1年
ふゆをげんきに むかしあそびのめいじんになろう          

大阪府A教諭



1.実践にあたって

 この季節の変化を感じると共に,お正月遊びや伝統遊びを取り上げることにより,昔遊びのよさを体全体で感じ取らせたいと考えた。そして,伝承遊びを通して,人と遊ぶよさを知り,人と積極的に関わろうとする態度や,根気強く取り組もうとする活動意欲を育てたいと考えた。何度も繰り返し練習することで,うまくなったという達成感や,協力することの大切さや,人を楽しませる喜びを味わわせたいと考え,この単元を設定した。


2.単元名 ふゆをげんきに むかしあそびのめいじんになろう


3.単元の目標

季節の変化に関心を持つと共に,伝承遊びについて身近な人に聞いたり,教えてもらったりして,昔から伝わる遊びを楽しむことができる。
冬の自然や人々の生活の様子や,伝承遊びを通して感じたこと,楽しかったことを自分なりの方法で表現することができる。
冬の自然や人々の生活の様子,伝承遊びのおもしろさや身近な人たちの温かさに気付くことができる。


4.指導計画(全18時間)

(1) ふゆがやってきた(3時間)
(2) むかしあそびのめいじんになろう(9時間)
(3) ○○しょうがっこうへしょうたいしよう(6時間)


5.活動の実際

(1) むかしあそびのめいじんになろう
 

 どんな昔遊びがあるか調べた後,紹介し合い実際に遊んでみた。「こんな遊びがあるんだな。」「簡単だよ。」「難しくてなかなかできないな。」など,子どもたちは,色々な思いを持った。そこで必然的に自分たちで知っている人に聞けばよいことに気付かせ,人との関わりを深め,コミュニケーション力を高めるためにゲストティーチャーとの交流につなげるようにした。地域の長寿会の方々や保護者の方々,学童保育の指導員の方々にゲストティーチャーとして来校していただき,子どもたちに昔遊びができるこつを教えていただいた。その中で楽しい会話などをすることで,人とのふれあいのよさを実感することができた。

 また,頑張りをほめていただくことで自信を持てるようになり,さらに上手になりたいという意欲もわいてきた。休み時間など,名人になるために繰り返し練習する姿が見受けられた。再びゲストティーチャーの方々に来てもらい,どれだけ上達したかを見てもらった。ゲストティーチャーの方々にほめてもらったことで,さらに意欲が高まり,難しい技にも挑戦するようになり,最終的には難しい技をマスターする子もいた。このように繰り返し活動を設定することにより,子どもたちは,昔遊びに浸り,よりステップアップしていく姿が見受けられた。

 名人になった遊びを友達に教え合う活動では,お互いの素晴らしさを認め合うことで,自分の遊びに自信を持つことができた。また,もっと誰かに教えたいという意欲を持つことができた。そして園児や保護者を招待する活動へとつなげた。

 


(2) ○○しょうがっこうへしょうたいしよう
 

 1回目は園児を招待し,2回目は保護者を招待した。園児を招待したときは,園児が分かりやすいように遊び方の説明をしていた。遊びに入ると1年生がお手本を見せたり,困っている園児がいると手伝ってあげたり,優しい言葉がけをしている姿が見受けられた。名人になった遊びを,どの子も自信を持って教えていた。保護者を招待した時は,対象が保護者に変わったということで,説明の仕方や遊び方を,子どもたちで知恵を出し合い工夫していた。ここでも繰り返し活動することで,子どもたちも意欲的に取り組み,さらに自信を持って取り組むことができた。

 このように繰り返し体験活動を行うことで,人と関わる心地よさを実感することができた。

 また活動して終わるのではなく,交流の場を設定することが大切である。自分のよさをほめてもらったり,友達のすごかったところを見つけたりし,お互いの思いを伝え合うことにより,学びを共有することができた。

 毎時間ごとに,学習のまとめとして活動の様子や自分の思いを記録し,それを気持ちカード【さいこうカード(ピンク)・やったねカード(黄)・がっかりカード(紫)】に貼るようにした。子ども自身が選択することにより,その時の子どもの思いが指導者側にもよく分かり,次時への手立てにも役立った。気持ちカードに関しては,1年間通して行った。最後に,カードや気持ちカードをまとめて本にすることで,学習を振り返るのにより効果的であった。

 


6.学習を終えて

小学校では,低学年としてお世話される側でしかなかった1年生が,園児と関わることで,お兄さん,お姉さんとしての自覚が芽生えた。接し方を考え,積極的にコミュニケーションをとるようになった。園児の前で,自分のよさを十分に発揮することで,より自信を深め,自分の成長に気付くよい機会になった。
園児にとっても,入学前の期待感と安心感につながり,小学校生活へスムーズに移行できるというメリットとして効果的であった。
幼稚園・保育所と小学校の指導者同士が,学習の主旨,活動内容,活動しやすいグループ編成,支援体制などについて,事前に入念な打ち合わせをすることで,相互理解,さらに情報交換の場にもなった。

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