6年
「もしもの世界で発展学習」         
−身近な気体について,児童がより理解を深めるための発展学習−          
山口県豊田町立西市小学校
藤川 信利

1.はじめに

 気体の学習は対象物が目に見えないだけに,児童にとって混乱を招きやすい学びの一つと考えられる。頭ではわかっているつもりでも,「本当にそうか?」という疑問が残ってしまうことも往々にしてある。

 そこで,この単元で「より理解を深めるため」の2つの実験を紹介したい。

2.空気の成分をたしかめよう

 「ものが燃えるとき」の単元では,空気の成分を円グラフでそのまま示してある。そして,

 空気は,約80%のちっ素と約20%の酸素,それにわずかな二酸化炭素などがまじり合ってできている。

という説明がある。
 

 これを「教科書にあるから正しい。」とまとめるよりも,時間があれば発展学習の実験で証明させ,児童に納得させていく方が,より理科学習に興味が持てると思い,次のような実験を行わせた。

  (1)  発展学習の課題

   空気中の気体の主な成分は,本当にちっ素が約80%と酸素が約20%だろうか。

  (2)  準備物

   気体ボンベ(酸素・窒素)・集気びん・ろうそく・線香・燃焼さじ・マッチ

  (3)  実験方法

   市販の気体ボンベを使って,集気びんの中に次の4種類の気体(混合気体)を用意させ,火のついたろうそくや線香を入れた時の燃え方を比較する。

1)  ちっ素のみ

2)  酸素のみ

3)  ちっ素50%と酸素50%の混合気体

4)  ちっ素80%と酸素20%の混合気体


(注1)視覚による判断なので,あまり細かく割合を区切っても難しい。
(注2)3) 4)の混合気体を準備する時は,そのまま児童にやらせると大抵集気びんの上からシューッと吹き込む。失敗体験を積ませるにはいいが,「酸素の集め方」の復習をして,水を満たした集気びんで採取することを指導しておく。
(注3)安全のため,集気びんには少量の水が入っていることを確認させる。

 また,ただ実験させるよりも,「もしもの世界」と仮定させて取り組ませた方が盛り上がる。この辺りの盛り上げ方は,学級の雰囲気に合わせて仕組んでみるとよい。私の場合は次のように提示した。

(1)

  もしも,ちっ素だけの世界なら・・・。

(2)

  もしも,酸素だけの世界なら・・・。

(3)

  もしも,ちっ素と酸素がほぼ半々の世界なら・・・。

(4)  ちっ素が約80%,酸素が約20%の私たちの世界。

3.気体判別ゲーム

 これまで単元で学習してきたことを生かし,発展学習として「気体判別ゲーム」を取り入れてみるのも面白い。判別に使う気体は,「酸素」「ちっ素」「二酸化炭素」「空気」の4種である。「どのグループが一番早く判別できるか」をゲーム感覚で取り組ませることで,学習のまとめとしての意味と,実験・観察における児童の到達度を評価することもできる。

  (1)  発展学習の課題

   ミニ科学者になって,4つの気体の名前を当ててみよう。

  (2)  準備物

   集気びん(各グループに4本「酸素・ちっ素・二酸化炭素・空気」 予備があるとさらによい)・ろうそく・線香・燃焼さじ・マッチ・その他(子どもたちが実験計画で必要としたもの)

  (3)  実験方法

 
1)  判別実験の計画を立てさせる
 
 この学習の一番のポイントはここである。実際の判別実験の時間は,私の実践では,早いグループで30秒。手際が悪く遅くなってしまったグループでも,5分もあればできたと思う。(失敗したグループには,すぐ予備分を補充。)

 したがって,次のような点をグループ内で確認する時間をしっかり確保したい。

実験に必要な物は何か?

どういう手順で実験を進めるか?

グループ内の役割分担はどうするか?

それぞれの集気びんには区別が付くように色分けしたシールなどを貼っておくとよい。

 
2)  判別実験スタート



   各グループが計画を立て,準備物を用意したら実験開始である。「はじめ」の合図で,ストップウォッチを動かし始める。(実験が雑にならないよう指示しておくことも大切。)

 なお,実験で子どもたちが用意したものは,「ろうそく」と「石灰水」が圧倒的に多かった。この2つがあれば,4種は判別することができる。

3)  正解を示して,感想を書かせる。
 
 全グループが終了した後,正解を発表する。続いて,最高タイムを出した班の代表に,どのように計画を立てて進めたかを発表してもらう。早く判別できた所は,やはりそれなりの工夫がある。その後「理科日記」を書かせて,1時間の学習を終えた。


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