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教師の方へ

私の実践・私の工夫(理科)

「水のすがた」
~水を冷やしたときの変化~

4年

理科支援員 橋口 政昭

1.はじめに

水のすがたと温度については,小学校学習指導要領理科 第4学年「A(2)金属,水,空気と温度」ウに「水は,温度によって水蒸気や氷に変わること。また,水が氷になると体積が増えること」とある。その内容としては,「解説」に「寒剤を使って水の温度を0℃まで下げると,水が凍って氷に変わることもとらえるようにする。さらに,水が氷になると体積が増えることもとらえるようにする」とある。

教科書にある「水を冷やしたときの変化」の実験では,温度が思うように下がらなかったり,いったん下がった温度が上昇するなど,児童が納得するような結果が得られないことがある。そこで,児童が納得するような実験結果を得るために,どのような条件で実験すればよいのか,ビ−カ−の大きさ,氷の大きさや量,試験管の大きさ,試験管に入れる水の量,試験管を立てる場所,温度計の位置,食塩の量,食塩を溶かす(加える)水の量等をいろいろに変えて実験を試みた。参考にして頂ければ幸いである。

2.実験データ

<実験1>

ビーカー 試験管 氷(大) 水の量
300ml 16.5ミリ 5ml 200g 100ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
50g 壁面 1cm 静止

◯表の見方

(1)氷(大)・・・製氷皿の氷, 氷(中)・・・細かく砕いた氷, 氷(小)・・・かき氷
(2)試験管の位置 壁面・・・試験管をビーカーの壁面に付ける
中央・・・試験管をビーカーの中央に置く
(3)試験管の高さ・・・ビーカーの底面からの試験管の高さ
(4)試験管内の温度計の位置 上・・・試験管内の水の上部
中・・・試験管内の水の中央
下・・・試験管内の水の底部(温度計の液溜めに切ったストローを付けている)
(5)温度計の状態 静止・・・温度計を静止したまま
動・・・温度計を1~2秒おきに温度が0℃になるまで3~5回動かす

◯100mlの水に食塩50gを溶かす(20℃の時の食塩の溶解度は35.89gであるので,溶け残りがある)。
◯溶け残っている食塩ごと,ビーカーの氷にかける。

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 15 11 6.5 5.5 4 3 2 1.5 0 -1 -1.5 -2 -2.5 -3
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13 13.5 14 15
温度(℃) -3.5 -4 -4 -4.5 -5 -2.5 -1 0 0 0 0 0 0 0 0
◯装置 ◯[食塩+水]をかける前 ◯12分後(0℃)

◎10分後から温度が上昇しはじめ0℃のままの状態が続いた。
◎試験管はスタンドに固定してあるため,ゆらすことはできない。

<実験2>

◯実験1の氷「大(200g)」を「中(200g)」に変えて実験

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 15 8 4 1.5 0 -2 -3 -4.5 -5.5 -2 -1 0 0 0
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13 13.5 14 15
温度(℃) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

◎4分30秒後に-5.5℃まで下がった温度が上昇し,0℃の状態が続いた。
◎試験管の内部が凍っていなかった。

<実験3>

ビーカー 試験管 氷(大) 水の量
300ml 16.5ミリ 5ml 200g 100ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
70g 壁面 1cm 静止

◯実験1の食塩「50g」を「70g」に,試験管内の温度計の位置「下」を「中」に変えて実験
◯溶け残っている食塩ごと,ビーカーの氷にかける。

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 15 12 8 6 4 3 2 0 -1 -2 -3 -4 -5 -5
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13 13.5 14
温度(℃) -6 -6 -4 -1 -1 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5
 
◯装置 ◯9分後(-1℃)

 ◯一度,-6℃まで下がった温度が8分を過ぎると上昇した。

 ◯試験管の内部は凍っていなかった。

<実験4>

◯実験3を食塩100gに変えて実験

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 12 7 3 1 0 -1 -1.5 -2 -2.5 -3 -3 -3.5 -4 -4
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12
温度(℃) -2 -1 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5

◎食塩の量を増やしても実験結果に違いは見られない。

<実験5>

ビーカー 試験管 氷(中) 水の量
300ml 16.5ミリ 5ml 200g 100ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
70g 壁面 1cm 静止

◯実験3の氷を(大)から(中)に変えて実験

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 13 5 0 -2 -5 -0.5 0 0 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13 13.5 14
温度(℃) -0.5 -2 -3.5 -4 -5 -6 -6.5 -7.5 -10 -12 -12 -13 -13 -13
◯装置 ◯3分30秒(0℃) ◯14分(-13℃)

◎2分30秒後に-5℃に下がった温度が急に上昇して0℃になってから,また徐々に下がり始めた。

<実験6>

ビーカー 試験管 氷(中) 水の量
300ml 16.5ミリ 5ml 200g 50ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
70g 中央 1cm 静止

◯実験5の試験管の位置を「壁面」から「中央」に変えて実験。

◯食塩70gに水50mlを加え,かき混ぜたものを300mlのビーカーに入れる。

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 12 6 2.5 1 0 0 -0.5 -0.5 -4 -10 -13 -15 -16 -17
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12
温度(℃) -18 -18 -19 -19 -19 -19 -19 -19 -19 -19
◯0分(18℃) ◯3分(0℃) ◯8分(-18℃)

◎試験管は壁面より中央に置いた方が良い結果が得られる。

<実験7>

ビーカー 試験管 氷(大) 水の量
300ml 16.5ミリ 5ml 200g 100ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
100g 中央 1cm 静止
時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 6 2 -1 -2 0 -0.5 -0.5 -1 -1 -1 -1.5 -2 -2 -2
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12
温度(℃) -2 -2 -2.5 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3

<実験8>

ビーカー 試験管 氷(大) 水の量
300ml 16.5ミリ 5ml 200g 100ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
70g 壁面 0㎝ 中(試験管を動かす) 静止(固定)
時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 17 10 5 3 0 0 0 -0.5 -1 -1 -1 -0.5 -0.5 -0.5 -1
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13 13.5 13 14
温度(℃) -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1.5 -1.5 -1.5 -1.5
◯0分(17℃) ◯7分(-1℃) ◯13分(-1.5℃) 

◎実験7,実験8ともに同じ条件で再実験をしたが両方とも思わしい実験結果は得られなかった。
◎実験7,実験8ともに氷(大)を使ったが両方とも思わしい実験結果は得られなかった。

<実験9>

ビーカー 試験管 氷(大) 水の量
300ml 16.5ミリ 5ml 200g 100ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
70g 壁面 1cm

◯温度計の状態を「静止」から「動」に変えて実験

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 10 5 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12
温度(℃) 0 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5 -0.5
 
◯3分後(0℃) ◯12分後(-0.5℃)

◯児童が実験中に試験管を動かすのは難しい。試験管を固定し,温度計を動かすようにした。温度計にはストローが付けてあるので,破損の心配はない。

◯温度計を動かし続けたため試験管の中の水が凍らなかった。

<実験10>

ビーカー 試験管 氷(中) 水の量
500ml 16.5ミリ 10ml 300g 100ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
70g 壁面 1cm

◯ビーカーを大きくし,氷の量と試験管に入れる水の量を増やした。

◯氷,水,食塩をかき混ぜ,それをビーカーに入れ実験。

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 9 2 0 0 0 0 0 0 0 -1 -2 -5 -7 -8
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12
温度(℃) -9 -10 -11 -12 -12 -13 -13 -13 -13 -13

◎温度計を0℃になるまで数秒おきに動かした。

◎氷の量が多くなると試験管と温度計が埋もれるため温度が読みにくくなるが,良い実験結果が得られた。

<実験11>

◯実験10の試験管の位置を「壁面」から「中央」に変えて実験

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 20 10 5 2 0 0 0 -0.5 -1 -2 -4 -6.5 -8.5 -10 -12
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13 13.5 14 15
温度(℃) -14 -15 -15 -16 -16 -16 -16 -16 -16 -16

◎温度計を0℃になるまで数秒おきに動かした。

◎試験管をビーカーの壁面に置いても,水が凍り始める状況を確認することは難しい。試験管はビーカーの中央に置いた方が実験もやり易くなり,温度も下った。

<実験12>

ビーカー 試験管 氷(小) 水の量
200ml 18ミリ 5ml 150g 50ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
70g 中央 1cm

◯氷(小)150gに食塩70gと水50mlをかき混ぜ実験

◯温度計を1~2秒おきに3~5回動かす

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 13 4 0 0 0 0 0 0 -0.5 -1 -3 -6 -9 -12 -15
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13 13.5 14 15
温度(℃) -16 -17 -18 -18 -19 -19 -19 -19 -19 -19
◯1分30秒(0℃) ◯5分(-3℃) ◯10分(-19℃)

◎良い結果が得られたが,かき氷を作る労力が大変である。

<実験13>ビーカーを200ml,試験管を18ミリにして実験

ビーカー 試験管 氷(中) 水の量
200ml 18ミリ 5ml 150g 50ml
食塩 試験管の位置 試験管の高さ 試験管内の温度計の位置 温度計の状態
50g 中央 1cm

◯細かく砕いた氷「氷(中)」150gに食塩50gと水50mlを加え,よくかき混ぜビーカーに入れる。
その中央に試験管を立てる。1~2秒おきに温度計を3~5回上下に動かす。

(1)1回目

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 12 8 3 0 0 0 0 0 0 -0.5 -2 -4 -6 -8
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12
温度(℃) -11 -12 -14 -15 -15 -16 -16 -16 -16 -16

(2)2回目

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 20 10 2 0.5 0 0 0 0 0 0 -0.5 -2 -6 -8.5 -12
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13
温度(℃) -14 -16 -17 -18 -18 -19 -19 -19 -19 -20 -20 -20

(3)3回目

時間(分) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 20 10 3 0 0 0 0 0 0 0 0 -0.5 -1 -2 -6.5
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12 12.5 13
温度(℃) -10 -12 -14 -14 -15 -16 -17 -17 -17 -17 -18 -18
◯1回目の12分後(-16℃) ◯2回目の12分後(-19.5℃) ◯3回目の13分後(-18℃)

◎条件を同じにして実験しても,測定値には多少のばらつきがでる。

<実験14>

◯実験12の試験管を16.5ミリに変えて実験。

時間(分) 0 0.5 1 1.5 3 2.5 4 3.5 5 4.5 5 5.5 6 6.5 7
温度(℃) 18 8 2 0 0 0 0 0 -1 -3.5 -7 -10 -13 -15 -16
時間(分) 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5 12
温度(℃) -17 -17 -18 -18 -18 -18 -18 -18 -18 -18

◎試験管の大きさは16.5ミリと18ミリで何回か実験を試みた。18ミリの方が温度計が0℃を示す時間が長いので,18ミリの試験管がお薦めである。

 

◎実験13の3回目のデータを使い,グラフ化した。
測定時間は10分程度で十分である。

3.まとめ

(1)ビーカーの大きさ

○200mlが最適。中に入れる氷が少なくて済む。温度計が氷の下に埋もれないので温度が読み易い。中に入れる水や食塩が少なくて済む。

(2)氷

○砕いて細かくした氷が最適(約150g)。製氷皿の大きさの氷だと大きすぎて試験管が立てにくい上に,300mlのビーカーでも12~13個で一杯になる。かき氷は温度は急に下がるが,空気を多く含むため水を加えた時,量が減る。さらに,かき氷を作る労力も大変である。

(3)食塩と加える水の量

○食塩の量は50g~70g,水の量は50mlで十分である。

(4)試験管の位置

○中央が最適(スタンドに固定した試験管をビーカーの底部より1㎝の高さまで下げる)試験管を立てる操作がやり易い。ビーカーの壁面に試験管を立てても水が凍っていく状況を確認するのは難しい。また,室温の影響も受けると思われる。

(5)試験管に入れる水の量

◯5mlが適量である。10mlでは200mlのビーカーを使った場合,氷の面より高くなる。

(6)温度計

○試験管の中の温度計を動かす。温度が0℃になるまで,1~2秒ごとに3~5回動かす,いったん下がった温度が上昇する現象が生じない。温度計の液溜めにはストローが付けてあるので,破損の心配はない。

(7)温度計の位置

○試験管の中の温度計は底部(底)で良い。液溜めにストローを付けているため,試験管の底部に直に接している訳ではない。

(8)試験管の大きさ

○試験管の大きさは16.5ミリと18ミリで何回か実験を試みたが,温度計が0℃を示す時間が18ミリの方が長いので,18ミリの方が良いように思われる。

(9)試験管の高さ

○試験管はビーカーの底から少なくとも1cmは離す方が良い。底につけると机の面の温度の影響を受けると思われる。

(10)温度の測定は30秒ごとにすると,0℃の測定値が多くなり,グラフを作らなくても表を見ただけで水の凍る温度を実感できる。この実験では,何℃まで温度が下がるかを調べるのが目的ではない。従って,30秒ごとに10分程度の測定で十分である。(温度の測定は1分ごとでも良い)

(11)この実験は同じ条件で実験しても,結果にかなりのばらつきが出る実験である。

(12)この実験では水が凍ると体積が増えるため,試験管にひびが入ることがある。

4.参考資料

◯金だらい ◯コンクリートの円柱 ◯ボウル

◯製氷皿でできた氷を細かく砕くのも一仕事である。身近にあった金だらいの中に氷を入れ,てこの実験で錘に使っていたと思われるコンクリートの円柱を使い,これで叩くとそんなに手間もかからず氷を砕くことができた。

◯調理用のボウルは,時々,実験器具として活用している。氷,食塩,水をかき混ぜるのに500mlのビーカーを使っても良いが,このボウルを使うと攪拌がやり易い。

◯製氷皿の氷はメーカーによって大きさに違いがあるが,本校のものは1個の大きさが約15gである。