ホーム > 教師の方へ > 中学校 > 授業実践記録(数学) > 第2学年 数学科学習指導案

教師の方へ

授業実践記録(数学)

第2学年 数学科学習指導案

日立市立助川中学校 青木 房子

単元 平行と合同

1.単元の目標

(1)様々な事象を平行線の性質,三角形の角についての性質,三角形の合同条件などで捉えたり,平面図形の基本的な性質や関係を見いだしたりするなど,数学的に表現することに関心をもち,意欲的に問題解決に活用して考えたり判断したりしようとしている。 (数学への関心・意欲・態度)

(2)平行線の性質,三角形の角についての性質,三角形についての基礎的・基本的な知識及び技能を活用しながら,事象を数学的な推論を用いて考察し表現したり,振り返って考えを深めるなど数学的な見方や考え方を身に付ける。 (数学的な見方や考え方)

(3)平行線の性質,三角形の角についての性質,三角形の合同条件などを,数学の用語や記号を用いて簡潔に表現するなど技能を身に付ける。 (数学的な技能)

(4)平行線の性質,三角形の角についての性質,三角形の合同条件を知り,図形の証明の必要性と意味を理解し,知識を身に付ける。 (数量,図形などについての知識・理解)

2.指導にあたって

本単元では,三角形や四角形などの多角形の角の大きさについての性質を,論理的に筋道立てて推論することによって調べ,さらに,調べる過程やその結果について説明し伝え合う活動を通して,適切に表現できるようにすることを重要なねらいとしている。数学的な推論における帰納や類推については,観察,操作や実験などの活動を通して,小学校から多くの場面で学んできている。演繹的に考えることについては,小学校での多角形の内角の和などで演繹的に導くことの素地的な経験をしている。また,中学校第1学年での平面図形の作図の場面や空間図形の構成等の場面で,学習してきた事柄を根拠にして理由を述べるなど部分的に経験している。つまり,演繹的に考え,図形の性質を確かめていく学習は,本単元から本格的に学習することになる。

本学級において,数学的な推論に関する実態調査を行った結果が右の図である。帰納的に導き出したものは推測の根拠であり,演繹的に導き出す必要性があることを理解していた生徒は29人中26人であったが,理由を説明できた生徒は,16人になってしまう。図形における実態調査ではコンパスを使って,30度を作図した図が正しいことを,正三角形の性質を根拠に自分なりに理由を説明できた生徒は,15人で図形を既知のことに帰着して考えることができる生徒が少ないことが分かった。

そこで,本単元では,まず,対頂角の性質や平行線の性質を考える場合,測定に基づいて確認するだけでなく,根拠を明らかにし,それを基 にして筋道を立てて説明する活動を行う。次に,多角形の角について考える場合,結果も大切であるが,既知のことに帰着して考えていけるよう指導する。そして,三角形の合同条件について,1組の図形が合同であることを示すものから,複数の組が合同であることを示すものまで,段階に応じて取り扱えるようにする。さらに,証明を書くことの指導では,対頂角の性質,平行線の性質,三角形の合同条件などを推論の根拠に証明の構想や方針を立てる。そのとき,その要点を「ゆえに」,「または」,「かつ」,「したがって」,「一方」,「よって」などの言葉や用語,記号を適切に用いて自分で書くことから始め,自分の考えを説明し伝え合う活動や証明を読み合う活動を通して,よりよいものに改めながら,適切な表現ができるようにしたい。

1 A子さんは,連続する3つの整数の和は3の倍数であることを次のように説明しました。

連続する3つの整数の和を計算すると

1+2+3=6
3+4+5=12
10+11+12=33
6や12や33は3の倍数になるので,
連続する3つの整数の和は3の倍数である。

ところが,B子さんは,この方法では説明したことにならないといいました。B子さんは,なぜ,A子さんの方法では説明したことにならないと言ったのでしょうか。その理由を考えて答えなさい。

正答16人 誤答8人 無解答 5人

2 次の図は,30°を作図したものである。

この作図の方法を説明しなさい。


正答 15人 誤答5人 無解答 9人

3.学習計画(16時間扱い)

第1次 多角形と角・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8時間

学習活動 評 価 の 観 点
数学的への
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方 数学的な技能 数量や図形などについての知識・理解
2直線に1つの直線が交わってできる角の関係について調べる。 平行線や角の性質に関心をもち,その性質を帰納的に確かめて,演繹的に導き,角の大きさを求めたり,直線の位置関係を表したりしようとしている。 「同位角」「対頂角」「錯覚」について知り,その位置関係について理解している。
平行な2直線に1つの直線が交わってできる同位角や錯角が等しいことを,言葉で説明する。 平行線の性質を用いて,角の大きさを求めたり,直線の位置関係を表したりすることができる。
三角形の内角の和が180°であることから,1つの外角をそれととなり合わない2つの内角の和dと表す。 平行線の性質を用いて,三角形の内角の和は180°であることを説明することができる。 三角形の内角の和を帰納的な方法で示すことと,演繹的に示すこととの違いを理解している。
補助線をひくことで,平行な2直線から,角の大きさに着目して,図形の性質を説明する。 補助線をひくことで,図形の性質を根拠を明らかにして自分の言葉で説明することができる。



凹四角形の角の関係を多様な方法で考え,自分の考えを数学的な表現を用いて説明する。 凹四角形の角の関係を根拠を明らかにして,自分の考えを説明することができる。
多角形を三角形に分割することにより,内角の和を求める。 多角形の角についての性質に関心をもち,既習の内容に帰着させ,多角形の内角や外角の和を考えようとしている。 多角形の内角の和を求めることができる。
すべての多角形の外角の和が360°であることを調べる。 多角形の外角の和を求めることができる。
多角形と角の練習問題 いろいろな角の大きさを求めることができる。
第2次 図形の合同・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5時間
第3次 作図と証明のしくみ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2時間
章末問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1時間

4.本時の学習

(1)目標
凹四角形の角の関係を,平行線の性質や三角形の角の性質を用いて考え,自分の考えを説明することができる。

(2)準備・資料 説明補助シート,根拠黒板,発表ボード

(3)本時の重点
実測で得た凹四角形の4つの角の関係を既習事項を基にして,根拠を明らかにして演繹的に考えたり,判断したりすることができる。

(4)展開

学習活動・内容 学習形態 教師の働きかけ(○)・評価(◎)
1 本時の学習課題をつかむ。
凹四角形の4つの角の関係を調べよう。
一 斉 ○凹四角形をかくことを通して,凹四角形について知り,本時の課題を捉えられるようにする。 ○凹四角形をいくつかかき,分度器で実測したり,操作活動をすることを通して,凹四角形の4つの角の関係について予想できるようにする。 ○帰納的に導き出されたものと演繹的に導き出されたものの違いを理解できるために,同じ条件を満たす他の図形で調べることは信頼性を高めるが,同じ条件を満たすすべての図形について調べることはできていないことを確認する。 ○これまでに学んできた事柄を根拠黒板として掲示し,今まで学んできた既習の内容に帰着させて考えることの必要性を感じさせたい。
(1)凹四角形の4つの角の関係を実測によって予想を立てる。
予想 ∠a+∠b+∠c=∠d
個 人
(2)予想が正しいことを説明するためにはどうしたらよいかを話し合う。
・今まで学習したことを使って説明する。 ・文字や記号を使って説明する。
(3)これまでに学んできた事柄(根拠となる事柄)について確認する。
一 斉
2 本時の学習課題を解決する
凹四角形で∠a+∠b+∠c=∠dとなる理由をいろいろな方法で考えよう。
(1)何を根拠にどう考えたのかを自分なりに説明補助シートにメモをとる。
・根拠や方法を書く。 ・考えた順番に書く
個 人 ○既習事項は根拠となる事項であるため,いつでも確認できるようにカード化して掲示しておく。 ○説明補助シートを用意し,考えのメモを書くことができるようにする。 ○メモを書く際には,根拠や方法を書くこと,また,考えた順番に書くことなどのポイントを伝える。 ○考えが進まない生徒が多くいる場合には,補助線をどこに入れたかなどを早めに発表し合い,図を読む活動から取り組めるようにする。
(2)グループで互いのペアの解決方法について説明補助シートをもとに説明し伝え合う。
・同じ大きさの角に印を付けて根拠を考える。 ・相手の説明補助シートを読み,相手の式や言葉を読む活動を行う。 ・自分の考えを書く。
グループ ○グループごとに適宜説明のヒントを助言していく。 ○説明補助シートには,根拠を示して方法を説明する例を示すことで,取り組みやすいようにする。 ◎凹四角形の4つの角の関係を,三角形の内角や外角の関係,平行線の錯角などを根拠に説明することができる。 B:根拠,方法を明らかにして説明できる。 A:根拠,方法を筋道立てて説明することができる。
3 凹四角形の4つの角の関係について,何を根拠に,どのような見方や考え方をしたかを全体で共有する。 一 斉 ○評価Aの生徒が発表することで,自分の考え方と比較・振り返りができるようにし,自分の考えを根拠立てできるようにする。
4 本時の学習のまとめをノートに書く。 5 本時の考え方が活用できる練習問題を解き,自己評価をする。 個 人 ○本時の授業で分かったことを自分のノートにまとめる。 ○本時の考え方が活用できる練習問題を3種類用意し,自分なりのペースで進められるようにする。
【導入】
∠a+∠b+∠c=∠dになるらしいことを確認し,予想が正しいことを説明するための見通しを立てた場面
【根拠黒板】
これまでに学んできた事柄を根拠黒板として掲示し,今まで学んできた既習の内容に帰着させて考えることの必要性を感じさせた。
【話合い】
補助線のひき方が同じ生徒同士がグループとなって自分の考えをまとめている。
【全体での共有】
凹四角形の4つの角の関係について,何を根拠に,どのような見方や考え方をしたかを全体で共有するために,各グループが自分たちの考えを黒板にまとめている。
【説明補助シートの実際】

証明問題に入る前の授業であるが,△ECBや△AEDを基に考えたことが記述されている。
補助線4番を選んだが,話し合いの中で補助線にℓを付け加えた。
【 適応練習 】
適応練習では,チャレンジ問題1から3を用意した。
チャレンジ1は全員解答することができ,チャレンジ2,3へ進む

チャレンジ1  3問中の③

チャレンジ3  1問

∠DBA=∠DBC ∠DCA=∠DCB
【本時のまとめ】
見通しの段階では
∠a+∠b+∠c=∠dらしいであったが,学習後のまとめは,「~なる」と表現を変えることができた。

【授業者反省】

  • ・様々な補助線から図形を見ていくことができていたので,他の考え方にも挑戦できる時間の確保もできればよかった。
  • ・同じアイディア同士の交流の際,交流する視点を書いておくだけでなく,説明(教師側から)すればもっと深まったように思う。

【効果的だったところ】

  • ・考えのヒントになるものが用意されていたので,生徒の思考が円滑に進んでいた。
  • ・例を挙げたり図で示したりしての助言なので,生徒は分かりやすかった。
  • ・チャレンジ問題が多く用意されていたので,各々の能力に応じて解くことができた。

【今後の課題】

  • (今後の授業に取り入れられるとよい内容)
  • ・既習内容を各自の手元で見られるシートづくり。
  • ・生徒のよい解答例や説明例を紹介することで,生徒の表現力を洗練させていくこと。
  • ・人のアイディアや図を読む(解釈する)活動を取り入れる。
  • ・具体的な評価基準をもつ。(ノートに何が書いてあればよいのか,話し合い活動では,どんなことを話していれば説明したことになるのかなど。)

ページの先頭へ