1年
もんぜんこ がっこうたんけんたい (学校探検のまとめとして)
〜幼稚園のみんなに 大好きな場所教えたい!〜          

神奈川県川崎市立小学校
教 諭

1.実践にあたって

  不安と期待でいっぱいだった4月。しかし,少しずつ学校にも慣れ,「校長室のいすは,社長になった気分だよ。」「体育館に,いっぱい線が引いてあるよ。ギャラリーから見るときれいだよ。」と,学校探検を通して,自分だけのひみつやお気に入りの場所を見つけることで,学校の様子がわかり,安心して過ごせる場所となってきた。

 そこで,この時期(7月),学校探検のまとめとして,近くの幼稚園児を学校に招き,自分のお気に入りの場所を教える活動を取り入れた。この活動を通して,学校の様子の気付きを深め,入学当初より大きく成長した自分の姿を自覚させたいと思った。

 また,幼稚園児にとっても学校生活に期待をもつなど,互いにメリットのある活動にしたいと思い,この単元を設定した。

 

2.単元名

  もんぜんこ がっこうたんけんたい!

 

3.単元の目標

・ 学校たんけんを通して,学校は安心して過ごせる場所であることを自覚し,さらに学校生活に期待をもつことができるようにする。

・ 幼稚園児とのかかわりを通し,自分でできるようになったことや大きくなったことなど,自分の成長に気付くことができるようにする。

 

4.指導計画(16時間扱い)

(1) はじめまして2年生(5時間)・・・交流遠足を含む

(2) 学校たんけんをしよう(7時間)

(3) 学校を案内しよう(4時間)

 

5.活動の実際

(1)学校のひみつ見つけたよ

 学校の中には様々な施設がある。その施設を「自分だけのひみつの場所をみつけてみよう」と子ども達に投げかけた。

 子ども達は,自分の視点でいろいろなひみつを見つけてきた。

「ギャラリーから見たら,体育館に線がいっぱい。上から見るとおもしろいよ。」

「階段の下にチーズのお部屋があったよ。あけたら三角のお部屋だったんだよ。」

と,授業ばかりでなく,休み時間もワクワクしながら探検にでかけ,様々な学校の様子に気付いていった。

 

(2)ひみつの発見は,学校で働く人とのふれあいに

 探検をするうちに様々な疑問を持つようになっていった。

「どうして,校長室だけ社長のおいすがあるのかな。」

「保健室のベッドは,いつもないのにどこから出してくるんだろう。」など・・・

 そこで,その質問をいろいろな先生方にするようになっていった。

 かかわるうちに,

「校長先生,おもしろかったよ。」

「保健の先生,優しく教えてくれたよ。」

と,学校で働く先生方や職員の方との触れ合いが生まれていき,担任以外の先生や職員の方とふれあい,学校は安心して過ごせる場所となっていった。

 

 

(3)ひみつの発見,教えてあげたいな

 たくさんのひみつを見つけていくうちに,自分だけのひみつを誰かに教えたいと思いが膨らんでいった。

「ドアの中にドアがあるんだよ。(防火扉)いろんなところにあるよ。」

「校長室に,お宝があったよ。」

「動き出しそうな解剖人間がいたよ。がいこつもいるんだよ。」

「理科室は,博士の実験道具があるよ。」

と,様々な様子に気付き,伝えたい気持ちでいっぱいになった。

 そうした思いを大切にしたいと思い,幼稚園との交流を設定し,園児に学校の中を案内することになった。

「幼稚園の子が,ガイコツを怖がるといけないから,理科室は行かないよ。」

「手をつないであげるよ。学校には階段がたくさんあるから。」

と,個を意識して具体的に案内する場所を決めさせたいと思い,それぞれ1対1でかかわり,学校を案内した。教えることで,今までの気付きがより深いものとなっていった。

 当日,どの子もちょっぴりお兄さん,お姉さんとなって,得意げに園児を案内する姿が見られた。教えてあげられた自分に自信がもて,成長した自分に気付く活動となった。

 

 

 

6.学習を終えて

・ 自分だけのひみつやお気に入りの場所を見つけることは,子ども達にとって,わくわくすることであった。同時にそうした場所ができることで,学校は安心して過ごせる場所になっていった。

 

・ 園児を案内することによって,学校の様子やよさへの気付きが深まっていった。そして,園児に案内することは,できるようになった自分に自信をもち,自分の成長に気付く機会となった。

 

・ 園児にとっても,この時期共に活動することで,“不安な気持ちが学校への期待”に変わっていくことができた。また,教師同士が互いにかかわることで,互いのことが理解でき,次への活動につなげることができた。(その後も何度か交流した。)

 

 


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