5年
児童の主体的な学びをうながす指導のあり方    
〜5年「百分率とグラフ」の指導を通して〜    
千葉県勝浦市立勝浦小学校
石橋 由江
1.はじめに

 一般に「百分率とグラフ」の指導では,教師がグラフを与え,読み取ったり,かいたりしていく学習が中心になっている。今回はより主体的に学んでいけるようにという意図でかく活動を取り入れ,授業を組み立てた。

 帯グラフは,長方形の全体の長さで100%を表し,各部分を全体に対する割合に比例した長さで表したものである。従って,帯グラフに表すことで,「全体に対する部分の割合や部分同士の割合がとらえやすい」というよさがある。このよさに気づけば,全体量を同じと見たり,比べる量がもとにする量の何倍にあたるかを考えたりする見方が深まると共に,目的に応じて帯グラフを進んで活用できるようになると考えた。

2.指導にあたっての手だて(本時は(1)〜(3)を中心に展開し,(4)は主に次時で扱う)

 (1)  素材を工夫し,意欲化を図る

 総合的な学習で,体によいおやつについて考えている。そこで,この学習と関連させ食品の成分を素材として扱い,学習への意欲化を図る。

 (2)  棒グラフのよさと不都合な点に気づかせる

 食品の成分を棒グラフに表したものを提示し,棒グラフの特徴を捉え直す。その後,成分表を提示し,全体の量がそろっていないものを棒グラフに表しても成分の多少を比較することができないという不都合に気づかせることで,「全体の量が違っても比べられるグラフはないのか。」という問いをもとに,必要感を持って取り組ませていく。

 (3)  どんなグラフに表したらよいか話し合い,見通しを持たせる(かく活動を大切にする)

 既習やこれまでの経験をもとに見通しを持たせていくことで,自分なりにグラフに表していけるようにする。そして,作成の過程やできたものを見直す過程で,よさに着目させていく。

 (4)  帯グラフからどんなことが読みとれるか考えさせる

 帯グラフから読みとったことをもとに,成分表で比べるのとちがってどんなところがよかったのか考えさせていく。そうすれば,「それぞれの量ではなくて,関係を知るときにわかりやすい」という帯グラフのよさに気づくことができると考える。また,全体を同じと見たり,比べる量がもとにする量の何倍にあたるか考えたりする割合の見方を深めていく。

3.授業の実際

 (1)  本時の目標(11/15)

割合を意識して,グラフに表そうとする。
(関心・意欲・態度)

全体の量がちがっても,帯グラフを使えば全体に対する部分の関係や部分同士の関係がわかることに気づくことができる。
(数学的な考え方)

 (2)  本時の展開

学習活動 教師の指導・支援と児童の反応
教師 児童
1.棒グラフのよさと不都合な点を考える。
ポテトチップスとカップヌードルでどちらが,脂肪が多いと思いますか。
総合で成分の勉強をしましたのでグラフに表してみました。

棒グラフは,棒の長さで多いか少ないかはわかるけれども,合計はわかりづらいということですね。では,合計がわかるように表にしました。

みんなの考えをまとめると,棒グラフでは,一つ一つの大きさは比べられるけど,全体に対しての割合はわからないということですね。
そして,割合を使ったグラフを考えれば,一つ一つの成分が全体に対してどのくらい入っているのかもわかりそうですね。
ポテトチップス。だって油で揚げてあるから。
カップヌードル。つゆに油がういてるよ。
同じかなあ。
全体的にカップヌードルのほうが多い。だって,棒が長いから。
ぼくもこのグラフを見たかぎりでは,カップヌードルの方が多い。
どの成分もカップヌードルのほうが多い。
でもこのグラフだと,成分の合計がわからない。
合計が一緒かどうかわからないから多いかどうかわからない。
カップヌードルの方が一つ一つの成分が多かったけど,合計も多いから当たり前。やっぱりいけない。
やっぱり,合計が違うから同じとして考えるのはだめだと思う。


合計に合った量の成分になってるから比べてはいけないと思う。
合計が違うから中に入ってる量も違って当たり前だから同じにして考えればいいと思う。
割合を使って考えればいいと思う。
今までみたいに,合計を1と考えればいい。
私も,1にそろえればいいと思う。
2.本時のめあてを確認する。
全体の量が違っても成分のちがいを比べられるグラフはどんなグラフか考えよう。
3.どんなグラフに表したらよいか話し合う。
全体量が違っても成分の違いを比べられるような割合を使ったグラフはどんなグラフでしょう。
今まで勉強してきたテープ図のようなグラフにしようということですね。
2つの考えが出ていますね。共通していることは何ですか。
では,ポテトチップスの場合,何をもとにして考えますか。
割合を使って棒グラフにすればいいと思います。
社会科の資料集にある『木材の利用の様子』のようなグラフにすればいいと思います。
ぼくたちも同じようなグラフで順番をそろえるといいと思った。間にたてに線を引けばちがいがわかると思う。(資料で見せながら)


私も%になおして棒グラフにするか帯グラフにすればいいと思う。
割合を使ってグラフにすること。
合計です。
4.グラフに表す。
それぞれの成分の割合を求めてグラフに表してみましょう。
5.学習感想を発表し,まとめをする。
まだ終わらない人もいますが,実際かいてみて気がついたこと,困ったことなどをノートにかいてください。では,発表してください。


全体の量が違っても,割合を使ってグラフをかけば成分のちがいを比べることができることがわかりましたね。
いろいろなグラフがかけました。実際かいてみて困ったことや気づいたことがあるようですから,次の時間は,グラフを完成させてから,それぞれのグラフからわかることを話し合って,よりよいグラフにしていきましょう
12.4%や1.6%がでてきて大変。いい方法がないかと思った。
四捨五入したら。
ぼくは棒グラフだと合計がわからないと思った。でも全部合わせれば100%になるけど・・
自分たちの班で考えたグラフは,実際かいてみてとてもよかった。それは,グラフとグラフの間の線の傾き具合で多いか少ないかがわかるから。
合計が100%なら内容量が違ってもどれくらい入っているか,どっちが多いかがわかることがわかった。
合計が違ったけど,割合にしたらわかった。
割合にしたらポテトチップスのほうが全体に対して多いものがあることがわかった。脂肪が多かった。
私は棒グラフを考えていたけど,もう一つの帯グラフもできそうだから両方やってみたい。

4.おわりに

 素材として扱ったおやつの食品成分は,総合的な学習との関連もあり,児童の意欲を喚起させ主体的な活動を促す上で有効であったと思う。また,整理する活動を意識し,かく活動を大切にしたことで,割合の見方考え方を深めることにつながり,それによって生じる問いや願いをもとに授業を構成することもできた。
 しかし,本時ではかく前の見通しの段階をもう少し大事に扱うべきであった。そうすれば,児童に向かう方向・筋がはっきり見えてきてより割合の見方を深めることにつながったと考えるからだ。
 授業終了後,他教科や総合的な学習のなかで,グラフを使い分ける姿が見られた。このことは,それぞれのグラフのよさを考え活用しようとする表れではないだろうか。

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