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教師の方へ

私の実践・私の工夫(算数)

5年 分数の加減
「分数の加減の理解を深める」「説明する力を育てる」ための学習指導の工夫

5年

福井県永平寺町小学校 教員

1.はじめに

「分数の加減」は分母同士,分子同士を足したり引いたりしてしまうなど,大変間違えやすい単元であり,特に力を入れて学習したい単元である。また,本学級の児童の多くは算数の学習に対して意欲的に取り組む反面,自分の考えを説明することに対しては苦手意識をもっていることが多い。

そこで,<1>分数の加減の理解をさらに深めるため,<2>友達にわかりやすく説明するための学習指導の手段を模索するために研究をすすめた。

2.指導について

本単元を指導するにあたって,以下のことについて配慮していきたい。

(1)算数的活動について


本単元では,リットル分数板での操作活動を算数的活動の中心に据える。

リットル分数板
用紙を等分し,操作活動が容易にできるようにしたものである。単位分数によって色分けすることで,視覚的にも区別しやすくしてある。

リットル分数板の種類は2分の13分の14分の15分の16分の18分の112分の1の7種類である。背面に磁石を付けると黒板やホワイトボードに貼り付けることができる。

1Lのリットル分数板のサイズは,リットルマスを横から見た大きさをもとに10.5cm×15cmに設定した。右図のようにホワイトボードには,1Lのマスがかいてあり,そこに分数板を貼り付けてジュースなどの量とリットル分数板とを結びつけることができるようになっている。

本単元において,大小比較や計算の仕方を理解する上で,等分割されたテープ図や円などを用いたさまざまな方法が考えられるが,ここでは,リットル分数板を用いての操作活動を多く取り入れていきたい。その理由は以下の通りである。

  • <1>横に並べて提示したり,重ねて提示したりすることで,等しい分数を理解しやすい。
  • <2>縦や横につなげることで1より大きい分数もイメージしやすいので異分母分数の加減だけでなく,(分数)×(整数),(分数)÷(整数)の計算など,単元を通して活用できる。
  • <3>ゲームなどに応用し,動機付けを図ることができる。

ゲームの例(第16分の3時 分数取りじゃんけん,ペアで行う。)

  • <1>それぞれが6分の1L,3分の1L,2分の1Lの分数板を1枚ずつ持つ。
  • <2>じゃんけんで勝ったら相手から6分の1Lを1枚もらう。
  • <3>じゃんけんを数回繰り返し,出来上がった分数が多い方が勝ちとする。

※じゃんけんを繰り返していくと,6分の1のカードがなくなる。そこで,2分の13分の16分の36分の2に替える必要性がうまれ,その操作活動が通分や約分の意味理解につながると考える。

一人ひとりにリットル分数板を持たせ,各自が操作活動をできるようにする。自力解決の場でリットル分数板を使って考えたり,学び合いの場で提示して説明したりして考えを深め合うことができるようにしたい。

異分母分数の加減の計算において,通分し,元になる単位分数のいくつ分かで考えること(例えば2分の13分の16分の36分の2すなわち6分の1の5つ分)が大切なことである。同様に,分数と整数の乗除の計算においても基本となる単位のいくつ分にあたるのか(例えば3分の2×4の場合,3分の1が2×4つ分)を理解することが重要なこととなってくる。すなわち,元になる単位分数を見つけることが大切である。したがって,リットル分数板を用いた操作活動を多く取り入れ,通分や約分,(分数)×(整数),(分数)÷(整数)の意味を視覚的に捉えることができるようにしていきたい。

(2)児童の説明する力(学び合う力)を育てるために

新学習指導要領の目標の始めに「算数的活動を通して」とあり,この部分が算数科の目標全体に関わっている。また,「算数的活動」とは,児童が目的意識をもって主体的に取り組む算数に関わりのある活動と定義されている。

そこで,本校では,研究主題を「生き生きと学び合う子を目指して-算数的活動を通して-」と設定し,算数科での学び合う授業作りを通して,数学的な思考力や表現力,活用力が高められる授業の在り方を研究推進している。

「私はこう考えたけれど,これでいいのかな。」「○○さんの考え方がいいな。」「こんな解き方もあるのか。」などのように,お互いに自分の考えを出し合い学び合うことで,自分の考えが確かなものになり,理解が深まる。また,コミュニケーション能力の育成,表現力の育成にもつながると考える。教師が教えるという意識ではなく,児童の豊かな発想や互いに学び合う力を生かしながら学習活動を展開することで,『瞳を輝かせ学び合う児童や主体的に意欲的に学ぼうとする児童の育成』をめざしている。

本単元では以下の3点を重視したい。

[1] 学習指導過程の工夫
「課題提示」→「自力解決」→「学び合い」→「適用問題」の4段階を基本とし,自分なりの考えをもって友達と関わり合いながら問題を解決できるようにする。

[2] ふりかえりの場面の工夫
ノートには毎時間 (ア)本時の課題 (イ)自分の考え (ウ)今日の学習で(友達の考えと似ているところ,異なるところ,友達の考えのよいところ,感想など) を記入する。そして,授業の最後には必ず「今日の学習で」を発表する場面をもつようにする。このことを通して,授業や友達から学ぶという意識をつけたい。毎時間,繰り返し行うことで友達の意見と比較して考えをもつようになり,話し合いがより深まっていくと考える。

[3] 分かりやすく伝えるための工夫
解決の根拠となった事柄を説明するときには,式や図などと関連をもたせながら順序よく行う必要がある。「まず~」「次に~」「そして~」「だから~」「答えは~」などの説明の話型を用いさせ,具体物を操作する活動を合わせて行うことにより,聞き手に正しく伝わる説明ができるようにする。そのことがお互いの学び合いにつながると考える。

また,教室には,リットル分数板以外に円形の分数板,数直線などで表された分数を掲示しておく。そして,リットル分数板と数直線などを比較したり,結びつけて説明したりできるようにする。

(3)本時について

○ リットル分数板を量として捉えさせるために

本時では,異分母分数を合わせて,1Lを作ったり等しい分数を探したりする活動において,リットル分数板で操作活動をする。その際,リットル分数板を単なるカードとして考えるのではなく,量として捉えさせることで,より生活に密着した教具にする。そこで,最初に1Lマスの色水を見せる。それを操作しやすくしたものとしてリットル分数板を提示することで,量として認識させていきたい。

しかし,式化する場面では量から数へ一般化することを考えて,単位を書かずに数字のみで示していくようにする。

○ 等しい分数の意味を捉えやすくするために

前時では同分母分数のリットル分数板を用いて合わせて1Lを作る活動を通して,既習事項の確認をする。本時では前述したように,異分母分数のリットル分数板を組み合わせて,1Lを作る活動を取り入れ,それぞれの児童が作ったものを黒板に掲示する。同じ考えをグループ化したりリットル分数板を横に並べたりして視覚的に整理しながら等しい分数があることに気づかせたい。また,等しい分数のきまりを見つけ出す活動においても,リットル分数板を横に並べることや式を順序良く並び替えたりすることで,分母,分子の横の関係(分母,分子に同じ数をかけたりわったりしても大きさは変わらないこと)をつかみ,等しい分数の作り方のきまりを見つけさせたい。

○ 等しい分数の作り方やきまりについて理解を促すために

等しい分数の作り方やきまりを探していく活動においては,2分の14分の26分の38分の43分の26分の4など,式を提示するだけでは,きまりを見つけにくい。そこで,式を見て,気づいたことをなるべくたくさん挙げさせ,その意見の中からすべての分数にあてはまるきまりを探し出していく方法をとりたい。また,友達の意見を聞き自分の言葉で言い換えさせたり,児童の発言を基にまとめたりしていく中で,等しい分数の作り方やきまりについての理解を深めたい。

3.本時の学習(2/16時間)

(1)本時の目標

等しい分数の作り方を考え,きまりを見つけることができる。

(2)準備物

リットル分数板(2分の1L,3分の1L,4分の1L,6分の1L,8分の1L) ホワイトボード(小12枚,大6枚)
自作コンテンツ(power.pointで作成したもの)

(3)学習過程

過程 ○学習活動・予想される反応 学習形態 ○指導上の留意点・評価【評価方法】



18
1.リットル分数板でじゃんけんゲームをする。
・ルール

6分の1Lの分数板を3枚ずつ持つ。
じゃんけんで勝ったら相手から1枚もらう。
3回じゃんけんして出来上がった分数が多い方が勝ち。

ペア ○リットル分数板を量として捉えさせる。 ○必要なリットル分数板以外は袋に入れておく。 ○じゃんけんゲームの結果で,1Lになったペアを取り上げ,次の活動につなげる。
 
違う分母の分数板を使って1Lを作ろう。
  2.2分の1L,3分の1L,6分の1Lのリットル分数板で1Lを作る活動を通して,等しい分数があることを理解する。
2分の1L,3分の1L,6分の1Lのリットル分数板を用いて1Lを作る。 個人 ○考えた中から1つ選び,ホワイトボード(小)に貼らせ,全員の考えを黒板に掲示させる。
○発表する。
6分の1が4枚,3分の1が1枚 6分の1が3枚,2分の1が1枚 6分の1が2枚,3分の1が2枚 6分の13分の12分の1が1枚ずつ

一斉 ○掲示する場合には同じ大きさであることを視覚的に捉えやすくするためにリットル分数板を横に並べて提示する。 ○同じ考えをグループ化する。

○提示されたリットル分数板を見て,気がついたことを発表する。 6分の1が2枚で3分の1と同じ。(6分の2 = 3分の1 6分の1が3枚で2分の1と同じ。(6分の3 = 2分の1 6分の1が4枚と3分の1が2枚で同じ。(6分の4 = 3分の2 6分の13分の1を合わせると2分の1と同じ。 6分の13分の12分の1 ○分母が異なっても同じ大きさの分数があることに着目させる。 6分の13分の12分の1の考えについては,加法の学習で扱うことを知らせる。




15
等しい分数のきまりを見つけよう。
3.等しい分数を見つける。
2分の1L,3分の1L,4分の1L,6分の1L,8分の1Lのリットル分数板を用いて等しい分数を作り,発表する。 2分の14分の26分の38分の4 3分の16分の2 4分の18分の2 3分の26分の4 ペア

一斉
○5種類のリットル分数板を使ってホワイトボード(大)に貼らせる。 ○「等しい分数」=「同じ大きさの分数」であることを確認する。 ○同種類のリットル分数板を使って作らせる。 ○発表された考えをリットル分数板を用いて提示していく。その後,2分の14分の26分の38分の4の順に分数のカードを並べなおし,きまりを見つけやすくする。 ○みんなで考えた等しい分数をノートに整理させる。




22
4.等しい分数のきまりを見つける。
○提示された等しい分数から気づいたことを書く。 個人 ○気づいたことは「等しい分数のきまり」に限定せずに自由に記述させることで,多くの考えを出させる。
○気づいたことを話し合う。 ・ 分母を分子で割ると,2になる。 ・ 分子が1ずつ増えると,分母は2ずつ増える。 ・ 分子を2倍,3倍…すると,分母も2倍,3倍…になる。 一斉 ○出てきた考えの中からすべての場合に当てはまるきまりを考えさせ,「分母,分子に同じ数をかけても,わっても分数の大きさはかわらない。」に帰着させる。
○等しい分数のきまりをまとめる。
分母,分子に同じ数をかけても,わっても分数の大きさは変わらない。
○「等しい分数を作るには,もとの分数の分母と分子に同じ数をかけたり,わったりすればよい。」ということをおさえる。 考 等しい分数を見つけ,そのきまりを考えることができる。 【ノート・発表】 支 リットル分数板や分数を横に見させ,分母分子の関係に着目させる。





5.適用題を解く。 一斉 ○コンテンツを用いてフラッシュ問題を解く。慣れてきたらスピードを上げる。
6.本時の学習をふりかえる。

4.授業を終えて

<1>リットル分数板の効果的活用法について

異分母分数の加減の計算でも,結果を予想したり結果の確認をしたりする場面でリットル分数板を活用した。また,分数の大きさ比べや分数×整数では分数板を横に並べたり,分数÷整数では分数板を切断したりして学習を進めた。その際に「分数に整数をかけるってそういうことなんだ。」「計算結果とリットル分数板がぴったりあうよ。」「もっと分数板を使いたい。」といった声が聞こえた。リットル分数板で視覚的に計算の確認や予想をすることができ,より理解が深まったと考える。

その一方で,分数板を見てすぐに理解できる児童や,式だけでは理解が難しいという児童もいる。導入の段階で分数板に慣れ親しみ,式と分数板を結びつける活動も必要である。

分数板の使い方としては,分数板を縦に使用する場合が多いが,横に並べてみたり,重ねて比べたりすることでより理解が深まる場面も考えられる。臨機応変に使い方を変えていくと効果的ではないかと思われる。


3分の2 × 2の意味を考えるとき


8分の4 ÷ 2の意味を考えるとき

<2>数学的な思考力や表現力について

学習過程を「課題提示」→「自力解決」→「学び合い」→「適用問題」と設定し,学習を進めてきた。「学び合い」の学習では,グループ学習(3人)で話し合った結果を当番が全体に説明することにしている。説明の苦手な児童はグループの仲間に助けられながら説明してきた。繰り返し活動するうちに少しずつではあるが自信もついてきた。自分の考えをどのように説明させるのか明確にし,意見を出し合う場を多く設定することで数学的な思考力や表現力,活用力を高めていきたい。

<3>ペア学習の充実について

本時では,等しい分数を探す場面においてペアで活動した。その時に,協力できているペアとそうでないペアとがいた。そこでペアで学習する機会を増やしたり,協力しないとできないような課題を設定したりして有意義なペア学習にしていきたいと考えている。また,本時ではペアで使うホワイトボードが大きかったために個人でも活動ができてしまった。ペア学習などの場の設定の工夫もさらに必要であると感じた。

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