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教師の方へ

授業実践記録(英語)

英語活用を目標にした授業を目指して

新潟県立新発田高等学校 高松 利治

1.生徒の実態

(1)学校の特徴

新発田高校は新潟県立の進学校で校是は「質実剛健にして未来の俊傑を目指す」である。文部科学省からスーパーサイエンスハイスクールの指定を受け,「ESD探究」,「SS探究」など探究活動を取り入れている。各学年理数科1クラス,普通科6(現在の3学年は7)クラス,合計22クラスで,生徒のおよそ9割は国公立大学を志望している。実際は,卒業時5割程度が国公立大学に進学,その他は私立大学などに進んでいる。

(2)生徒の特徴

総じてまじめな生徒が多く,教師の指示に誠実に取り組む生徒が多い。部活動がとても盛んであり,テニス部やラグビー部など全国レベルの成績を収めている部もある。生徒の通学範囲はかなり広く,通学時間が長いため家庭学習時間の確保に苦労している。入学時には英語の成績はあまり高いとは言えず,学習方法の改善の余地がかなりある。私が3年前に赴任した頃には,生徒の中には「受験英語」というものが存在しているように誤解している者が一定数いた。

(3)英語指導の目標設定

「英語を使えるようになる」ことを本気で目標にさせる。

2.指導のねらい ~英語を使えるようにするために~

(1)意識を変える

○ 同僚との意識統一
・進度ではなく,英語指導の目標を統一する。
・模擬試験の偏差値ではなく,生徒の英語活用能力の変化を注視する。

○ 長期展望を意識する
・「3年間プラン」「1年間プラン」を生徒に提示する。

○ 目標を意識させる
・授業,考査,学校行事で生徒が英語を使う場面を増やす。
・入試問題でも英語を使う能力が問われていることを実感させる。

(2)授業を変える

○ 和訳をゴールにしない
・和訳というスキルを否定はしないが,「和訳=理解」とはしない。

○ 英語での内容把握
・内容把握を英問英答などで行い,日本語を介さずに理解させる。

○ 内容把握で終わらない
・内容把握から,学んだ表現を活用したり,学んだ内容について英語で表現させる。

○ 自己表現を常にさせる
・教科書の内容を理解する発問だけでなく,それに関連した生徒自身の考えや意見を求める発問を心がける。

○ 授業準備として
・各レッスンで最低50の発問を用意する。内容理解を確かめたり,内容理解を促進する発問だけでなく,教科書の内容から飛び出す発問を毎時間行う。

(3)評価を変える

○ 考査に日本語でたくさん書かせすぎない
・日本語の活用能力は大変重要である。「和訳」「要約」「説明」などは必要なスキルであるので考査で出題することはもちろんある。しかし,生徒の頭の中に日本語ばかりが飛び交うような考査を課さないようにする。

○ 考査を暗記テストにしない
・教科書英文を暗唱することはとても有効な学習法である。英文を再生する問題は出題している。しかしながら既習の英文を日本語で出題したら,暗記テストになってしまうので,そうならないように注意している。

○ 考査で新たに読む部分を増やす
・生徒には教科書本文は何度も読み込んでほしい。でも,既習の英文を出題する際にも,要約文を完成させる問題や英文による正誤問題など,その場で英文を読む部分がないと生徒が英語を活用しているとは言えない。

○ 考査で常にリスニング,ライティング
・リーディングに偏らない考査を心がけている。定期考査,課題考査,模擬試験など全てにおいてリスニング問題を出題している。また,英語表現の考査だけでなく,コミュニケーション英語でも30~60語程度の自由英作文などを必ず課している。

[考査例]

○ パフォーマンステストを充実させる
・1年次毎学期に音読テストを行った。教科書の既習内容をおよそ1パラグラフ程度ランダムにその場で指定して読ませた。 ・2年次には,教科書の既習内容に関するインタビューテスト。修学旅行後にその内容についてのインタビューテストを予定している。

○ 定期的に英語を使う場面を提供する
・週末課題として2~5文程度のまとまった英文を書かせる。できる限り添削し,共通の誤りについては授業に反映させる。 ・学期ごとに100~300語程度のエッセイやスピーチを書かせる。
・1年次1学期ALTとのティームティーチングの授業で,Show & Tellを行い,生徒が英語を使うことを当然のことだという意識を持たせる。 ・1年次にTV Commercial を作成するタスクを課した。3~4人のグループに分け,現存しない未来の商品を考えさせ15秒程度のCMを作らせた。企画2時間,撮影1時間,鑑賞1時間で行った。 ・2年次にはDrama作成を計画している。

3.授業の実際 Element English Communication I Lesson5 Bopsyより

(0)生徒の予習

本文全文の日本語訳を作らせてはいるが,それが最終目標ではなく最低条件である。語彙を十分に調べ,授業中に行う下記の(3)~(6)の活動ができる状態まで準備することを生徒に求めている。

(1)音読

ペアで音読させる。英語モードにすることが最大のねらい。さらに,英文の内容を思い浮かべ,発音の相互確認をさせる。

(2)リスニング

CDなどで本文を聞かせる。

(3)英問英答

なるべく教科書やノートを見ないで答えさせる。教科書の英文をそのまま抜き出して答える生徒が多いので,それをさせないためである。生徒には自分自身のことばで返答するように求め続けている。発問に対しては最初にペアで答えを考えさせるようにしている。すぐに一人に指名するとそれ以外の生徒が考えようとしなくなるからである。また,英語が苦手な生徒にとってはクラス全体の前で発表することはかなりのプレッシャーである。ペアで確認した時のパートナーの答えを借りることを容認している。発問はおよそ以下のように分類できる。英問はあらかじめパラフレイズしておき,生徒の理解度に応じて言い方を変化させている。

(A)内容理解を確認する発問
(B)内容理解を促進する発問(パラフレイズすることで生徒はなるほどと納得することが多い)
(C)教科書の内容に関する生徒自身の意見を問う発問
(D)登場人物になりきり,ある場面を演じさせたり,会話を作らせる

[指導例]Part 2

[指導例]Part 3

(4)語彙学習

新出語彙だけでなく,品詞ごとにリピートさせる。生徒にはただリピートするだけ(空読み)でなく意味を考えながら音読させる。その後ペアでクイックリスポンスなどを行わせる。最後に教科書本文を部分的に再生させることもある。

[動詞の場合の例]
explain; asked (if); give him a ride; thing (a while) about; get (your son) ready; come down to; go out; get a uniform made; pick up; dress; escort; go back to

[再生の例]
T(教師):「車で迎えにいく」S(生徒): 'pick up'
T:「着替えさせる」S: 'dress'
T:「彼を消防服に着替えさせる」S: 'dress him in his fire uniform'
T:「付き添う,連れていく」S: 'escort'
T:「病院のベッドからはしご車まで」S: 'from his hospital bed to the waiting hook-and-ladder truck'
T:「3日後ボブはボプシーを車で迎えに行った」S: 'Three days later, Bob picked up Bopsy'
T:「彼を消防服に着替えさせた」S: 'dressed him in his fire uniform'
T:「そして病院のベッドからはしご車まで連れ添った」S: 'and escorted him from his hospital bed to the waiting hook-and-ladder truck'

(5)音読,暗唱

教科書ELEMENT付属の「フレーズリーディング用本文+訳例」を活用して音読,暗唱活動に時間を十分かけて取り組む。シンクロリーディング,シャドウイング,パラグラフ全文暗記など様々な方法を取り入れて飽きない工夫をする。

(6)自己表現活動

読んで終わりにしないため,なるべく毎時間生徒自身の考えを英語で話したり,書いたりアウトプットする場面を作り出す。例えば,Part3のQ.14を感謝の手紙を書くというタスクに変えることもできる。

(7)復習テスト

本文の表現を定着させるため,また,本文のCDを活用して何度も音読させるために,ときどき復習テストを行っている。基本的な語彙の確認が中心である。

4.成果と課題

「英語を使えるようになりたい」という気持ちで英語学習に打ち込んでいる生徒の割合が増えたことが調査からわかった。経年比較からも,ライティングの力が特についているといえる。授業中でも教科書の内容を,教科書の表現をそのままコピーするのではなくパラフレイズして説明しようという姿勢が生徒に見られてきた。とてもうれしい変化である。

今後の課題として,生徒同士で発問しあえる状況を作り出したいと考えている。

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