3年
「じしゃくにつくもの」の授業で使えるおもしろ実験
埼玉県所沢市立若松小学校
教諭 本澤 智巳
 子どもたちの科学遊びで人気のあるスライム。いろんなところで紹介されていますが今回は3年生の理科単元「じしゃくにつくもの」で使えそうな,磁石にくっつくスライムの作り方を紹介します。

 ただ,スライムの材料「ホウ砂」には毒性がありますので,その毒性をご理解の上,取り扱いには十分,注意を払っていただきたいと思います。

保護者,指導者の皆様へ
 ホウ砂は,洗眼用の薬品として薬局で販売しており,正しい取り扱いをすればそれほど危険なものではありません。但し,口や傷口等から体に入らないように気をつけて下さい。
ホウ砂の取り扱いについて
 
絶対に口に入れないでください。
子どもたちの手の届かない所に保管してください。
水溶液は,誤飲を避けるためペットボトル等の容器に入れないでください。
できるだけ大人の手で扱い,余った水溶液は速やかに処分してください。
傷口のある手で取り扱わないでください。
スライムの扱いについて
 
絶対に口に入れないでください。
手に傷があるときは触らないようにして下さい。
小さなお子さんのおられるお家では,誤食に特に注意してください。
ゼリーやプリンのカップなど,誤食の恐れのある容器に入れて保管しないでください。
遊んだ後は,手をきれいに洗ってください。

用意する物
洗濯のり(必ずPVAと表示してあるもの。CVCやPVAcではうまくいきません)
ホウ砂(薬局で500g1000円位) 取り扱い注意(ホウ砂の毒性)
なるべく強力な磁石(最近は100円ショップでも購入可(4個入ネオジウム磁石クリップ))
鉄の粉(これが一番問題。どんな鉄を使うかは工夫次第)
※今回は理科室にあった鉄粉(粒子の細かいもの:メッシュ300)を使います。
フィルムケース ・紙コップ ・割りばし

(1)ホウ砂溶液(飽和水溶液)を作る
 ホウ砂を紙コップに取り,お湯を入れて溶け残りが出るくらいまで溶かします。
 
(2)PVA溶液の調整
   PVA洗濯のりを紙コップに取り,お湯を混ぜます。
混合比は普通のスライムならPVA洗濯のり:お湯 2:1 くらいがあまりベトベトしなくていい感じです。

 スライムが磁石に「ねと〜」とくっつく感じを出したい時は,少しゆるめに作ります。その場合の混合比は「1:1」にします。

 作ったPVA溶液をフィルムケースの1/3位まで入れます。
 
(3)鉄を混ぜる。
   (2)で作ったPVA溶液に鉄を混ぜます。

 混ぜる量は小スプーン1/2位。割り箸でよく混ぜます。

 
(4)ホウ砂溶液を入れる。
   (3)のフィルムケースにホウ砂溶液を入れます。

 入れる量はPVA溶液に対して3:1くらいです。
(5)フィルムケースのふたをしてよく振る。
   (割り箸で混ぜてもいいです。)
 
(6)ふたを開いてさらに混ぜる。
   ピンセットを使って切るようによく混ぜると失敗が少なくなります。
 
(7)完成!
 
磁石を近づけるとスライムが角を出し,吸い付いてきます。   近くに磁石を置いておくと,生き物みたいに近づいてまるで食べるように包み込みます。


うまく作るためのポイント

 上手なスライムを作るときのポイントはずばり混合比。多少ゆるくなってしまっても,1日放置しておけば,水分が蒸発して適当な堅さになるのですが,子どもたちと作っていくには一発でいい具合に仕上がった方がいいですよね。そこでお湯(水),PVA溶液,ホウ砂溶液の混合比をまとめてみましょう。

○ ちょうどよい溶液とは?
普通のスライムのとき
PVA洗濯のりとお湯 2:1
 
磁石スライムのとき
PVA洗濯のり:お湯 1:1
   
ねと〜っという感じを出したいとき。
但し扱いに難あり。
○ ホウ砂溶液はどんな濃さがいいの?
   これは飽和水溶液を使います。溶け残りが出るまで溶かします。
目安として10倍のぬるま湯で溶かすとよいでしょう。
 
○ PVA溶液とホウ砂溶液の混ぜ具合は?
 
PVA溶液 ホウ砂溶液  
くらい
 
がいいようです。
 
○ 鉄はどれくらい入れたらいいの?
   フィルムケースで作る場合,小さじ1/2くらいで十分ですが,あまり少ないとうまく磁石につきません。
 
○ どんな鉄を使ったらいいの?
   今回は教材屋さんで買った鉄粉(メッシュ300)を使いました。かなり細かいので失敗が少なくなります。また,身の回りの物を使うこともできます。
 
1 砂場の砂鉄を集める。
   子どもたちと磁石を持って砂場で集めてきます。一番お手軽ですが,粒子が少々荒いので見た目と,手触りがよくありません。
2 使い捨てカイロの中から集める。
   使い捨てカイロを破いて中の鉄粉を集めます。粒子はまあまあそろっているのですが,袋を切ると発熱してくっついてしまったりするので扱いが少々面倒です。
 
ただし上のどれを使っても鉄がさびてしまうのが最大の欠点です。そこで一番のお勧めは教材屋さんで四三酸化鉄(いわゆる黒さび)を購入することです。
500gで1600円位と少々高価ですが,これはさびない(というかすでにさびている)ので長持ちします。
   磁石スライムは1日ほどで鉄粉が沈んできて,上の方は磁石につかなくなりますがよく混ぜるとまた使えるようになります。


まとめ

 子どもたちは,スライム磁石にとても興味を示します。まるで生きているかのように磁石に吸い付いてくるスライムを見て「生きてる!」「なにそれー!」大騒ぎになります。

 単元の最後に発展学習として扱うと面白いと思います。鉄はどんな形になっても,他の物に混ぜ合わせても,磁石につくということが実感させることができることでしょう。

実験が終わったら,余ったホウ砂,ホウ砂液,作ったスライムなどすべて回収する(子どもが持ち帰らないように注意する)

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