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English Expressions A la carte 英語表現アラカルト

Lower 48
ロワー46 / アッパー46

旭川工業高等専門学校教授 十河 克彰

アメリカは50州からなっています。北米大陸にあるアラスカ以外の州を,アメリカ人は,まとめてlower 48と呼びます。読み方は「lower forty-eight」です。太平洋上にあるハワイ州は含まれません。ハワイが州になる以前,49州でアメリカが構成されている時代に定着した言い方です。地図上,アラスカが一番北にあり,他の州はすべてアラスカの南に位置しますので,lower 48なのです。アメリカ人は地図上の位置関係を,平気で「北」を「up」,南を「down」と言います。でも何故か,東西を,「right / left」とは言いません。

"I met a man who had visited every state in the lower 48."

「下の全48州を訪れたことがあると言う男に会った」

と訳すと,我々には意味不明です。言葉通りに訳すわけにはいきません。「アラスカ,ハワイを除く全米の州を訪ねたことがあると言う男に会った」とすると意味が通じます。 旭川のおおよその位置を口頭で説明すると,

"Asahikawa is located about 100 miles up from Sapporo and also 360 miles down from Wakkanai as the crow flies."

「直線距離で,旭川は札幌の上,約100マイルに,稚内の下,約360マイルに位置する」

アラスカはあの広大な地に,40万ほどの人しか住んでいません。定住する人は少ないのです。アラスカの人は,

"People in the lower 48 won't come up to settle in Alaska."

「下の48州の人たちはアラスカに定住しようと,上がって来ようとしない」

と言います。

北海道人は,本州,四国,九州をまとめて,「内地」と呼んでいました。「裏日本」と同様,今では死語です。「内地」の反対は「外地」です。その昔,北海道に移住した人たちは,北海道は外地,つまり,本当の日本ではなく,「国の外の地,植民地」と考えていたようです。ですから,「道産米」に対して「内地米」,また,「内地に墓参に行ってきた」,とか,「野生のニホンザルは内地でしか見られない」,と言うように使いました。

そこで提案があります。日本は47都道府県からできています。アメリカの,lower 48をまねて,「内地」のかわりに,北海道を除く都府県は,まとめて,「ロワー46」としたらどうでしょう。読み方は「ロワーヨンロク」です。例えば,「寒い冬を避け,ロワー46に行こうかと思います」とか,「北海道の雪質は,ロワー46のそれとは違います」。「ロワー46は梅雨を脱したようです」と言えば問題はありません。

2004年甲子園の優勝旗が「ロワー46」を離れ,北海道に初めて来ました。駒大苫小牧高です。2005年も優勝しました。2年連続真紅の優勝旗が「ロワー46」を離れ北海道に渡りました。

ものはついでに,沖縄県から見た北の日本は「アッパー46」と呼ぶのです。カタカナ英語が好きな日本人にピッタリかと思います。沖縄はとうの昔,「本土復帰」をしたのに,コメンテイターがTVで,「甲子園の優勝旗が,春夏連続,内地を離れ沖縄に渡った」と言っていました。これでは,沖縄は外地であり,日本本土でないことになります。とっくに,沖縄は本土復帰をしています。

「真紅の優勝旗が,アッパー46を離れ,春夏連続,沖縄に渡ったのは2010年です」

これだと理解しやすく,かつ,正確です。