日本最大にして最古である琵琶(びわ)湖の南,滋賀県草津市の烏丸(からすま)半島にあるのが,滋賀県立琵琶湖博物館。屋外からは400万年もの歴史のある琵琶湖,屋内では生息した生き物たちの化石や標本,そして,今なお生存し続ける琵琶湖の生き物たちが両方観察できる,総合的な博物館です。
てんじ物などのしょうかい
Aてんじ室「湖の400万年とわたしたち 〜琵琶湖の自然と生い立ち〜」
約400万年前に三重県伊賀(いが)市付近で生まれた琵琶湖は,気候変動や地下の岩ばんに力が加わって動くだんそう運動による移動などを経て,約40万年前には現在の位置に移動(いどう)してきたそうです。Aてんじ室では,化石標本や岩石,よう岩などを見ながら,琵琶湖の誕生(たんじょう)から今までの歴史を,ふりかえることができます。
約180万年前の琵琶湖の様子を再現したジオラマでは,日本では絶めつした植物とされた(その後中国で発見され日本でも広がった)メタセコイヤの森にアケボノゾウの親子を見ることができます。
また,学芸員になったような気持ちになれる研究室(写真下右)もあり,歴史好きの小中学生のあこがれの場所となっています。

Bてんじ室「湖の2万年とわたしたち〜自然とくらしの歴史〜」
琵琶湖の周辺には2万年ほど前に人間がくらしはじめたと言われています。そのくらしぶりが歴史の資料にもとづいて再現されています。船による「湖上交通」,「漁業」,湖が洪水にならないように湖や川を整える「治水」,農業などの湖や川の水を使う「利水」の4つをテーマにてんじされています。
てんじ室中央の丸子船(写真)は,江戸時代に琵琶湖上の輸送に使われたものとほぼ同じ形のもの。地元の船大工の職人の方が再現しました。
また,琵琶湖の湖底には,たくさんの貝づかが発見されていますが,このてんじ物もそれを再現したもので,粟津(あわず)貝づかと言います(写真)。貝づかを調べることで,縄文(じょうもん)時代に琵琶湖周辺に住んでいた人々が何を食べていたかがわかるだけではなく,琵琶湖周辺にどのような動植物が生きていたのか,当時の動植物の様子,「生態系(けい)」がわかるのです。
Cてんじ室「湖のいまとわたしたち〜くらしとつながる自然〜」
琵琶湖やその周辺の自然とわたしたちのくらしはつながっています。湖とわたしたちのくらしが両立するためには,おたがいの関係を理解(りかい)することが大切です。
このてんじ室では,琵琶湖,琵琶湖周辺に広がるヨシ(別名はアシ)の野原「ヨシ原」,「田んぼ」,「川と森」の風景から,つながっていることを理解します。
中でも見ごたえがあるのが,「琵琶湖水系にしかいない生き物」を集めた実物標本のコレクションです(写真下右)。滋賀県は生き物の宝庫と言われ,数多くの生き物たちが住んでいますが,このコレクションを通して,生き物たちの姿や形の美しさに驚(おどろ)き,感動することでしょう。

ディスカバリールーム「子どもとおとなが一緒に楽しむ体験と発見の場」
2018年に新しく生まれ変わったこの部屋には,ザリガニになってエサをつかまえてみたり,本物の化石をふれてみたり,ふれて楽しんで学べる体験できるてんじがたくさんあります。
「見つけてみよう」コーナー(写真)には,たくさんの生き物がかくれています。どれだけの生き物がいるかの数えるのも,ワクワクしてきます。
おとなのディスカバリー
2018年に加わった大人も楽しく学べる「おとなのディスカバリー」では,動植物や岩石の標本や化石をじっくりと観察したり,古い資料「古文書(こもんじょ)」を読んだり,その中の「オープンラボ」では博物館の研究や資料整理の作業ができます。「質問コーナー」では,琵琶湖にまつわるぎ問がたずねられ,自由研究にも利用できます。
屋外展示
屋外には,縄文時代や弥生(やよい)時代を再現した森や,約180年前,琵琶湖周辺にゾウが住んでいたころの森が再現され,縄文・弥生の森は木の上を歩く「樹(じゅ)かんトレイル」でめぐることができます。そのトレイルにはてん望デッキがあり,そこからは目の前に広がる大きな琵琶湖をながめられます。
