6年
「ヒトや動物の体」学習におけるワークシートの工夫  
栃木県栗山村立日向小学校
和久 真

1.はじめに

 「ヒトや動物の体」の学習内容を記録するにあたり,「消化・吸収」や「呼吸」等の内容を別個にノート等に記録していくと,体の中のはたらきとして統合的にみられないようすがみられました。また,人体を描いた大きめの用紙1枚にまとめる方法も行ってみましたが,内容が重なりあったり,記入が煩雑になったりし,どのはたらきについてまとめたものなのか区別が難しいという問題がありました。

 そのため,ヒトや動物の体の器官やはたらきが視覚的にまとめられる用紙が工夫できないか考えてみました。また,子どもの好む図工的な作業を取り入れ,「自分がつくりあげていく記録用紙」という意識をもたせ,興味をひく工夫ができないか考えてみました。

 そこで,人体(動物)が描かれた本体部を作成し,記録は内容ごとに分けた記録シート(透明のフィルム)に行うことで,内容を個別に見ても,重ねて見ても使用できるワークシートを作ってみることにしました。

2.ワークシートの制作

 (1) 準備するもの
  

   1)

 本体部用

・厚紙(工作用紙,板目表紙等)… 背景画を貼るための台紙

・台紙の外枠(3本) … 背景画と最前面の枠との間に幅をもたせるもの

 (複数枚の記録シートを重ねられるだけの高さをもたせる)

・枠用の厚紙 … 最前面に貼りつける

・背景画(ヒトの輪郭を描いたもの)


   2)

 記入シート用(記入する内容によって,複数作成)

・外枠の厚紙

・透明のフィルム(OHPシート,透明のゴミ袋等を利用)


1) 本体部の材料

2) 記録シートの材料

3.制作の手順

 (1) 厚紙に背景画(ヒトの輪郭を描いたもの)を貼ります。

 (2) その上に台紙の外枠を貼り段差をつけ,背景画と枠用の厚紙との間に幅をもたせます。


 (3) 最前面に枠用の厚紙を貼り,上部から記録シートが出し入れできるようにします。このとき,各種色テープ等で左右および底面を補強しておくと使い勝手が良いと思います。


4.使用方法

 (1) 本体部に記録シートを差し込み,背景画の人体の輪郭を参考に学習の記録をします。

 (2)  記録については,児童の実態によりいくつかの方法を考えさせ,選択させます。

資料を見ながらマジック等で直接記入する。

色画用紙等に印刷したものを切り抜き,貼り付ける(両面テープを使用)。

インターネット等で調べた写真を印刷したものを切り抜き,貼り付ける(両面テープを使用)。


 (3) 引き抜いた記録シートの余白には,語句や大切なことがら・気づいたことを記入させます。

 (4) 複数枚の記録シートを作成(消化用,吸収用,呼吸用,血管用等)すれば,それぞれを本体部に重ね合わせて見ることができます。


 (5) グループ学習などで本体部を共同で大きなサイズで1つ作成し,記録シートをそれぞれの児童が各自の調べ学習のまとめに使用すれば,発表会などにも活用できると思います。

5.実際に使用してみて

 (1) 本校は小規模校のため作成の支援は比較的容易でしたが,児童数が多い学級での支援については型紙をもとに作成する,等の準備や時間のゆとりが必要かと思います。

 (2) 子どもたちは一つの作品としてまとめていく過程が楽しいようで,意欲的に記入をしていました。

 (3) ある程度の大きさで本体部や記録シートを作成しないと,記録が書き込みきれないと思います(実際にはA3版程度の大きさで作成しました)。



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