ホーム > 教師の方へ > 中学校 > 授業実践記録(数学) > 「身近なところに!!」

教師の方へ

授業実践記録(数学)

「身近なところに!!」

千葉県君津市(元中学校数学教員) 小松 一郎

関連学習領域:場合の数・二元一次方程式・式の計算(2,3年)・数学的な見方や考え方

1.車のナンバーから

たまたま車で走っていたら,前の車のナンバーが,58-14であった。
単純に引き算をしたら,「58-14=44」である。
次の問題を2つの数字を裏返して「85-41=?」を考えたら,偶然にもまた「44」となった。そんなところから次のような問題が生まれました。

2.裏返しても同じ答え

「2けたの整数を2つ考え,その差を計算したら44になった。そしてもとの整数の一の位と十の位の数を入れ換えて差を取ったら,答えがまた44になった。こんな2けたの整数の組は,全部で何個あるのかな?」

3.さて,どのように考えようか

(その1)

差が44になるということは,単純にいくつか探すことは可能である。
例えば,□-10=44・・・□=54
従って,54と10。
しかし,この2つの整数が条件に合わないことはすぐに理解できるであろう。

では,□-11=44・・・□=55
従って,55と11。
この場合は,特殊な2けたの整数であるが,条件を満たしている。

□-12=44・・・□=56
よって,56と12。これは,条件を満たしている。

このように小さい方の整数を設定することにより,調べていくことで解決は可能である。でもちょっと大変ですね。

(その2)

(その1)の考え方に似ている方法として,次のような見方もできよう。
つまり,大きい方の2けたの整数をもとに解決を図る方法である。
例えば,99-○=44・・・○=55

従って,99と55。これは,条件を満たしている。

98-○=44・・・○=54
従って,98と54。これも,条件を満たしている。
・・・・
94-○=44・・・○=50
従って,94と50。これは,条件に合わない。

93-○=44・・・○=49
従って,93と49。これも,条件に合わない。

このように具体的な整数を用いて,調べあげていくことによって,解決は可能である。
しかし,中学2,3年生を対象としてこの問題を解決していく過程においては,もう少し形式的に,しかも既習事項を活用して,簡潔に考えさせたいものである。
そこで次のような方法を紹介します。

(その3)

2けたの整数を一般式で置くと10a+bと10m+n。
このときのa,b,m,nの条件は,1けたの自然数となる。
その差:10a+b-(10m+n)=10(a-m)+(b-n)=44

ここで生徒は文字が4つになり,次の段階に目を向けることができなくなる場合が多い。
しかし,ここで教師の支援を十分に与えて,解決の糸口に気づかせたい。

つまり,10(a-m)+(b-n)=10×4+4 という見方を示唆する。
すると,a-m=4,b-n=4 という二元一次方程式が2つ出現することになる。

更に,ここで押さえておきたいことは,a=m+4,b=n+4 という関係に注目することである。(等式変形)

結局は,これらの条件式をもとにして,aとmおよびbとnに当てはまる値の組み合わせを探すことになる。
しかし,条件という裏付けがあるので,最後まで確実に探しきることができるのである。

従って,この疑問に対する条件を満たす2つの整数の組は,次のようになることがわかる。

(10a+b,10m+n)= (55,11), (56,12), (57,13)
(58,14), (59,15), (65,21)
(66,22), (67,23), (68,24)
(69,25) ・・・ 25種類。

この組み合わせが多いか少ないかは,生徒一人一人の感ずるところによって違うが,身近な所に数学を楽しむ課題はたくさん転がっていそうである。
また,この問題は差を11,22,・・・のように変えることによって,更に数のおもしろさを感ずることができるだろう。

4.最後に

現在中学校の週当たりの数学の時間数は,1年4時間,2年3時間,3年4時間です。この時間数は,教科書の内容を終わらせるだけでも足りないくらいだと思います。また,昔のように選択の時間や課題学習の時間が取れるわけではありません。つまり,数学の良さや有用性,また簡潔明瞭性などを感じさせる時間がほとんどないのが現状のような気がします。
更に,数学という教科の特性から,学年を追うごとに数学離れが進むことも確かです。
そこで現場の先生方には,数学の楽しさを一人でも多くの生徒に感じさせるために,必修教科としての数学の授業の工夫はもちろんではあるが,少ない数学の時間を確実に確保し,様々な問題にチャレンジさせ,数学の美しさや簡潔さを生徒たちに感じさせていただきたいと願うところです。

数学が楽しく,そして好きになる要素には,「問題が解けた喜びを感じる」こと,「考えるおもしろさを感じる」こと,そして,「学習したことが身近な問題を解決するときに活用できる」ことなどが挙げられると思います。このような感触を多くの生徒に実感してもらうためにも,数学教師の新鮮な発想と工夫と努力を大切にしていってほしいと思います。

ページの先頭へ