1年

「ふゆとなかよし」の実践
青森県A教諭

1.単元の目標

冬の自然を生かして,外で楽しく工夫して遊ぶ活動を通して,身近な自然に目を向け季節の変化に気付くことができることをねらいとしている。

2.指導計画(7時間扱い)

第1次 ふゆがやってきたね (2時間)
第2次 ゆきであそぼう (5時間)
第3次 はるをみつけよう (1時間)

3.国語科の言語能力との関連

国語科では,身近なものの中から家の人に知らせたいことを選び,自分の知らせたいことを相手に分かるように順序を考えながら書くことを学習した。知らせたいものを絵にかくことでよく観察したり特徴をとらえたりし、伝えたい事柄をはっきりさせていった。その際、見たことや触ったこと,自分の思いや願いを中心にするなど観点を明確にして知せたいものについて取材し,さらに友達と話し合う活動を通して,自分が気が付かなかったことに気付かせ,知らせたいことをより詳しくしていくことができた。そして,相手に分かりやすく伝えるために文章の組立を考え,自分の書いた文章を読み返すとともに,間違いなどに気付き正すことを通して,書くことの基本となる技能を身に付けさせていくように指導してきた。国語科で学習してきた「みんなに知らせたいことを見付け,文の組み立てを考えて書くこと」を生活科の観察文・発見カードなどの表現活動に生かすようにした。

国語科の知らせたいものを観察する観点の明確化(付箋を使って)
ピンク色の付箋・・・見たこと(色,形,数,様子,模様など)
水色の付箋・・・触った感じ
黄色の付箋・・・その他(におい,音,気持ちなど)
黒板には,全員が分かりやすいようにそれぞれの色の短冊型のカードにして掲示した。

友達との話し合い
話し合いの仕方を掲示
 グループでリーダーを決め,友達どうし尋ねたり応答したりさせる。

文の組み立てを考えて文章化する

 きょうしつにきんぎょがいます。
 からだはオレンジいろで、くろくてまるいもようがついています。
 目は、まるくてくろくてこわいです。
 ひれは、とうめいでとんがっています。そして、ぴちゃぴちゃうごきます。
 くちは、ぱくぱくうごいています。
 まつぼっくりを見せると、よってくるので、ぼくは、えさとまちがえてよってくるのかなあとおもいました。
   (児童の実際の作文例)

4.授業の実際

第1次  ふゆがやってきたね
 教科書の写真をきっかけに,実際の外の様子を見て気が付いたことを話し合う活動を通して,冬の季節になったことを身近な自然や生活の中でとらえ,絵や文に表していく。

<教師からの支援>
  『春や夏,秋の様子と比較する』という視点をもって考えさせたので,季節と関連付けて冬になったことをとらえることができた。
<児童の発言と気付き>
前よりも寒くなったから,ぼくたちみんな,ジャンパーを着たり手袋をしてきたりしているよ。
寒いと息が白いね。
秋までは,黄色い安全帽だったけれど,今は毛糸の帽子だよ。安全帽だとさむいもん。
冬になったら,おうちで鍋をやるようになったよ。
春や夏は,木の葉や草が緑色でたくさんぼうぼうだったけれど,今は何もないね。木もきっと寒いよ。
外は雪がたくさんで真っ白だよ。道路はつるつるだよ。
雪かきのお手伝いをしているよ。

第2次  ゆきであそぼう
 冬になるとどんな遊びができるかを発表したりグループで話し合ったりする活動を通して,冬の遊びを工夫し,友達と楽しんで活動できるようにしていく。

グループでの話し合い
友達と話し合うことで,様々な遊びのアイデアが生まれる。
<遊び>かまくら・そり・おしりですべる・雪の迷路・雪だるま作り・雪合戦・寝ころんで人の形を作るなど

実際の遊び<そり遊び>
児童の話し合いから,全員でそり遊びをした。そりには,一人で滑る方法と二人で滑る方法と滑り方を変化させた。
<児童のつぶやきと気付き>
一人滑り
足でブレーキをかけるとこわくないよ。
体を丸めて,足もそりの中に入れるとすごくスピードが出る気がする。
ひもをいっぱい引っ張ると曲がっていっちゃった。
人を運ぶ
重い!(乗っている人は)スピードアップのために手でこいでね。
足を出さないでね。ブレーキかかっちゃうから。
二人滑り
一人で滑るよりも遠くまで行くよ。
一人よりもスピードが出るから遠くまで行くんだ。
後ろの人が手でこげば,もっと遠くまで行ける。
二人だと転んでも何だか楽しいな。

児童にとって,そりを持って雪山に登ることが難しく,何人も山から滑り落ちていた。そうしているうちに,自然に何人かで下から雪山の頂上までそりを手渡しする係ができていた。

色々なそり遊びをすることにより,児童は比較し,どうしたらうまく滑ることができるかを考え工夫していた。友達と活動することによりアイデアを出し合い,楽しみながら体いっぱい遊ぶことができた。

実際の遊び<グループでの遊び>
<児童のつぶやきと気付き>
型作り
ふわふわだね。冷たくて気持ちいい。
誰も歩いていないところでやるんだ。ぼくの形ができたよ。
雪に寝ころんでいても痛くないよ。クッションみたい。
雪だるま
転がしていくとどんどん大きくなるよ。色んなところに転がしに行こう。
一人だと力が足りない。みんなで力を合わせよう。
固まらない雪があるんだよ。さらさらだと固まらないんだ。
すべり台
雪山を作って、お尻で滑ろう。転んでも痛くないから,もっと高くしよう。
雪合戦
チームどうしで戦うぞ。作戦をたてよう。
型作り 
雪だるま
すべり台
雪合戦 

遊びを終えた児童は,「もっとやりたい」「休み時間も外で遊ぼう」「雪って最高!」と思いっきり雪遊びを楽しんだ。そして,ある児童は,「学校にくるときは寒いけれど,みんなで遊ぶとすごくあっつい」と汗をタオルで拭きながら話していた。

雪が降るという地域性は,時として子供たちに「寒い」「外にでるのめんどう」など,負のイメージになりかねないが,時間と場所を確保し,汗取りタオルや着替えを準備することで思いっきり雪遊びをすることができる。雪という身近な環境や素材に親しみをもち,寒い季節の中でも元気に活動する姿が見られた。

雪遊びの振り返り

雪遊びの感想を絵日記にまとめる活動をした。以前に比べて,文のつながりや文の組み立てに注意しながら気が付いたことや楽しかった思い出をたくさん書くことができるようになってきた。

<つぶやきと気付き>
雪は1分間に,いっぱい降るから,雪だるまの周りの雪はたくさんかかなきゃだめだよ。
<表現の能力>
色んな遊びを経験して,楽しかったことを思い出しながら書いている。

国語科で培った文の組み立てを考えて書くことを生かしながら,雪遊びで楽しかった思い出を詳しく文章に表現することができるようになってきた。どんなことを書けばよいか分かることによって,文章での表現が豊かになってきた。

◇図画工作科と関連させて描いた絵
「ゆきだるまかわいい」
「ゆきのベッドはさいこう!」
楽しかった雪遊びの思い出を絵に描いた。

第3次  はるをみつけよう
 校庭や身近な自然の様子を見て発表したりグループで話し合う活動を通して,春の訪れに気付くことができるようにしていく。

<教師からの支援>
  『12月1月の校庭の様子と比較する』という視点をもって考えさせたので,季節が春になってきたことをとらえることができた。
<児童の発言と気付き>
校庭の雪が少なくなってきたよ。築山の土が見えているね。
校庭も玄関の道路も真っ白だったのに,今は道路が見えているよ。
前は夕方すぐに暗くなっていたのに,今はちょっと明るい。
雪が降らなくなったね。そのかわりに雨が多くなった気がする。
朝は寒いけれど,帰りは寒くないよ。
校庭の様子から気が付いたことから,空の様子,自分の生活を振り返り,思考に広がりがみられた。

5.成果と課題

国語科や日々の学習の中で,話し合いの仕方を工夫したことにより,生活科の学習においてもグループでの話し合いが活発となり友達の話を聞いたり自分の考えを発表したりすることができるようになった。自分では気が付かなかった友達の意見に共感したり,自分の考えを深めたりして思考の広がりが見られた。
学習後の振り返りとして位置付けている観察文では,書く観点を示すことにより,自分の気付きや思いを表現できるようになってきた。
外で思い切り遊ぶことができたため,身近な自然に親しみ外遊びを工夫することができた。
天候や安全面が十分考慮されなければならない単元であるため,時間や場所の確保が重要であった。体調や衣服の管理等など家庭と連絡を密にしていかなければならない。
国語科で学習した「グループで話し合って考えを一つにまとめる力」は生活科や他教科にも生かされていた。