5年

思考法単元『ドルフィンのまほう学校』授業実践    
「変わり方のきまり」    
東京都S小学校

クリックすると画像が拡大表示されます。

1.はじめに

 本単元では,子どもたちが自ら伴って変わる2つの数量を見つけ,その関係を調べる活動ができるようにしたい。

 与えられるのではなく,自ら伴って変わる2量を見つけることができるように,第1・2時には,操作活動により,何と何が伴って変わるのかを多様な見方をするように促し,問題を子どもたちと作っていく。さらに,第3時を設定し,もとの問題の一部分を変えて発展させ,自分の問題を作り,調べる活動を行うこととした。

 また,2量の関係を分かりやすく表すためにどうしたらよいか考えさせたい。1表を用いること2少ない場合から順に調べて,類推しきまりを見つけること3式に表し,一般化することを考えさせる。


2.単元名

 「変わり方のきまり」


3.単元の目標と評価規準

 伴って変わる2量について,表に表してきまりを考察して問題を解決する。

伴って変わる 2 つの数量をみつけ,それらの関係を表を使って進んで調べようとする。もとの問題を発展させて,自分で変わり方の問題を作り2量の関係を調べようとする。 ( 関心・意欲・態度 )

表や図から2つの数量の間のきまりをみつけることができる。「数の少ない場合から順に調べる」思考法のよさがわかり,これを活用して問題を解決することができる。 ( 数学的な考え方 )
表を用いて2つの数量の変わり方や対応に着目できる。(表現・処理)
表を用いて2つの数量の関係をとらえる仕方がわかる。(知識・理解)


4.指導計画(3時間)

第1時 紙を折る操作活動を通して,伴って変わる2量をみつけ,変わり方を表に表し,「少ない場合から順に調べてきまりをみつける」考え方のよさに気付く。
第2時 正方形を階段状に積んだ時,伴って変わる2量の関係を,「少ない場合から順に調べてきまりをみつける」思考法を使って調べる。
第3時 前時の問題をもとの問題として,その一部分を変えて自分の問題を作り,2量の関係を調べる。


5.授業の実際

<第1時>

T (長方形の紙を配布し,一緒に操作しながら)まず,1回目2つに折ります。2回目それをまた,2つに折り,3回目さらに2つに折ります。折る回数が変わると,何が変わりましたか?
C できた長方形の数。
C できた長方形の大きさ。面積。
C できた長方形のよこの長さ。
C 折ってできた線の数。
T

そうですね。折った回数に伴って,
いろいろな数が変わりますね。


(問題1) 長方形の紙を折った回数と
長方形の数の関係を調べよう。

    〜自力解決〜
T どのように調べましたか?
C 1回の時は,長方形2つ。2回の時は,4つ・・・
C 順に調べた。だんだん折ることができなくなるから,表にした。
C 表にして見るとわかりやすい。
C

横に見ると2,4,8・・・と増えていく。

回数 ・・・
長方形の数 16 32 ・・・
C 1回目は,2が1つ。
2回目は,2×2
3回目は,2×2×2
回数分だけ2をかければ,いつでも求められる。
T

そうですね。小さい数から調べて表にするときまりが見つかりますね。
では,折ってできた線の数は,どうでしょうか。


(問題2) 長方形の紙を折った回数と
折り線の数の関係を調べよう。

C 折り目の数は,1本,3本,7本・・・
回数 ・・・
折り線の数 15 31 ・・・
C 差が2,4,8・・・と増えていく。
C 長方形の数よりいつも1少ない。
C 折り線の数=長方形の数-1
T

言葉の式にすると,いつでも使えますね。
なぜ,長方形の数より1小さいのかな。

C 長方形と長方形の間に折り線があるから。
T 実際に紙を見るとわかりますね。
その他の「長方形のよこの長さ」「長方形の面積」との関係も調べられそうですか。
C

紙の縦,横の長さが分かれば,1回目から順に調べて表にするといい。



<第2時>

T (黒板に提示しながら)
同じ長さのひごを使って四角形を階段のように積んでいきます。
変わっていくものは何でしょう。
C 段の数
C 四角形の数
C ひごの数
C まわりの長さ
C 面積
T この中の伴って変わる2量を選んで,問題を作ります。

(問題)

同じ長さのひごを使って, 四角形 を 階段のように並べます。

段の数 と ひごの数 の変わり方を調べましょう。


C 少ない場合から調べて,表に表そう。
段数 ・・・
ひごの数 10 18 28 ・・・
C

段の数が1増えると,ひごの増える数は,6,8,10・・・と2ずつ増えている。

C 5段の時は,28+12=40本
C 図を見て,5段なら(1+2+3+4+5+5)×2=40本
C ひごの数が70本の時は,7段つくれるよ。


<第3時>

 前時のもとの問題の下線の部分をいろいろ変えて問題を作ることとした。

四角形  ・ 三角形 ・ 五角形 ・ 六角形
階段のように  ・  一列に ・ ピラミッド型に
段の数 ・  ひごの数  ・  図形の数 ・ まわりの長さ ・ 面積

 などを変えて発展させて自分の問題を作り,変わり方を調べる活動をした。


【Aさんの作った問題】

(問題)

同じ長さのひごを使って, 四角形 を 階段のように並べます。

段の数 と まわりの長さ の変わり方を調べましょう。


クリックすると拡大表示されます。

上の図で,ひご全体の数をまわりの数にした。すると, 表を横に見て,14ずつ増えることに気付く。表を縦に見て,2言葉の式で表し一般化できた。


【Bさんの作った問題】

(問題)

同じ長さのひごを使って, 三角形 を ピラミッドのように並べます。

段の数 と 三角形の数 の変わり方を調べましょう。


 

図形を変えて,並べ方も変える。自分で図をかき,表にして調べて,きまりを見つけていった。

Bさん感想「どんな場合でも,きまりが見つかるから,すごいなと思った。」
クリックすると拡大表示されます。

【 Cさんの作った問題 】

(問題)

同じ長さのひごを使って, 三角形 を 一列に並べます。

三角形の数 と ひごの数 の変わり方を調べましょう。


クリックすると拡大表示されます。
この前に,まず,四角形を一列に並べ,四角形と棒の数の変わり方を考えた。簡単に,3ずつ増えることが分かる。


ならば,三角形では? 五角形,六角形では?

 

Cさん感想「四角形以外の図形でも,表にして調べてみると,何か共通点が見つかる!」

クリックすると拡大表示されます。


 

 

授業を終えて

 子どもたちに「何と何の関係を調べる。」「どんなきまりがあるか調べる。」という目的意識をもたせて,自分で発展,探究する活動をさらに積み重ねていきたいと思う。

 
クリックすると拡大表示されます。

前へ

次へ
閉じる