2年
みんな あつまれ!
〜わくわくフェスタ〜

長崎県長崎市立愛宕小学校
秋山 壽哉

1.単元について

 本単元では,これまでの学習や生活の中でお世話になった人たちに感謝の気持ちを込めて「わくわくフェスタ」に招待し,生活科や他教科・領域で培ってきた力を発揮しながら,人々と適切に接することや自分たちの生活を楽しく工夫することを主なねらいとしている。

 

2.単元の目標

 自然物や身のまわりにある物を利用して遊びやルールを工夫しながら「わくわくフェスタ」を作り上げる活動をとおして,学校や地域の人々との交流を深めながら,自分の生活を広げることができる。


【生活への関心・意欲・態度】

これまでに経験した学校や地域での行事をもとに,自分たちの力で「わくわくフェスタ」を作りたいという思いをもち,お世話になった人々に感謝の気持ちを伝えようとしている。

進んで「わくわくフェスタ」の企画や準備,運営をしようとしている。

身の回りの自然や身近にある物や場所を上手に利用して,遊びに生かそうとしている。

学校や地域の人々,様々な物やこととかかわることを楽しもうとしている。


【活動や体験についての思考・表現】

招待した人に楽しんでもらうために,「わくわくフェスタ」の内容を工夫することができる。

身の回りにある自然や物,場所などの特徴や状況を生かして遊びに生かすことができる。

工夫して作ったり,協力して遊んだりしたことや楽しかったことなどを,絵や文で表現することができる。


【身近な環境や自分についての気付き】

身の回りにある自然や物を使って,作ったり遊んだりすると楽しいということに気付いている。

友だちと力を合わせることや人々とふれあうことの楽しさに気付いている。

作った物やその遊び方が,招待した相手にふさわしいかどうかに気付いている。

「わくわくフェスタ」での活動をとおして,地域や学校の人々,友だちのよさや,自分との違いに気付いている。

 

3.指導の実際

第1次 「つかむ」段階(1時間) 「やってみたいな」

○楽しい交流の様子がわかる写真を見せながら,思ったことや感じたことを出させる。

 ・「楽しそうだね。」「やってみたい。」という意欲がもてるよう,児童が自由に発言できる雰囲気を大切にする。

 ・「わくわくフェスタ」に招待したい人への思いが高まるよう,これまでの活動の様子を記録した写真やカードなどを準備する。

【関心・意欲・態度】



第2次 「むかう」段階(14時間) 「『わくわくフェスタ』をはじめるよ」

○「わくわくフェスタ」の中で,どんなことをしたいのか話し合う。

 ・「自分に何ができるのか?」ということと,招待したい人のことを考えながら,「どんなことをしたら楽しんでもらえるのか?」ということの両面から考えさせる。

【思考・表現】


○自分たちができることをもとにグループを作り,遊びや飾りなどの製作の計画を話し合う。

 ・前時で話し合った「自分にできること」をもとに,可能な限り児童の思いが反映されるようにグループを作る。

 ・身の回りにある素材を効果的に使えるようある程度の物をそろえて,自然に児童の意識に入るよう展示しておく。

【関心・意欲・態度】


○「わくわくフェスタ」の準備をする。

 ・製作における時間的,空間的なゆとりと,のびのびと活動できる精神的なゆとりを確保できるような支援体制を組む。

 ・グループでの話し合いの場を適宜設定し,作業の進捗状況や課題,自分や友だちのよさなどについて見つめる時間を確保する。

 ・遊びを見つめる際に,☆自分が楽しいか?☆相手が楽しめるか?☆安全であるか?などの視点が考えられる。

【関心・意欲・態度】
【思考・表現】
【気付き】

 

○リハーサルの中で,実際の「わくわくフェスタ」の流れをとおして,運営の仕方や遊びを確かめる。

 ・相手意識と目的意識をより高めるために,当日と同じ場所でリハーサルを行う。特に,体育館や校外で行う場合には,声の大きさ,風や日差しなどの要素も感じ取らせる必要がある。また,校長先生や教頭先生,他学年等の先生方,さらにPTAや幼稚園,保育園の先生方等に参加していただき,それぞれの立場から多面的なアドバイスをしていただくとより効果的である。

 ・実際に体験してみて,うまくできたところやできなかったところを児童自身が気付くことができるように,もてなす側とお客さん役に分かれて,それぞれに見る視点を決めておく(気付きをカードに記入する)。

【関心・意欲・態度】
【思考・判断】
【気付き】

 

○リハーサルの振り返りをして,よりよい「わくわくフェスタ」にするための話し合いと準備を行う。

 ・リハーサルの際に記入したカードをもとに,気付いたことを話し合わせ,よりよい「わくわくフェスタ」になるよう意識を高めさせていく。

 ・自分たちの思いと,客観的な立場からのアドバイスをすりあわせることにより,さらに具体的なよさや改善点が見えてくる。話し合いの視点としては,☆お客さんにふさわしい遊び(内容)か?☆一緒に楽しく遊べるか?☆お客さんは,にこにこ笑顔で帰ってくださるか?などが考えられる。また,カードに書いてあることでわからないことがあれば,直接その友だちにたずねるよう助言する。

【気付き】

○招待したい人のことを思い描きながら,招待状を作成する。

 ・思いが込められている文章や,装飾などにも心を配っている児童を賞賛し,活動が停滞している児童の参考にさせる。

【関心・意欲・態度】

○「わくわくフェスタ」へようこそ

 ・活動時間を十分に確保できる時間の設定について考慮する。

 ・後片付けもこの時間の学びであることを意識させることも大切である。

【関心・意欲・態度】
【思考・判断】
【気付き】



第3次 「みつめる」段階(1時間) 「たのしかったね『わくわくフェスタ』」

○これまでの活動を振り返り,感想を絵や文に表したり,お世話になった人にお礼の手紙を書いたりする。

 ・これまでの活動を想起しやすいように,写真や記録カードなどを準備しておく。

 ・「わくわくフェスタ」を協力して作りあげた喜びや達成感をもっと感じ取ることができるよう,お客さんが書いてくれたメッセージなどを読み聞かせる。

【関心・意欲・態度】
【思考・判断】
【気付き】


 

4.まとめにかえて

「わくわくフェスタ」の準備を進めている中で,子どもたちは,大事に育てていたくわがたの「カノンちゃん」の死という悲しい現実と遭遇することになった。カノンちゃんのお葬式を行い,学級園で育てている花を手向けながら,「カノンちゃん,今までありがとう。」「カノンちゃんと一緒に過ごせて,幸せだったよ。」「カノンちゃん,新しい命をもらって,また帰ってきてね。」など,思い思いの言葉を涙しながら語っていた。

 準備の段階から,「自分の顔と名前を覚えてもらうためには,どうしたらいいのかな?」,あるいは「たくさんのお客さんの顔と名前を,自分が覚えるために,何ができるかな?」といったことを意識させながら取組を進めてきた。

 さらに,子どもたちは,これからも交流をしていきたいという願いをもっているので,今回の「わくわくフェスタ」が終わるときに,「楽しかったよ。また一緒に遊ぼうね。」や「また,学校に招待してね。」,「道であったら,声をかけてね。」など,招待したい人に言ってもらいたい言葉を考えさせながら,活動と遊び方(交流の仕方)の工夫を考えさせた。それぞれの段階で,子どもの気付きをていねいに拾い,広げ,深めながら取組を行うことで,子どもたちの生活にいきづく学びを作ることができたと考える。

 「一緒に楽しく過ごして,これからも,もっと仲良くしていきたい。」
 「みつめる」段階で子どもから生まれたこの素直な願いを,これからの生活科の活動の中心に据え,授業者として意図的に組み入れながら残りわずかな生活科の学びを展開していきたい。


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