1年
家族愛を育む          
〜「だいすきだよ」〜          

鹿児島県指宿市立川尻小学校
月野 洋子

1.実践にあたって

  近年,親子間の社会的犯罪が後を絶たない。この時期の児童は,親への依存心が強く,何でもしてもらって当たり前であると考えている。また,保護者の方も日常の忙しさから,行動や言葉で愛情を伝える機会は少ないようである。お互いに想いを伝え合うという機会が少ないので,今日的社会情勢を考えると,教育の場でこのような場を設定するということはとても意義深いことだと考えた。


2.単元名

  だいすきだよ


3.単元の目標

  家庭生活は,家族の仕事や温かさによって支えられていることに気づき,家族の一員として,自分にできることを考え,進んで自分の役割を果たすとともに,感謝の気持ちを伝え,家族愛を深めることができるようにする。


4.指導計画 〔全8時間〕

第 1 自分の家族を紹介しよう  (2時間)
第 2 次 家の仕事を調べよう     (3時間)
第 3 次 家でもチャレンジしよう   (1時間)+家で1週間
第 4 次 家の人に感謝の気持ちを伝えよう (2時間)


5. 活動の実際

第1次  自分の家族を紹介しよう

  画用紙に絵と文で家族と過ごして楽しかったことを中心に表現し,発表した。児童が発表した後は,質問タイムを入れることにより,聞いている児童も集中して聞いていた。

〜家族のあり方の違いや家族の大切さに気づきました〜

「お父さんとお風呂に入ってたくさんおしゃべりをして楽しかったです。」
「わたしはお母さんとお風呂に入ります。○○さんは,どうしてお父さんと入るのですか。」
「お母さんがご飯を作っていて,忙しいからです。でもこのごろ弟と二人で入れるようになりました。」

第2次   家の仕事を調べよう

  ワークシートに時間を区切って家での仕事を記入させることより,家での仕事の多さに気づかせるようにした。

〜家族がお互いに助け合って生活していることに気づきました〜

「お母さんの仕事がいっぱいだ」
「お母さん大変!」
「このあと仕事にも行くのに。」
「わたしの家は,早く帰ってきた方がごはんを作るよ。」
「わたしの家もお父さんが作るよ。」
「わたしの家は,どっちも遅いからおばあちゃんが作るよ。」

この後「わたしがお茶碗洗うんだよ。」「わたしもお母さんが大変だから洗濯物たたむの手伝うよ。」「お母さんがお茶碗危ないからって洗わせてくれないの。手伝いたいのになあ。」と次時のお手伝いの練習へうまく繋げることができた。

第3次   家庭の仕事の練習をしよう

  学校でお手伝いの練習をすることにより,即戦力として,児童が家で仕事ができるようにした。その際保護者を学校に招いて児童に教えてもらった。


4 人のグループで,“洗濯物たたみ”“お茶碗洗い”を体験した。洗濯物では,児童がそれぞれ「たたむのが難しい」と考える洗濯物を家から持ち寄って交換しながら,たたむ練習をした。

お茶碗あらいでは,家庭科室のお茶碗を用意して,「洗うのが難しい」おはしや大きな皿などに挑戦して洗う練習をした。

第4次   家でもチャレンジしよう

  仕事に挑戦カードを配布して,「お手伝い名人めざしてがんばりましょう」と呼びかけた。

 (児童の感想から)
「お母さんは,毎日大変な仕事をして,えらいと思いました。」
「お母さんの腰がお痛くなるのは,当たり前だと思いました。」


 (保護者の感想から)
「たくさんのお手伝いをしてくれてありがとう。立派なお手伝い名人でしたよ。」
「新しいお手伝いにチャレンジしてくれてありがとう。大助かりでした。」

第5次   家の人に感謝の気持ちを表そう

  感謝の気持ちを見える形で表現したいとの想いから,感謝状とクッキーづくりをすることにした。家の人には,秘密にして,「びっくりさせよう!」との作戦である。


出来上がり,ほかほかのクッキーをかわいい袋に入れるころには,「お母さん,すごく喜ぶかも。」と嬉しそうな満面の笑みの児童たちであった。

その後,保護者の方からも感激の言葉がつづられたお手紙をいただいた。
この活動を通して,親子の絆が深まることができたように感じる。

 

6.成果(○)と課題(△)

家庭の様子を振り返らせ,親が自分にしてくれていることに気づくことによって,自分が家族の一員として大切にされているのだと気づくことができた。

自分の想いをお手伝い,クッキー作り,感謝状によって伝えることで,親子の絆がより深まったように感じる。

今回は,お手伝いの練習を洗濯とお茶碗洗いにしたが,今後は,他のお手伝いの練習も考えていきたい。


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