6年
もの作りを中心にした授業づくり
          〜 「電磁石のはたらき」 〜          
広島市立長束小学校 教諭
小田 龍仁
1.はじめに

 本単元の「電磁石」は子どもたちにとって,とても不思議で興味深い教材です。不思議から始まって,色々工夫して作って行きながら,電磁石についての電流や巻き数との関係等を確かめていきます。

 磁石に関する学習は3年生で,電気に関する学習は3・4年生で学習しますが,しばらく間があいているので,事前にS極とN極の関係,乾電池の直列つなぎや並列つなぎ,電流の強さと働きの変化などを押さえておく必要があります。


2.工夫のポイント

 教科書では,ストローと釘を使ってコイルや電磁石を作り実験を進めるようになっていいます。教科書に沿いながら,さらに作りやすく,自分たちの色々な工夫ができるように,また,かっこ良く仕上がるようにと,六角ボルトを使用してみました。

 導入では,コイルの力の不思議さに対する興味関心を深めさせるために,直流の電源装置を作ってコイルに大きな電流を流して児童に見せました。


3.授業の実際
1 コイルの不思議
自作直流電源装置
フィルムケースに巻いて作ったコイル
 
巻き数や形を変えたコイル
 直流電源装置(100Vをブリッジ整流)で3300μ F×6のコンデンサーにためた電流をスイッチで切り替えてコイルに流すと,瞬間的に強力な電磁石になります。コイルの中に1スチールウールを丸めたもの2パチンコ玉3ビー玉4アルミホイルを丸めたものを入れ,どうなるか予想させます。

12は電磁石になってコイルの中心に引き寄せられる加速で,3〜5メートルくらい飛びます。人に向けたり,天井の蛍光灯を壊したりしないよう,発射方向には十分気を付けてください。

注意  上記演示実験は,コイルの巻き数や形状によって違いますが,相当遠くに飛ぶこともあります。児童の前で行う前には,必ず,予行実験を行い,中に入れるもの,コイルの巻き数や形状の調整を行い,発射方向には十分気を付け,事故のないよう行ってください。



2 電磁石を作ろう
6×25ミリの六角ボルトにエナメル線を巻いて完成。

グループ内で巻き数を変えたもの(50回巻き,100回巻き,200回巻き等)を何種類か作り,乾電池1個で電磁石の強さと巻き数の関係のを実験する。
さらに,電源装置を使って電磁石の強さと電流の関係を調べる。


3 モーターを作ろう
ゼムクリップを曲げ,段ボールにセロハンテープで止めて,モーターの台を作る。

クリップの曲げ方を子供たちに工夫させると,色々な形のものができます。

磁石は,18oのカラーマグネットを使います。


回転子を作る。
1ミリのエナメル線を 曲げたもの 0.4ミリのエナメル線を巻いたもの 1ミリのエナメル線を巻いたもの 1ミリのエナメル線を心棒にしたもの

どうやったら良く回るモーターになるか工夫する。
(線の太さ,長さ,巻き数,巻き方等)
完成したコイルモーター 1ミリの線に0.4ミリの線を巻いたモーター


4.終わりに

 自分たちで,電流,巻き数,巻き方等を工夫する中で,電磁石の強さやはたらきについて理解を深めることができました。

 児童からは「今まで電気は難しくて苦手だったけど,授業が分かり易く楽しかった。」と言う反応が多かった。また「自分で直流電源装置を作りたいので,設計図が欲しい。」「DIYに行って,ボルトなど材料を買って来て,家でも色々と作ってみた。」と言う児童かなりの数もいたようです。


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