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授業実践記録(数学)

指導実践報告
ICT機器の活用について

新宿区立西新宿中学校 永井 元延

1.はじめに

新宿区では,平成22年度から校務イントラの導入に伴い,職員室では各教員にPCが1台ずつと共用PCが2台,各教室・特別教室の黒板をホワイトボードに変更し,ICT教卓,プロジェクターとPC,実物投影機,数学科ではデジタル教科書,他のソフトも導入されている。ICT機器・デジタル教科書・動画等を活用して授業を実践し授業改善に取り組んでいる。

2.生徒の実態

本校では,習熟度別少人数制の授業に取り組んでおり,基礎・基本の定着を図るため,一人一人の学習のペースにあわせた習熟度別学習を取り入れている。少人数学習では1クラス2展開を実践している。毎回定期考査の結果と本人・家庭の希望により見直しを図っている。さらに,単元が進行するごとに,基礎コースへの変更を希望する生徒もおり,単元ごとに見直しを図っている。通常の一斉授業より一人一人に目が届き,生徒が学習内容を理解し,分かる・できるという体験が増え,基礎コースでも活発に発言をし,発表活動に取り組んでいる。また,ICT機器を活用することで生徒の興味・関心が高まってきている。

一般コース・基礎コースともまとめとして,自己評価カードに今日の授業の自己評価をさせて本時の学習を振り返らせ,よく分からなかった部分を書いたら,次の授業時で再度説明をしなおすようにしている。

3.単元の教材観「空間図形」

空間における直線や平面の関係については,小学校では直方体などの具体的な立体に関連して扱われている。中学校では,具体的な空間図形の考察を通して,一般的に,空間における直線や平面の位置関係について理解できるようにする。次に,平面図形の運動によって立体が構成されることを理解できるようにし,さらに,立体の平面上への表し方や立体の表面積や体積の求め方を考えることにより,空間図形に対する見方やとらえ方を豊かにしていく。

指導にあたっては,観察などの直感的な活動や具体物を用いた捜査活動,動画やデジタル教科書を取り入れ,立体に親しませながら学習を進め,立体の面積と体積の公式を活用できる力をつけていきたい。

4.指導のねらい

図形を観察,操作や実験を通して考察し,空間図形についての理解を深めることができるようにする。

  • ・空間における直線や平面の位置関係を調べることができるようにする。
  • ・空間図形を直線や平面の運動によって構成されているとみることができる。
  • ・空間図形を平面上に見取図や展開図を用いて表現することができるようにする図形の計量をすることができる。
  • ・おうぎ形の弧の長さと面積,基本的な柱体,錐体の表面積と体積を求めることができるようにする。

5.授業の実際(基礎コースで実施)

毎時間ごとに実施することは,本時のねらいを説明することと,今日の授業につなげるために既習事項(この中に東京ベーシック・ドリルの正答率が少ない問題も含む)を復習することである。さらに,興味・関心を引き出し分かる授業を,デジタル・アナログと混ぜながら授業を進めている。特に基本コースでは,分からないという声が多く出てくる。そのため,くどいほど繰り返し指導している。ここでは,立体の表面積についての指導の流れである。


学習内容 指導上の留意点・評価 ICT機器・資料等


本時のねらいを説明する。
・立体の表面積や体積を求めることができる。
既習事項
・おうぎ形の弧の長さや中心角の求め方の公式を理解しているか復習する。

・公式を張り出す。
・挙手をして,答えさせる。(発言及び挙手をしたら名簿に○付けさせる) 提示





問題提示
「底面の半径が3cm,母線の長さが9cmの表面積を求めなさい。」
・図から等しくなる長さはどこか確認する。

・計算が進んでいない生徒の指導をする。

・挙手をさせ,指名し途中の式も書かせる。

・分からない生徒には,再度説明する。
生徒は教科書,デジタル教科書で提示

実物投影機で展開図を写し,理解させる。

さらに,web上にある動画を見せて確認させる。


・数学用語や公式を説明する。
・本時の学習内容をまとめる。
   

6.東京ベーシック・ドリルの活用を通して

新入生の授業開きの時に,自己紹介とともに必ず聞くのが小学校の算数でどこが苦手だったかである,おおむね「割合計算」「文章題」「分数」などの声があがる。中1の段階で分数の計算,割合計算を確実にできるように指導していくことが重要である。

授業が進むごとに「勉強がよく分からない」という生徒は,何がわからないのか,わかるためにどこから勉強したらよいのか分からずに,学習が停滞してしまう。このような状況を改善しようと,東京都教育委員会より小学校向けに小学校4年生までの国語・算数・理科・社会の4教科の学習内容が配信されたので,そのドリルを使い中学校全クラスで実施し,どこから間違いをしているのかを個人カルテ式にまとめようと考えた。

この個人カルテを活用することで,個に応じた指導ができ,授業の中で既習事項の説明や家庭学習ノート(本校では校内研修での講師の先生の講話からボーナスノートと名付けた)でも,数学科として生徒に対してこの部分をやってみなさいと助言でき,どこでつまづいているかの支援につながると考えた。

【具体的な活用場面】

  • ・授業の中で既習事項の確認
  • ・放課後学習(本校では月~金 4:00~5:00希望者のみ 水曜日を除く)での補習
  • ・長期休業中での補習
  • ・家庭学習での復習

1年生基本シート(診断)A1

東京都教育委員会 小学校向け東京ベーシック・ドリル 1部抜粋

7.生徒の感想

  • ・1つのものを全員で見られたり,実験を動画で見ることで理解が深まりました。
  • ・投影機があると,問題の答え合わせが簡単にできる。
  • ・しくみがよくわかった。
  • ・図や図形のアニメーションが動くのでイメージしやすい。
  • ・文字のみの説明よりわかりやすく,覚えやすかった。
  • ・公式の意味など,動画を見てよくわかった。

8.成果と今後の課題

  • (1) ICT機器を使って授業を展開すると,分かったという声が増えてきた。それを使って生徒の学習意欲をどう引き出せるか,そのために授業のどの場面で何をどのような形で提示するかを研究する必要がある。
  • (2) ワークシートを使っての答え合わせは積極的に取り組んでいる生徒が多い。しかし,自分の考えを数学的な表現を使って,順序立てて説明する力が弱い。
  • (3) 機器を活用した授業を多く実践でき,自分自身の授業改善に役立った。
  • (4) 生徒が興味・関心を持って取り組める課題の内容や提示方法,ねらいにそった動画をさがし活用する必要がある。
  • (5) ペア学習やグループ学習などの学習形態を工夫する。
  • (6) 意欲的に取り組んでいる生徒が多い。

*保護者への配布プリント (PDF:111KB)

【参考資料】

  • ・ 教材研究のひろば 中学校数学「球の表面積」「球の体積」
  • ・ 財団法人コンピュータ教育開発センター ICT活用指導ハンドブック
  • ・ 佐賀県教育センター 授業展開案 中学校数学
  • ・ 平成18年度岩手県教育研究発表会発表資料 -Gアップシートの作成をとおして-
  • ・ 宮崎市中学校ICT活用授業実践事例 ~数学~
  • ・ 平成20・21年度 目黒区教育委員会 教育開発指定校「教科センター式・ICT機器の活用による新たな学習形態の確立」 目黒区立目黒中央中学校

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