりすることができる。

[5] 本時の評価規準

  • 家で挑戦した仕事をみんなに紹介することができる。(思考・表現)
  • 友だちの説明を聞いて,自分も興味を持ってやろうとしている。(関心・意欲・態度)
  • 友だちの説明を聞いて,仕事で工夫していることや自分の家と違うところに気付いている。(気付き)

[6] 本時の指導過程

活動内容及び活動 教師の支援(児童A・B☆★)・評価(※は評価)

○ ポスターセッション式紹介で回る順を確かめる。 ○ 本時の課題を知る。
家でした仕事発表会をしよう。 ・友だちによく分かるように紹介しよう。 ・友だちの仕事のやり方を知ろう。
・だれがどんな仕事を紹介するか,3つのグループに分かれて回る順の確認をする。 ・聞いている人によく分かるように,順番に気をつけながら発表させる。 ・仕事の紹介を聞いて,工夫しているところや自分の家と違うところに気をつけながら聞かせる。

○ 友だちに仕事を紹介し合う会をする。 ・自分のコーナーで仕事の説明をしながら,順番に仕事をしてみせる。 ・友だちにも仕事の体験ができたら,させてあげる。 ・自分の家の仕事と比べながら友だちの発表を聞く。 ・ペープサート,発表用のカード,写真などを使い,友だちに分かりやすく,視覚的に訴えられるような紹介ができるよう支援する。 ・自分でしっかり説明できない児童については,そばに行って支援する。 ※家で挑戦してきた仕事を,友だちに分かりやすく説明できたか。(思考・表現) ※友だちの説明を聞いて,自分も興味を持ってやろうとしているか。(関心・意欲・態度) ☆★しっかり話す人の方を見て順番に気をつけて聞くように支援する。理解できない場合は,そばで説明する。

○ 友だちの紹介を聞いて気付いたことをワークシートに書き,発表する。 ・仕事で工夫しているところや自分の家と仕事のやり方が違うところなどを発表する。 ・自分のやってみたいことやできそうだと思うことも発表する。 ○ 次時の課題を知る。 ※友だちの説明を聞いて,工夫していることや自分の家とやり方が違うことに気付いている。(気付き)

場の設定

[7] 単元を終えて


この単元の学習では,家庭の協力がかかせないものであったが,保護者は一緒に仕事をしたり「家での仕事大作戦」カードに励ましの言葉を書いたり協力してくださった。この学習が終わっても,「家での仕事大作戦」カードに何人も書いてきている。友だちの発表を聞いて,今までしていなかった仕事に挑戦してきた児童もいる。仕事をたくさんしてくる児童の中に,「仕事は難しいけれどやっていたら楽しくなった」「最初はどうやったらいいか分からなかったけどやっていたら上手になった」という感想を書いている子が何人もいた。このことから,できなかったことができるようになった喜び,家の人と一緒に仕事をする楽しさ,役に立てたという満足感などがうかがえる。家族はみんな大好きなので,お家の人に喜んでもらうために冬休みにどんな仕事をするかを決めて,簡単に記入できる仕事カードを作って仕事に挑戦させた。仕事に意欲を燃やし進んで仕事をするようになった児童もいるが,中にはあまり仕事をする気がない児童もおり,このような児童にどう働きかけたらいいか考えていかなければならない。