4年
地域施設との連携を生かした授業
          〜 プラネタリウムを使った授業の工夫 〜          
栃木県A小学校
1.はじめに

 皆さんは理科の学習を計画する時に,どんなイメージで単元全体の授業計画を立てていくのでしょうか。私は,A区分のような生物が対象となる単元であれば,如何に有意義な観察できるかと考えます。B区分のような物質が対象となる単元であれば,如何に有意義な実験ができるか考えるようにしています。しかしながらいつも困るのがC区分なのです。「天気の様子」や「大地のつくり」など身近でありながら,実は大きな自然の中での出来事や長い歴史の中で積み重ねられた現象のため,実感が湧きづらいということを感じながら授業に取り組んでいます。ましてや天体に関しては,夜間の観察が中心になりますので授業計画が立てづらいのが本音です。


2.プラネタリウムの利用

 そこで,1つの方策として私たちの学校では,理科学習という形で宇都宮市にある「栃木県子ども総合科学館」のプラネタリウムを利用することにしています。これは,学習指導要領にあるように博物館や科学学習センターを利用することで,学習意欲を高められると考えたからです。

 本校で実施している,プラネタリウムを使った理科学習の進め方や学習効果をまとめてみました。



3.社会教育施設を利用した理科学習の進め方として

まず,日程を
   4年生の理科の年間計画の中にプラネタリウムに行くことが明記されている市町村もあると聞いたことがあります。しかしながら,私の勤務する市はそうではありませんので,まず学校から外に出る学習をどうにかできないものかと相談することから始まります。日程(教科時数の調整)のことやバス代(お金の集金の仕方)のことを中心に教務主任などと相談します。社会教育施設の利用の大切さと理科学習の内容の充実を何度も訴えていくのがよいかと思います。そうすると,日程をとって下さったり遠足や社会科見学と合わせていく方法があるとアドバイスをして下さったりすることが多くありました。

次に,要望を
   日程が決まれば,一安心です。でも,せっかくプラネタリウムを活用するために行くのですから,理科学習として有意義なものにしなくては意味がありません。私の学校が利用する「栃木県子ども総合科学館」のプラネタリウムでは,いくつかの番組を選べるようになっていることもあり, 今回の目的は何か ということから番組を選びます。

 私などは解説員さんが投影する 学習番組 をお願いすることが多いのですが,その時に投影している 年少番組 や 一般番組 の内容が児童の興味を惹くものであれば,それをお願いすることもあります。学習番組も A 〜H まであるので学年に応じて選ぶことが多いです。

 選んだ後は 要望 です。以前「学習番組 C 」を選んだ時に, 「月が絶えず動いていること」「明るさや色が違う星があること」「星の集まりは1日のうちでも時刻によって,並び方は変わらないが,位置が変わること」 の内容の中でも特に「月のことを重点的にやって欲しい。」と要望を言った時があります。月の毎日の形の違いや夜中にしか見えない月をプラネタリウムを使って見せてほしいと伝えたところ,できるだけ学校の要望に沿うような内容にして頂けました。また,プラネタリウムにいく時期が6月頃になってしまい,学校ではほとんど星の学習をしていない状態で見に行くこともありましたが,事前に「予習の内容中心でやって欲しい。」と伝えたところ星座への興味付けなどの話を盛り込んで頂き児童への興味付けが図れたこともありました。

 自分が計画を立てた理科学習ですから,何のために実施するのか目的を明確にし相手の社会教育施設に対して,要望をどんどん言ってみるべきだと思います。要望が「できる」か「できない」かは,施設の方との話し合いで決まると思いますのでどんどん言ってみてはどうでしょうか。


プラネタリウム以外の施設の利用について
   先日,科学館の方に天文台を使って「太陽の表面の観察」ができると言う話を伺いました。学校での利用もできるということで,今後使っていけるのではないかとも思いました。次期の学習指導要領では,6年生に「太陽の学習」が入りますが昼間の天文台の活用もおもしろそうだと感じました。ただ,プラネタリウムと違い天候に左右されるものであるため計画をどのように立てるかなど実現に向けて課題も出ました。※こちらの科学館では,晴れてたら天文台,晴れてなかったら見えなかったらプラネタリウムというのはできないと断られました。

太陽表面の様子
※横に突き出ているのがプロミネンスだそうです
はくちょう座の二重星
※夜,撮影したものだそうです

 天文台の利用に関しては,天候という問題はありますが実際に望遠鏡を覗いて上のようなものが見えると大人でも感動します。プラネタリウムが疑似体験(ヴァーチャル)のおもしろさだとすると天文台は本物体験(リアル)のおもしろさといえます。これは,言い換えるなら指導要領に書かれている 「実感する」 に近いものだと言えると思います。


4. 学習効果として

 これまで,何度かプラネタリウムを利用する中で感じるのは,こちらが目的を持った中でプラネタリウムを見せて頂くのとそうでないのとでは児童の学習効果も大きく違うことです。最初は,理科学習でプラネタリウムを使うことが目的でしたが,何度か利用するうちに年間の理科学習の中でプラネタリウムをどう位置づけるかと考えるようになりました。目的をもって見通しをもってプラネタリウムを利用することで,プラネタリウム(社会教育施設)に行く事前の授業でも事後の授業でも,もちろん行っているときにも学習効果としては十分なものが得られると感じています。


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