3・6年
石の色が変わる       
大阪府泉佐野市立末広小学校
川崎 初美
 理科クラブ,4〜6年生の混合小集団での実験と観察の実践です。これは,小学校中・高学年の子どもたちの理科授業にも適していると思います。啓林館発行の「理科3年,6年下」の学習と並行したり,発展教材としても楽しくわかりやすいと思います。

 準備物・手順・留意点などは下記の通りです。

 (準備物)
・いろいろな色の小石
 ・石集めの「石」
 ・コンクリ−トブロック
・鉱物ハンマー
 ・ビーカー
 ・プラスチックカップ
・水
 ・ピンセット
 ・アルコールランプ
・金網
 ・蒸発皿
 ・三脚
・るつぼばさみ
 ・シャーレー
 ・新聞紙・上質紙・薬包紙
・ルーペ類(ルーペ,台付きルーペ,解剖顕微鏡,双眼実体顕微鏡)

<実験・観察の手順,留意点>

 運動場や中庭などで,色のついた小石を色別に集めます。または,授業で石を割って中を見る観察がありますが,その時,集めた石を使ってもよいでしょう。
 手触り,外観などの観察をします。虫眼鏡を使ったり,絵をかくときには台付きルーペなどを使います。

 


 石を割って,小さなかけら(1〜2cmぐらい)にします。
石の外側の色と中の色が違う場合もあるのでよく観察しましょう。

 

 大きなかけらはブロックの上で直接割り,小さいかけらは,上質紙などをしいて,5mmぐらいの大きさにします。コンクリートのかけらや紙の切れ端が混ざり込まないように気をつけます。また,石のかけらが飛び散ったり,火花が飛んだりするので注意します。
 チャートは子どもたちと3人がかりで,やっと割れました。



 石のかけらを鉄板や目の細かい金網の上にのせて,ガスバーナーやアルコールランプで黒くなるまでよく熱します。時間はかかりますが,蒸発皿を使ってもよいと思います。

 

 充分に熱して石の色が黒くなったら,半分をシャーレーに入れ,上から水を注ぎます。ジュッと音がして,石から粉のようなかけらが飛び散り,同時に,黒い石があっという間に「もとの色(実際には,元の色よりも黒っぽい)」に戻ります。これを解剖顕微鏡や双眼実体顕微鏡で見ると白や黒の小さい石が見えます。キラキラ光る石もありきれいです。

 また,大きなかけらは,手で割るとおもろしいように細かくポロポロと分けることができます。固い石が手で割れるのです。

 熱した石の残りの半分は,そのまま自然に冷めるのを待って色の変化を観察します。花崗岩の白い石はピンクになりました。さっきと同じように手で割れるでしょうか?。
 また,顕微鏡でも見てみましょう。



 子どもの感想

火であぶった石は,一見黒いが,水につけると戻ってしまう。もとの色に戻った石は手で簡単に割れる。不思議だ。(6年生)


赤や黒,透明な石などがライトをあてるときらきら光ってきれいだった。小さい粒はプランクトンみたいだ。水をゆらすと石がゆれておもしろい。大きな石は,すごく大きく映るので,頭が痛くなる。 (6年生)


顕微鏡で見ると大きすぎてすごくびっくりした。きれいだった。(5年生)


小さい石が大きくて,光を当ててみると石がちょっと光ります。こまかいところまで見えます。やいて水につけるとほとんどの石は,赤っぽくなる。(4年生)

<おわりに>

 今回,初めて「石」の教材に挑戦してみました。運動場や中庭に落ちていて,子どもたちの身近にある「石」ですが,よくよく見ると変化にとんでとてもおもしろい子どもたちの楽しい「仲間」です。
 でも,3年生の子どもにはレンガや瓦やコンクリ−トやアスファルトやガラスのかけらも「仲間」でした。学校の石捨て場から「自然の石」をより分けるのが,その子たちの学習のスタートでした。

 4年生以上の子どもたちは,顕微鏡で見た石の世界にすっかり「はまり込んで」しまいました。長時間,サンプルを変えたり,シャレーを動かしてみたり,ライトを当てたり思い思いに顕微鏡を操作して楽しんでいました。(参考文献 北隆館「砂と土の実験」)


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